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好きなら、言ってよ。  作者: ともり。


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# 第八話 既読がつかない

# 第八話 既読がつかない


歓迎会の翌日。


休日なのに、にちかは朝からスマホばかり見ていた。


昨夜、駅で別れたあと。


結局、ちゃんと話せなかった。


“同期ですから”


あんな言い方、したかったわけじゃない。


でも。


期待しているのが自分だけだったらと思うと、怖くなった。


かずまは優しい。


誰にでも距離が近い。


だから、自分だけ特別だと思いたくなかった。


思ってしまったら、終わる気がした。


 


スマホを見る。


LINEは、昨日のままだった。


【ちゃんと帰れた?】


昨夜、かずまから来ていたメッセージ。


にちかは返信できないまま、朝になっていた。


返したい。


でも、何を返せばいいかわからない。


打っては消してを繰り返す。


【帰れました】


それだけなのに、送信できない。


既読をつけるのが怖い。


既読をつけたら、返事を期待してしまうから。


「……何してるんだろ」


小さく呟き、ベッドへ倒れ込む。


その時。


スマホが震えた。


思わず飛び起きる。


【生きてる?笑】


かずまだった。


既読もつけていないのに、追加で送ってきた。


胸が熱くなる。


こんなの。


期待するなって方が無理だ。


 


にちかは何分も悩んだ末、ようやく既読をつけた。


すると、数秒後。


【お、いた】


その返信の速さに、思わず笑ってしまう。


【すみません】


送る。


すぐ既読。


【また謝ってる】


【癖です】


【知ってる笑】


画面越しなのに、かずまの笑ってる顔が浮かぶ。


それだけで、少し安心する。


すると。


【昨日、なんか避けられてる感じして地味にへこんでた】


心臓が止まりそうになった。


そんなふうに思っていたんだ。


にちかは慌てて文字を打つ。


【違います】


送信。


すぐ既読がつく。


でも、返信が来ない。


数秒。


たったそれだけなのに、永遠みたいに長い。


嫌なこと言ったかもしれない。


重かったかもしれない。


不安が膨らみ始めた時。


【ならよかった】


その一言が届いた。


安心した瞬間、力が抜ける。


 


そのあと、しばらくやり取りが続いた。


何気ない会話。


好きな食べ物。


休日何してるか。


くだらないスタンプ。


なのに、楽しかった。


会社で話すより、少しだけ素直になれる。


画面越しだからだろうか。


すると突然。


【にちかって、俺にはちゃんと返してくれるよな】


その言葉に、指が止まる。


【え?】


【他の人には壁あるのに】


まただ。


また、そんなふうに特別みたいなことを言う。


期待してしまう。


でも。


怖い。


【……かずまだからじゃないですか】


送信した瞬間。


にちかは、自分の顔が熱くなるのを感じた。


やばい。


今の、ほぼ好きって言ってるみたいじゃないか。


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