幼女王の花都(3)
「魔晶石一つで夢が叶うはずだった——しかし、世界はいつも代償を求める。」
幻惑の花都エンヴィリアでは、四天王の一人、魅惑の女王リリアーナが統治していた。
彼女はかつて銀色の長い髪と完璧なプロポーションを持つ絶世の美女だった。
今は五歳ほどの幼女の姿になっていた。銀色の短い髪に大きな瞳、小さな体。
頭には「永遠の魅惑の花冠」がぴったりと張り付き、元に戻る方法が見つからないままだった。
家臣たちは毎日、玉座の前に集まった。
上級魔族の老臣は、膝をついて言った。
「本日もお可愛らしいです、女王様。どうぞ、この蜜菓子を。」
彼は大きな手で小さな菓子を差し出し、リリアーナの口元に運んだ。
花妖の侍女たちは、くすくすと笑いながら言った。
「女王様のほっぺた、プニプニですわ。触ってもいいですか?」
三人がかりで幼い頰を優しくつつき、髪を編み直した。リリアーナが「やめろ」と小さな声で言っても、誰も本気で止めなかった。
下級魔物の衛兵たちは、玉座の周りを囲んで座り込んだ。
「女王様、今日もお歌を聞かせてください」
リリアーナが以前のように威厳ある声で歌おうとすると、幼い高音になってしまい、衛兵たちは目を細めて「可愛い……」とため息をついた。
ある日、リリアーナは玉座から降りて家臣たちに命令した。
「冠を外せ。元の姿に戻る方法を探せ。」
老臣は微笑んで頭を撫でた。
「はいはい、わかりました。でもその前に、お昼寝の時間ですよ。」
侍女たちは毛布を持ってきて、リリアーナを玉座の上でくるんだ。
衛兵の一人は「女王様が寝顔も可愛い……」と呟きながら、扇子で風を送った。
リリアーナは毛布の中で小さな声で抗議した。
「……私は四天王だぞ。」
家臣たちは揃って頷いた。
「はい、そうですとも。世界一可愛い四天王様です。」
半年が過ぎても、リリアーナの姿は幼女のままだった。
花都の人々は毎日、玉座の幼い女王を可愛がり、貢物としてお菓子とぬいぐるみとリボンを捧げ続けた。
リリアーナは最後に、花冠の内側に浮かんだ小さな文字を、もう一度読んだ。
「永遠の魅惑の花冠はできる。しかし、四天王が自らそれを使えば、世界は本物の成熟を十重に求める。偽りの美しさは、頂点に立つ者ほど均衡を失う。」
今ではその街は「幼女王の花都」と呼ばれ、誰も冠を被ろうとしなくなった。
ただ、玉座の上で家臣たちに囲まれ、頰を突かれ、頭を撫でられながら、小さな女王が時々ため息をつく姿だけが続いていた。
「魔力の均衡は、決して保たれなかった。人間がそれを試すたび、世界は静かに、しかし確実に代償を回収した。」




