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二大魔王~魔王の護衛をしていたらいつの間にか俺も魔王として生きていくことになったので二人で世界を救うことにしました~  作者: Mini
第1章 二人の魔王 現界(現世)任務編

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主犯の正体

天界にて……12の大天使が集う場所。

12の大天使には大きな翼、そして頭の上には輪っかが備わっている。

大天使の中でも序列というものは存在する。

序列第7位、リュカが口にする。


「それで、どうする?私達は結構危うい立場になりつつあるのだぞ」


リュカの言葉に、一人の大天使が反応した。


「んなもん、どうでもいい。全員殺せば解決だ」

「それが出来ないから困ってるんだろ?お前はバカか」

「なんだと!テメェ俺より序列がしただろうが!敬語仕え敬えや!」


髪色は赤く、つり目でいかにも気性が荒そうな見た目。そして口調。

名前はワカ。大天使が一人、序列第5位のつわものだ。


「敬う気なんてさらさらないよ。だって私はめんどくさくて上を目指してないだけだからね」

「ハッ!負け犬の遠吠えにしか聞こえねぇな!」


頬杖を突きながら話すリュカに対し、感情をあらわにしながら話すワカ。

二人のやり取りを全員は聞いているのか興味がないのか、何も反応しない。

そしてワカは視線を大天使たちに向けながら話す。


「テメェらはそれでいいのかよ!?こいつの態度、性格……許されるものではないだろ!」


全員はワカの方へと視線を向け、序列第2位のミカが口を開く。


「な、なんだよ」

「確かに態度を改める必要があるが、リュカの実力は本物だ。本気を出せば俺にだって届くかもしれん」

「冗談だろ?」

「どうだろうな。正直そんなことはどうでもいい。今天界で起きている事。そちらの方が重要だ」

「……ッチ、わーったよ」


ミカが現状の話をするとワカはおとなしくなり、舌打ちをしながら視線をリュカに送る。

リュカはどんまいという表情をし、ワカはイラっとさせるが空気を読み頑張って無視しようとする。


「んで、魔界人が襲ってきてるんだっけか」

「そうだ。しかも……改造された魔界人がな」

「なんでそういいきれる」

「上半身と下半身。その境目に縫い目があること。これは様々だ。例えばそれが首から上の奴らもいる」

「要するに、もう自我はなく機能していないということか」

「そうだ。現界の方でも同様の事が起きており、そちらは魔界の魔王が担当している」

「しかも二人の魔王がね」

「あ~現魔天会議で誕生したって言ってたやつか」


全員が天界で起きているデータを手に取りリュカは言葉を続ける。


「私達が何を危惧しているのか。それは魔界の血が混ざってしまうこと。」

「じゃあなんで魔界人を天界に入れるんだよ。俺達天界人は独立を望んでいただろ。今も、この先も。」

「天界の東の国、君の所有する国でも魔界人に襲われたという情報があったよね」


リュカは序列第11位のエルに投げかけた。

その問いにエルは立ち上がり、全員が見やすいようにその時の映像を見せた。

民を無作為に遅い、天界人をむさぼる姿。


「うげっ、なんだこれ気持ちわり」

「魔界人を恨む人が出てきてもおかしくないわけだ」

「だが魔界人は悪い奴じゃない」

「そう。これは魔界の連中がやっているにしては規模が小さすぎる」

「ってことは、天界を封鎖するよう()()()()にお伝えせねばな」

「もう了承を得ているよ。天界は独立を望み、他の血は取り込まない。」


リュカはにやりと笑みを浮かべながら話すが、12の大天使の三分の一がリュカに対し冷たい目線を送る。

ここでも現界人の仕業だと天界人も予想がついた。

そしてこの先は、魔王ルーナ、魔王俊介が解決しないと何も始まらない。


「私含め、他11名の大天使には改造された魔界人の駆除に当たってもらう。もしかしたらもう手遅れかもしれないがこれ以上の被害はもう出させない」

「しゃーねぇ、天界を脅かすものは誰であろうと許さねぇ」


全員が立ち上がり、瞬間に姿を消す。

一人取り残されたように佇むリュカ。


「頼んだよ。俊介君。」


そう呟き、リュカもその場所から離れた。


————————————————————————


今夜、魔王二人は研究施設……敵のアジトに乗り込む。

俊介は魔術、近接戦闘をリーサと訓練。ルーナはというもの漫画を読んでいた。


「おっほ!これ面白!」


二人には漫画を読むら二人で訓練していろと言っていたのだが……


「ルーナ様、どうしてわたくしたちと一緒に訓練をしないのでしょうか。」

「ルーナはああ言ってたけど、実際はさっきみたいな改造された魔界人だったり、現界人がこないように見張っているのだと思いますよ」

「なるほど!さすがシュン様!ルーナ様の考えは分かるというわけですね!」


俊介が話す一つ一つに反応するリーサ。

その反応の仕方はどれも限界突破していて、言ってしまえば俊介のオタクだ。

全部を肯定し、俊介にデレデレなリーサ。

俊介はそういうのにあまり慣れていないというのもあり、少しやりづらいと感じながらも自身の魔術を強化するため雷魔術を使用する。


「にしても……威力が高いってだけで決めたけど、雷魔術って操作がかなり難しいのな」

「そうですね。本来は風魔術の王級を習得してから雷魔術を使用するのがいいとされていましたから」

「え……なんでそれをルーナは言わなかったんだ?」

「それは……えっと、シュン様なら問題ないと判断したからでしょう!それに、推奨されているだけで雷魔術は一応誰でも使える魔術ではありますからね」


「ふ~ん」とあまり信じていない様子で話を聞いている俊介なのだが、これもルーナからの課題なんだろうなと考えてしまう。


(ルーナは魔術は人の夢だといっていて、今は自由にやらせてくれている。そこでできなかった魔術や取得難易度の高い魔術を後々教えてくれる……って流れなのかな)


そう考える俊介なのだが、ルーナの性格上ありえなくもないんだが……


(いや、普段あんだけおちゃらけてるから意外と何も考えてなさそうか)


と、勝手に結論付ける。

小一時間が経過したところで魔力を最大限弱めての雷魔術を撃つのに成功。


「さすがです!これなら魔術の方は問題なさそうですね!」

「だな。次は近接戦闘だが……」


ちらっと視線をリーサの方へとむけると待ってましたと言わんばかりにワクワクしていた。

犬だったら尻尾をぶんぶん振っているなとすぐわかる程。

俊介は軽く溜息を吐き、口を開く。


「そんなに近接戦闘好きなんだな」

「そういうわけじゃないですよ!」

「じゃあどういうことだよ」


ぷすーっと頬を膨らませ、赤い瞳が少しうるっとする。

彼女の演技はすごいと、感心してリーサはそのまま自分の手を握りまるで教会で祈るようにして話し始める。


「普段はシュン様に触れられない……触れられるとしたらこの近接戦闘訓練だけなのです!互いの拳をぶつけ、わたくしは合法的にシュン様のおなかを触ったり(殴ったり)腕に触れたり(掴んだり)することが出来る!これを喜ばずしてどうしろと言うのですか!」

「う、うん……わかった。それじゃあ早くやろうか」


ハァハァと息遣いが荒くなっているリーサを見て、これがほんとにメイドかよと心の底から思う俊介なのだが、リーサの近接はしっかりとナーシャと酷似していて近接戦闘の勉強にもなる。

ナーシャと違う所があるとすれば、本当に俊介に対する思いだけ。ナーシャにも当然俊介を守るという使命はあるのだが、ここまでではない。

それでもこのリーサの考えはルーナの命令から来ているものなら納得ができる。

まぁ、それでも気まずいのは変わりないが……。


俊介がリーサに訓練を始めるぞと言われると雰囲気ががらりと変わる。


「それでは……行きますっ!」

「……来い!」


そこからまた小一時間の近接戦闘訓練が始まり、前回より粘ることに成功したが……結果は惨敗。

近接訓練が終わったら30分ほどの休憩、そしてまた約一時間の魔術訓練後、近接戦闘をする。

それを何度か繰り返し、すぐにその時間はやってくる。


「シュン様……かなりタフですね。」

「そうか?これくらいは全然余裕だぞ?自分自身にヒールしてるし」

「さようでございますか」

「リーサにもヒール渡すから、ほら」


サーっと汚れも落ち、疲れていた体がすっかりと朝同様元気に戻る。

だがリーサはそんな事より……


「シュン様が直接魔術をかけてくださいました!これが俗にいう、ご褒美!」

「違うから」


すぐにツッコミを入れて、やっぱルーナの命令だけでここまでの感情はどう考えてもおかしい。

個人的な感情も入ってるなと確信する。

その理由は何故かは分からないが、別に知りたいとも思わないので頭の片隅にしまっておく俊介。


「お前ら、まだやってたの?」

「ルーナ様!はい、やく半日でシュン様かなりお強くなられましたよ!」

「ああ……見たらわかるよ。それにお前治癒魔術使ったか?」

「はい。ダメでしたか?」

「ダメじゃない。魔術を教えて三日も経たずして治癒魔術を使ったのはかなりすごい。どうやった?」

「えっと、魔力を込めて右手でさっと。治したいと強く願いながら」

「そうか」


(これはやばい。治癒魔術は他の属性魔術とは異なって夢とか願ったりしてできる代物じゃない。)


魔王ルーナはここで確信する。

俊介は、紛れもない。魔術の才能にあふれていると。

そう思えば思う程、ワクワクして今すぐにでも模擬戦と言う形で戦いたいところだが、時間が時間なのでそれはまた今度。


「そろそろ研究施設に向かうから、準備しろ。シュン」

「わかりました」

「リーサやイリアはこの家で待機。何かあったらすぐ俺に魔力で知らせろ」

「かしこまりました」


ルーナがリーサに指示を出したところで全員がトレーディングから出る。

訓練も終わり、少しの休息が取れると思ったのもつかの間。


(……ッ!?これは)


進めていた足をぴたりと止める俊介。


「どうした?」


その様子を見る二人なのだが、俊介はその言葉に反応しず……手を顎に当てたままだった。

俊介が以前、父親と再会したときにつけた魔力。

ルーナの見よう見まねでやったものだったが今もそれは機能している。

そしてその父親の行き先が……


(研究施設に!?いったいどういうことなんだ……ということは、父親もこの件で絡んでいるということなのか?)


どこか嫌な予感がする俊介。

ルーナは何度も俊介の名前を呼び、四回目くらいでハッと気づく。


「おい!シュン!大丈夫か?」

「あ、はい。すみません。大丈夫です」

「ったく、しっかりしてくれよ。今から敵陣に攻め込むんだぜ?」


ルーナは俊介に切り替えるように言うが、何かを隠しているとすぐにわかった。

……が、俊介が話さないのなら詮索するのも野暮かと思いそれ以上は何も言わなかった。


各々の準備が完了し、時はきた。


「よっ……いくか」

「はい!」


二人の魔王の服装は現魔天会議の時と同じ服。

だが俊介の特注マントは今回はおいていくらしい。

本人曰く、あれがあったら自分の成長につながらないとのこと。

ルーナは少し心配するが、俊介の意向に渋々了承した。


「行ってらっしゃいませ」


リーサはそう言い、扉が閉まるまでお辞儀をして見送った。


二人は研究施設にそのまま直行するべく、勢いよく加速する。

屋根を飛び越え、人にバレない道を選び、最速で向かう。

目的地に着くまで、二人は会話をしなかった。

魔王ルーナも今回ばかりはかなり集中しているらしい。

同胞を改造され、魔王自らの手でその同胞を葬った。

いくら魔王とはいえ人の心がないわけじゃない。


(ぜってぇぶっ殺してやる)


俺は別に、躊躇なく人も、魔界人も天界人も殺せる。

許せねぇのは与えられた場所で生きようとしせず、誰かが犠牲にならなきゃ得られない力をえようとしているその愚かさ。

せっかく現界も、現界人も好きだったのに一気に嫌いになる。

こんな世界、もう壊してしまおうか。


(いや、やめろ。情だけで動くな)


首を振り、切り替えるルーナ。

それを見て俊介はさすがだなと思う。


(父さん(あの人)の魔力信号は途絶えずずっと研究施設にいる)


一体そこで何をしているのだろうか。

魔界人を改造しているのか。

それとも改造されてしまっているのか。

どちらにせよ、許せないことだ。

俊介からしたら父親とは初対面同様。育ててもらっていないとしても血縁関係なのは紛れもない事実で変えられないこと。

何とかして救い出してあげたい。

俊介はそう思っていた。


そんな願いを込めながら、研究施設へと走る俊介とルーナ。


——————————————————————————


研究施設の中、一つの部屋に入る二人。

燈 大介と宮野 景子。燈 俊介の両親が対面する。


「それで、今更何の用だ?」


椅子に座り、足を組み睨みつけるようにする宮野景子。

大介は固唾をのみ、声を震わせながら話す。


「や、やあ久しぶりだね景子。元気そうでよかった」

「……ッチ」


舌打ちをして、話にならないと踏んだ宮野景子は再度、大介を睨む。

燈 大介の目に映る燈 景子はとても怖く。昔のような凛々しさも、何かを愛そうとしている気配すら感じなかった。

そして大介は下を向け、ぼそぼそと話し始める。


「俺は今でも、突如として消えた俊介を探してる。そして君の事を恨んでる。何かの間違いであってほしかった。今日はそれを試すために来た。でも、君は俊介を捨てたんだね」

「あの時も私は言ったぞ?言うことを聞かなかったから捨てた……と」

「そうだね。その言うことを聞かなかったというのは子供としての事なのか、それとももっと別の()()()()によるものなのか。それだけ聞かせてくれないかな。」


何を言っているんだと、眉をあげる景子だが……すぐに理解した。

自分の研究のために息子を利用しようとして、それを拒んだから捨てたのか。

それとも普通の親子であるような、子供が親の言うことを聞かない。ということなのか。

大介はそれが知りたかったのだ。


「君が研究好きなのは知っている。俺もそうだったからね。でも結婚してからすべてが変わった。環境も、何もかも……そしてそれは君もだ。俊介が生まれてから()()()()()()。ねぇ、教えてくれよ。君の何が、そこまで変えてしまったんだ」


親として、至極真っ当なことを言っている大介。

それでも宮野景子はそれがノイズとしてしか処理されず、聞くに堪えなかったのか声を荒げる。


「それをオメェに話して何が変わる?!私は私の追い求める研究成果が欲しいだけ!それを邪魔するなら誰であろうと————」

『代表!この研究施設に凄まじい速度で向かってくる人物が二名!早さからして魔界人かと!いかがしましょう』

「……ッ!?これまた、タイミングよくくるねぇ」


(おそらくは今朝送った改造魔界人を殺した奴らだな)


インカムで状況を伝えられ、大介を殺そうと尖らせていた手を戻し扉の方へと歩く。

宮野景子は警戒態勢をレベルマックスにあげろと指示を出す。


「お、おい!どこに行くんだ!まだ俺との話が終わって————」


大介は立ち上がりドアの方へと向かう景子に向かって走り出すが、手刀で首を叩き……眠らせる。


「すまないね。今お前と話している時間はない。殺すこともできるがお前は使えるかもしれないからな。事が済むまでここで眠ってもらおう」


大介を眠らせ、部屋から出て行く景子。

倒れながら、部屋から出て行くのを見て……


「ち……く、しょう……」


バタン—————


部屋から出て、自分の研究場所へと足を運ぶ景子。


(おそらくは魔界の王、ルーナが来ている。私の研究はこんな所では終わらせない!)


そして試作品ではあるが注射器を手に取り、それを研究員全員に渡す。


——————————————————————————


研究施設に到着した魔王二人。

人目にある研究施設じゃないが、念のため結界を張るルーナ。


「よし、これで一応暴れても大丈夫だな」

「そんなこともできるんですね」

「まぁな……そんなことより、あれを見ろ」


ルーナが視線を向ける先には、入り口で待機している研究員数名。

おそらく二人が研究施設に接近しているというのが伝わり警戒している位のだろう。


「一瞬で殺すのは楽けど、魔界人にでもなったりしたらめんどうだな」


ルーナの言葉に俊介は納得する。

今現状データとしてあるのは空気や食べ物、様々なタイミングで魔界人になるといわれているがそれを直接見てきたわけじゃない。

改造された魔界人としか対峙していないためもし、仮にこの研究員たちを殺し……それがトリガーとなって魔界人にでもなったら厄介だ。

そこで俊介は一つの提案をする。



「本当に魔界人が来るのか?」

「確かな情報らしいぜ、もうついていてもおかしくない。」


研究員たちは疑心暗鬼になりながらあたりを見渡し警戒を強めていた。

すると、前方から一人の男がゆっくりとこちらに近づいてきているのを一人の研究員が気づき銃を取り出してそれを向ける。


「止まれ!何者だお前は!」


髪は白く、右目は紫色……左目には十字架のようなものが入って緑色の目。

そして何より、頭には二つの角が生えていた。

何者だという言葉を発した研究員含めその場にいたもの全員が魔界人、それも位の高い魔界人だと悟る。

それは言うまでもなく、魔王ルーナであり……普段隠している角をわざとあらわにして近づいていた。

両手をあげながら近づいてくるルーナに対し、研究員は銃を突き付けて……


「何者だといっている!答えろ!」

「その必要はないね」


ぷるぷると怯える研究員達。引き金に置いている指もかなり震えており、研究員のうち一人が思わず発砲してしまうが魔王ルーナは避ける。

敵対対象とみなし、全員が銃を撃とうとしたその直後————


バリッ————


青い稲妻が研究員全員を襲い、その場で倒れる。


「おお、いいね。かなり魔力の制御できてんじゃん」

「かなりコツがつかめてきました」


俊介の魔術で研究員達を気絶させ、二人はハイタッチをしてその研究施設の中に入っていく。


「なんか……すごく静かですね」

「ああ、やっぱ俺達が来ることをわかってたみたいだな。外にいた研究員達は俺達を少しでも足止めさせるために行かせたんだろ」


本当に、人の気配すら感じないのだが……その奥はおぞましい空気が漂っていたのは確かだった。

薄暗い研究施設の中を、ルーナは指を鳴らして紫色の炎で照らす。

覚悟はもうしてきた。

人を殺す覚悟も、犯人が誰であっても。

二人はゆっくりと歩き、進んでいく。


すると、何もなかった雰囲気だったが、ずらっと並んでいる扉から勢いよく改造された魔界人が飛び出し二人を襲う。

見ただけでざっと30体ほどか。

こんなにもの被検体がいたのかと怒り半分、申し訳ない気持ちが込み上げてくる俊介。


(気づけなくてごめん。でも、もう大丈夫だから……どうか安らかに)


俊介は襲ってくる魔界人全員にいきわたる雷魔術……と言っても制御しずに勢いよく放っていた。

初級の雷魔術だが、その威力は絶大で上級にも匹敵するほどだった。

一瞬にして倒れこむ魔界人たち。ルーナは俊介の事を信用していて何も手を出さず、前だけを見て歩いていた。

その瞳に光はなく……その先にいる何かを睨みつけていた。


しばらく進むと、その先には数名の研究員達と、魔界人が立っていた。

一人の研究員が合図を出すと全員が走り出す。

走って向かってくる敵を見て魔王ルーナは頭を掻きながらため息交じりに話す。


「芸がねぇな。俺達の事を殺す気で来ねぇとてめぇらが死ぬぞ?」


目を見開くようにし、左目の十字が入った魔眼を使用して全員の動きを止める。

そして、常人じゃ負えない速度で改造された魔界人を殺し、身動きが取れない研究員達が残った。


「な、なんだこれ!?」

「体が動かない!?それに、一瞬で改造魔界人が殺された!?」


ルーナは一人の研究員に近づき、問う。


「てめぇらのボスはどこだ」

「し、しらない……」

「なんで魔界人を改造する」

「そ、それは……」


身動きが取れない研究員達だが、それだけは話したくないのか視線を逸らす。

時間を稼いでるようにも見える行動に苛立ちながら、紫色の炎で一人の研究員を焼き殺す。

そして睨みつけながら、ルーナは言った。


「俺は今機嫌が悪い。俺の欲しい返答がなかったらお前たちを一瞬にして焼き殺す」


ルーナの言葉に一人の研究員がおびえながらも口にする。


「そんなことして、現界の長が黙っていると思うのか!?我々は友好的な関係で、現界で魔力を行使することは禁止されているはず————」


言い切る前に、ルーナは重力魔術を使用し潰す。

そして研究員達を見下すように言う。


「その現界人の長からの依頼だ。テメェらを殺すように言われてる。だから俺達が魔力を使うのは許されてんだよ。それより魔界人を改造したり、自分たちが魔界人になるようにしている方が問題だとは思わねぇのか?」

「お前ら……まさか、魔王なのか?」

「ああ、俺だけじゃない。俺達が……だけどな」


研究員は全員魔眼の力で動けなくなっている。だが、うち一人の研究員が自分の手を動かそうとして……。

それを見逃さなかった俊介は雷魔術で麻痺させ気絶させた。


「それで、これのどこが友好的な関係なんだ?」

「……ッヒ」


魔王ルーナはまがまがしい魔力をあらわにしながら再度、口にする。


「お前らのボスはどこだ」

「し……しらな————」


直後、研究員達の後ろから勢いよく接近してくる一人の女性。

その蹴りをルーナは受け止める。


「誰だ、テメェは」


態勢を整えながら舌なめずりをする女性。

その女性はにやりと笑みを浮かべながら答えた。


「お前たちが探しているボスだ」

「自ら出てくるか。まぁいい」


ちょうどいいといわんばかりに魔力を全開にするルーナ。

俊介はただ、それを見ているだけだった。

それに、父親の様子は見当たらない。

答えは後者なのだと、俊介は結論付け拳を強く握る。


「見えてるな?この魔力が……」


ルーナは鋭い視線を向け、女性……宮野景子は再度舌なめずりをする。

それが答えなのだと読み取ったルーナは、右手に紫色の炎……左手に風魔術を生成しながら近づく。


「何故、こんなことをするのか答えてもらうぞ」


その瞬間、二人は同時に走り出した。

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