幼女王の花都(4)
「魔晶石一つで夢が叶うはずだった——しかし、世界はいつも代償を求める。」
幻惑の花都エンヴィリアでは、四天王の一人、魅惑の女王リリアーナが幼女の姿になっていた。
五歳ほどの小さな体、銀色の短い髪、大きな瞳。頭には「永遠の魅惑の花冠」がぴったりと張り付き、元に戻る方法が見つからなかった。
リリアーナは毎日、玉座に座って家臣たちに命令を出した。
「今日の領地報告を聞く。」
しかし声が高く幼く、家臣たちは「はい、女王様の可愛いお声でお願いします」と微笑むだけだった。
老臣は膝をつきながら、リリアーナの頭を優しく撫でた。
「軍の編成を変更せよ。」
リリアーナが指を差して指示を出すと、手が小さすぎて指先が震えた。
衛兵たちは「女王様、指がプニプニで可愛いです」と言いながら、勝手に自分の解釈で命令を実行した。
ある日、リリアーナは玉座から降りて自ら領内を視察しようとした。
しかし足が短く、階段を一歩降りるだけで転びそうになった。
侍女たちがすぐに抱き上げ、「女王様をおんぶしますわ」と背中に乗せた。
リリアーナは小さな声で「降ろせ」と言ったが、侍女は「もう少しこのまま可愛がらせてください」と頰をすり寄せた。
会議の席では、椅子に座ってもテーブルに顔が届かず、立ち上がって話さなければならなかった。
家臣たちは「女王様が一生懸命立っている姿が愛らしい」と目を細め、誰も本気で話を聞かなかった。
夜になると、リリアーナは一人で冠を外そうと何度も手を伸ばした。
しかし腕が短く、冠に届かない。
何度もジャンプしてみたが、幼い体では高く跳べず、結局玉座の上で疲れて座り込んだ。
ある朝、リリアーナは鏡の前に立った。
そこに映るのは、幼い少女の姿だった。
彼女は静かに呟いた。
「……私は四天王だ。」
家臣の一人が後ろから近づき、頭を撫でながら言った。
「はい、そうですとも。世界で一番可愛い四天王様です。」
リリアーナは最後に、花冠の内側に浮かんだ小さな文字を、もう一度読んだ。
「永遠の魅惑の花冠はできる。しかし、四天王が自らそれを使えば、世界は本物の成熟を十重に求める。偽りの美しさは、頂点に立つ者ほど均衡を失う。」
今ではその街は「幼女王の花都」と呼ばれ、誰も冠を被ろうとしなくなった。
ただ、玉座の上で小さな体を精一杯伸ばし、家臣たちに頭を撫でられながら、四天王としての威厳を守ろうとする幼女の姿だけが、静かに続いていた。
「魔力の均衡は、決して保たれなかった。人間がそれを試すたび、世界は静かに、しかし確実に代償を回収した。」




