幼女王の花都(6)
「魔晶石一つで夢が叶うはずだった——しかし、世界はいつも代償を求める。」
幻惑の花都エンヴィリアでは、四天王の一人、魅惑の女王リリアーナが五歳ほどの幼女の姿になっていた。
ある夜、入浴の時間になった。
浴室の浴槽は大人用の大きな大理石製で、リリアーナの身長では縁に手が届かなかった。
侍女たちが「女王様をお持ちします」と抱き上げ、浴槽の中にそっと下ろした。
湯の温度はちょうど良かったが、体が小さすぎて足が底に届かず、浮きそうになった。
リリアーナは小さな声で言った。
「自分で洗う。」
しかし腕が短く、背中まで手が届かない。
花妖の侍女二人がすぐに両側から寄ってきて、柔らかい布で体を洗い始めた。
「女王様の背中、ツルツルで可愛いですわ」
「腕も細くて可愛らしい……」
リリアーナが「そこは自分で」と抵抗しても、侍女たちは「危ないのでお任せください」と笑顔で続け、泡だらけの小さな体を丁寧に洗った。
頭を洗うときには、老臣が特別に準備した小さな椅子に座らせられ、三人がかりで銀色の短い髪をシャンプーした。
泡が目に入りそうになると、すぐに「ふーふー」と息を吹きかけてくれた。
湯船の中で体を動かそうとすると、幼い体は簡単に滑って沈みかけた。
衛兵の一人が慌てて大きな手で支え、「女王様、危ないです!」と言いながら、彼女を湯船の縁に座らせた。
リリアーナは湯の中で小さく抗議した。
「……私は四天王だ。お風呂くらい一人で入れる。」
しかし家臣たちは誰も本気にしなかった。
侍女たちは「女王様の小さな肩、触り心地が良いです」と言いながらマッサージをし、老臣は「冷えないように」と湯を足し続けた。
最後には大きな柔らかいタオルで全身を包まれ、侍女たちに抱っこされたまま浴室から運び出された。
リリアーナはタオルの中で静かにため息をついた。
幼い体では、ただお風呂に入ることすら四天王の威厳を保てなかった。
今ではその街は「幼女王の花都」と呼ばれ、誰も冠を被ろうとしなくなった。
ただ、毎晩の入浴の時間になると、家臣たちに囲まれ、洗われ、拭かれ、抱っこされながら、小さな女王がじっと天井を見つめる姿だけが続いていた。
「魔力の均衡は、決して保たれなかった。人間がそれを試すたび、世界は静かに、しかし確実に代償を回収した。」




