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12 少女と少年の再会

店に入ってきた男は身なりはボンボンほど派手で高そうな服を着てないが、庶民としては身なりが整っている方だった。185㎝のある身長でこの場の全員を見下ろし柔和な表情を浮かべている男にヴァネッサは見覚えがあった。

「オスカー、久しぶりだね」

男はヴァネッサの方を見て驚いた。

「ヴィーじゃないか!ホント久しぶりだね。4年だよ」

男ことオスカーはヴァネッサの幼馴染である。パン屋の息子で家族ぐるみの付き合いがあり小さい頃からの知り合いである。

「それよりオスカー、カウンターの子供を見てやってほしいんだけど」

オスカーは言われたとおりにカウンターの方に行くと、

「トム君、大丈夫か!おいヴィー、何があったんだ?」

「後で話す。それよりさっさと手当てをしてあげて」

ヴァネッサの言葉にオスカーは店の中を見渡した。

「いや、お前が手当をしろ。俺はやり方を知らないから」

「頭以外にケガが無ければ冷…」

「だめだ。ヴィー、お前が手当をしろ。」

オスカーの有無を言わせぬ顔を見てヴァネッサは渋々カウンターの方に言った。

そしてヴァネッサがカウンターの中に入る直前に

「後は任せろ」

とオスカーが小さく呟いた。オスカーは状況を完全に理解していた。このまま放置するとヴァネッサが貴族らを殺しかねないことも。

ヴァネッサがトムを背負って店の奥へ行くのを確認するとオスカーは貴族の方に近づいて真顔で言った。

「フォード様。大丈夫ですか?失礼ながら、あの者に関わるべきではありません。あの者の親族は相当力を持っており、なおかつイカれています。以前、この町のいくつもの商人があの者の親族の怒りを買ってしまい、その、彼らは今はもうすでに…」

オスカーの言葉に貴族の二人の顔は青ざめていた。

「そして彼らの一部があの女が8歳のときに人質に取ろうとしたところ、返り討ちにあいました。それもあの女一人によって」

「「⁉」」

貴族がオスカーの話に怯えているが、ヴァネッサの実際はそんなイカれたことはしていない。ただ、オスカーがそう聞こえるように言っているだけだ。

「そのため、すぐにでも帰った方がよいかと」

オスカーが心配した表情を浮かべて言った。

「あ、当たり前だ。おい、さっさと帰るぞ」

小太りの貴族は弟に向かって怒鳴った。小太りの貴族は自力で起き上がりドアの方へ小走りに向かったが、

「フォード様、店の物をだめにしたのと子供にケガを負わせたので幾分かはお支払いをしないと…あの女が後から追って来ますよ」

オスカーの脅しに2人ともビクッと身体が動いた。弟に命令してお金を払わさせると颯爽と店を出て行った・

「ひどいな、人の家族を何だと思っているんだ、全く。」

 奥からヴァネッサの声が聞こえてきた。実際は叔父が嫌がらせをしてきた店や商人を返り討ちにしただけだ。その残党が何年も経ったあとにヴァネッサが生まれたことを知り、それが弱点だと思ってチンピラを雇いヴァネッサに向かわせただけだ。親族が反対勢力を皆殺しにしたわけでも、ヴァネッサが殺したわけでもない。

「だけど効果はあっただろう?」

オスカーは意地の悪い表情を浮かべていた。

「あいつら行った?」

そう尋ねてくるのは倒れていたトムだった。叩かれてからさっきまで気絶したふりをしていた。オスカーがトムの無事を確認してからヴァネッサに預けた。

「大丈夫だよ、トム君」

さっきまでの表情とは一転して柔和な笑顔でこたえた。

「それにしてもなんでヴィーがここにいるんだ?」

「ただの買い物だよ。そっちこそなんでここにいるの?」

「俺は仕事だよ。それより無事でよかった。帰ってきたなら顔ぐらい見せろよ」

「2人は知り合いだったの?」

トムが不思議そうにしながら聞いていた。

「残念ながら小さい頃からね。」

オスカーがため息交じりに答える。

「それどういう意味?」

「トラブルメーカーのお前に巻き込まれる身にもなればため息のいつもつきたいさ。今回もそうだけど後処理が大変なんだよ。」

「…」

 ヴァネッサは言い返すことが出来なかった。実際、ほとんどヴァネッサが巻き込まれる形であるがトラブルにあい、オスカーに手を焼かせたことが何度もあるのは自覚していたからだ。

 そして当の質問者は2人の会話についていけなかった。

だが、オスカーもヴァネッサもそのことに気づいていたので話題を変えることにした。

「ところでトム君、お母さんは何処にいるのかな?」

「今、買い物に行っているよ。それより、その...さっきはありがとうございました」

「気にしなくていいよ。ヴィーもいいよね?」

オスカーに聞かれ、ヴァネッサは小さくうなずいた。トムは安堵の表情を浮かべると、急に何かに気づいて

「あっ!2人とも店の奥にきて!恩人に茶ぐらい出さないと、ママに怒られる」

焦って急かしてくる子供をみて、オスカーとヴァネッサは苦笑いしながら店の奥に入っていった。2人ともトムが小犬のように見えた。


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