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転生するっぽい(仮称)  作者: デフォルトの蝉
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2話 狼になった

意識が明瞭になっていく。

ボトリ…落ちた。


周囲を確認する。状況から考えて巣穴の中っぽい。巣穴の出入り口から草木の匂いが風に乗って入ってきて、獣臭と巣穴の土の匂いと混ざっている。手足に全然力が入らず、うまく歩けない。


巣穴を見渡す。俺の他に二匹の仔狼が地面を這っている。母親を見るとお尻からまた別の仔狼の頭が生えてきている。本当に…異世界に来たのか?


~~~~~


しばらくして…


少しだけこの家族?群れ?のことを把握してきた。


まず、うちの家族構成だが、まず、母、父、俺含めて兄弟五匹。俺はちょうど真ん中生まれだ。人間のときは動物園に行っても狼の見た目の違いなんて全くわからなかったが、実際に自分が狼になるとどいつがどの兄弟とかはっきりわかる。


見た目は地球にいるみたいな灰色の毛皮の狼だが、尻尾が横並びに2本生えている。多分魔獣とか魔物だと思う。他の魔獣は父が巣穴に持ち帰ってきた角の生えたウサギを見た。やっぱりスライムとかドラゴンもいるのだろうか。


そして、手足—前脚と後脚しかないが—がだいぶ動くようになってきた。巣穴の外に出てみたいが、出ようとするたびに親に止められる。


動きにフェイントを入れてみたりして親を突破しようと何回も挑戦したが、生まれたばかりの仔狼が大人狼にかなうわけもなく。やっぱり体の大きさの違いは大きい。最近は出るつもりがなくても出入り口側を歩くだけで親に警戒されるようになった。解せぬ。


というわけで、兄弟と遊ぶ以外に特にやることもないので、ラノベで異世界転生した主人公がよく子供の頃にやることをしたいと思う。そう、もちろん魔力操作だ。魔力…魔法…夢が広がるぜ。炎とか水とかを出せるようになりたい。


とりあえずラノベで読んだ通りに自分の体内に意識を集中してみる。……………全くわからない。なんにも感じない。もしかして適性なし?いや、まだ一回目だし諦めるには全然早い。沢山練習すればできるようになるはず。多分。願望込みで。……やり方が間違っていなければ。


「キャン!」 「ワン!」


お、遊んでる。あれは一番目と四番目かな?俺も混ぜてくれ〜。そう思いながら親の見守るなか、遊びに参加しに行った。


~~~~~


さらにしばらくして…


体は順調に成長し、生まれてから大体2、3倍くらいの体長になったと思う。前世は狼に詳しかったわけではないが、流石に速い成長だとわかる。魔獣だったらこんなもんなんだろうか。


しかし、魔力操作のほうは全く順調ではない。遊んだりしている以外の起きてる時間はずっと魔力を感じ取ろうとしているのだが、相変わらず全然わからない。やっぱりやり方が間違ってるのかな…。いや、でも今考えられるのはこれしかないし、できることもこれしかない。よし、やるか。


目を閉じて集中する。自身の体内を隅々まで尻尾から頭へと進んでいって、精査するイメージで魔力を探してみる。尻尾…後脚…腹…前脚…胸…ん?…なんか…違和感がある気が…。胸だ。たぶん胸のあたり。もう一度だ。集中しろ。胸の辺りを重点的に。


…………………ある。淡い感覚だが、何かある。重い感じというかもやっとした感じというか…異物感?暖かくも冷たくもない。硬くも柔らかくもない。ただ何かがそこにある。直感的に分かる、これが魔力だと。このやり方は間違っていなかった。確かに胸の真ん中にある。


安堵と嬉しさで集中が乱れてしまった。それまであったはずの魔力の感覚が煙のように消えていってしまった。


よし…よし!魔力は確かにあったんだ!いやー…よかったー…これで一生わからなかったらどうしようかと…。魔力操作はまだ出来なさそうだけど…魔力を感じるのと同じように時間をかければできるはず。


~~~~~


さらにさらにしばらくして…


魔力は一回感じられると成長が速かった。最初とは違ってはっきりと存在を感じる。操作はできないが。


父親が巣穴から出ていった。狩りかな?父親が出ていった後、母親も巣穴の入り口の近くに巣穴の中に背を向けながら立って、中をちらちらと振り返っている。


これは…ついてこいってことか?俺が立ちながら母親を見ていると、二番目と四番目と五番目が母親の方に駆け寄っていく。もしかしてついに巣穴の外に出られる?よし、行くか!


巣穴の出入り口を通っていく。進むほど、草木の匂いと差し込む光が強くなっていく。


巣穴から出た。


視界が一気にひらける。頭上を覆う木々の隙間から、幾筋もの木漏れ日が降り注いでいた。春風にのった土の匂いに混じって、青々とした若い草の匂いが鼻腔をくすぐる。


ふと顔を上げると、木々の隙間から圧倒するような山々がこちらを見下ろしている。


しばらく、動けなかった。




要約

主人公「生まれた!」

主人公「なんかいろいろわかった!」


ちなみに作中の「しばらくして…」というのは巣穴の中で日数の経過がわからないので正確な日にちを書いてません


大体だと

「しばらくして…」は生後五日くらいで

「さらにしばらくして…」前の描写から一週間くらい、

「さらにさらにしばらくして…」は前の描写から三日くらいです

魔獣設定なんで成長早めにしました


あと兄弟は最初に生まれた順で一番目…二番目…と呼んでいます


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