幼女王の花都(5)
「魔晶石一つで夢が叶うはずだった——しかし、世界はいつも代償を求める。」
幻惑の花都エンヴィリアでは、四天王の一人、魅惑の女王リリアーナが五歳ほどの幼女の姿になっていた。
銀色の短い髪に大きな瞳、小さな手と足。頭には永遠の魅惑の花冠がぴったりと張り付いたままだった。
ある日の夕食の時間、リリアーナは玉座の前に置かれた豪華な食卓に座った。
テーブルの高さが合わず、顔が皿に届かない。
侍女が慌ててクッションを何枚も重ねて座らせたが、それでも視界が悪く、スプーンを持つ手が震えた。
「スープをよこせ。」
リリアーナが小さな声で命じると、老臣が大きな銀のスプーンでスープをすくい、彼女の口元まで運んできた。
「女王様、あーんしてください。」
リリアーナは眉を寄せた。
「自分で食べる。」
しかしスプーンを持つ手が小さすぎて、スープをこぼさずに口まで運べない。
一度運ぼうとしたら、幼い腕の力では重くてスープが膝の上に落ちた。
侍女たちが「まあ、可愛い!」と歓声を上げ、すぐに新しい服に着替えさせた。
次に出された肉の塊は、フォークが刺せなかった。
リリアーナが両手でフォークを握って力を込めても、幼い指ではうまく刺さらず、肉が滑ってテーブルに落ちた。
衛兵の一人が「女王様、危ないので私が切ります」と言い、大きなナイフで細かく切って一口サイズにし、口元に運んできた。
リリアーナは小さな声で抗議した。
「……私は四天王だ。自分で食べられる。」
しかし家臣たちは微笑むだけで、誰も本気にしなかった。
花妖の侍女は「女王様のお口が小さくて可愛いですわ」と言いながら、果物を薄くスライスして一枚ずつ食べさせた。
老臣は「熱いのでふーふーしてあげます」とスープを冷まし、衛兵たちは「こぼさないように」と彼女の首に大きなナプキンを巻いた。
食事が終わる頃、リリアーナの口の周りは果物の汁とスープでべたべたになっていた。
侍女たちが「可愛いお顔が汚れてしまいました」と笑いながら、柔らかい布で丁寧に拭いた。
リリアーナは玉座の上で小さくため息をついた。
幼い体では、ただ食事をすることすら四天王の威厳を保てなかった。
今ではその街は「幼女王の花都」と呼ばれ、誰も冠を被ろうとしなくなった。
ただ、毎日の食卓で家臣たちに囲まれ、「あーん」「ふーふー」と世話をされながら、小さな女王が静かにスプーンを見つめる姿だけが続いていた。
「魔力の均衡は、決して保たれなかった。人間がそれを試すたび、世界は静かに、しかし確実に代償を回収した。」




