幼女王の花都(7)
「魔晶石一つで夢が叶うはずだった——しかし、世界はいつも代償を求める。」
幻惑の花都エンヴィリアでは、四天王の一人、魅惑の女王リリアーナが五歳ほどの幼女の姿になっていた。
侍女長シルフィーナは、毎日のようにリリアーナの世話をしていた。
彼女は心の中でいつもこう思っていた。
「女王様は、かつては恐ろしいほど美しい方だった。
でも今は……こんなに小さくて、柔らかくて、守ってあげたくなる。
これが本当の幸せというものかもしれない。」
ある日の食事の時間。
リリアーナが小さなスプーンを握りしめ、スープをこぼしながら一生懸命食べようとしているのを見て、シルフィーナは胸が熱くなった。
「可愛い……。あの完璧だった唇が、今は少しだけとがって、必死にスプーンを運んでいる。
こぼしたスープを拭いてあげたい。この小さな手を、ずっと握っていたい。」
彼女はそっと近づき、リリアーナの口元を布で拭きながら、心の中で囁いた。
「女王様、どうかこのままの姿でいてください。
元の美しい姿に戻ったら、また私は遠くからしか見られなくなってしまう。」
お風呂の時間になると、シルフィーナの偏愛はさらに強くなった。
幼いリリアーナが湯の中で足をばたつかせ、背中を自分で洗おうとして失敗している姿を見ると、シルフィーナは目を細めた。
「なんて愛らしいのでしょう……あの小さな肩、泡にまみれた銀色の髪。
私が洗ってあげないと、きっと上手にできない。
この体を、誰にも触れさせたくない。でも、私だけは触れていたい。」
彼女は三人の侍女を押しのけ、自分だけでリリアーナの体を丁寧に洗った。
リリアーナが「自分でやる」と小さな声で抗議しても、シルフィーナは優しく微笑みながら心の中で思った。
「駄目ですよ、女王様。
あなたは今、私の大切な宝物なのですから。」
夜、リリアーナが玉座の上でため息をつきながら花冠を外そうと手を伸ばしているのを見たとき、シルフィーナはそっと後ろから抱きついた。
「女王様、まだお休みの時間ではありませんわ。」
彼女はリリアーナの小さな体を優しく抱き上げ、頰をすり寄せながら心の中で繰り返した。
「この姿のまま、ずっと私のそばにいてください。
元の絶世の美女に戻ったら……私はきっと、嫉妬で狂ってしまうでしょう。」
リリアーナは最後に、花冠の内側に浮かんだ小さな文字を静かに読んだ。
しかしシルフィーナは、その文字など見ようともしなかった。
彼女にとって、今の幼いリリアーナこそが、最高の女王だった。
今ではその街は「幼女王の花都」と呼ばれ、誰も冠を被ろうとしなくなった。
ただ、毎日のように幼い女王を偏愛する侍女シルフィーナが、幸せそうに微笑みながら彼女を抱きしめ続ける姿だけが、静かに続いていた。
「魔力の均衡は、決して保たれなかった。人間がそれを試すたび、世界は静かに、しかし確実に代償を回収した。」




