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二大魔王~魔王の護衛をしていたらいつの間にか俺も魔王として生きていくことになったので二人で世界を救うことにしました~  作者: Mini
第1章 二人の魔王 現界(現世)任務編

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現界(現世)を案内する魔王様

魔王二人は荒廃した廃墟、ではなく……森林が生い茂る大自然に……というわけでもなく。

扉をくぐった二人は城に似た場所へと飛ばされていた。


(え?失敗した?)


いいや、そんなことはあり得ない。扉をくぐった時、俊介は感じていた。

一瞬のような出来事だが、体が鮮明に覚えている。

魔界から現界に行くときのあ空間というものを。


「よし、ちゃんと現界にこれてるな」


そこでルーナが一言、確信的な言葉を放つ。

だがしかし、俊介はまだしっかりと理解していない。

あたりを見渡しても、先程までいた城の場内とさほど変わらないからだ。


「ここって、本当に現界ですか?」

「ん?何言ってんだ?ってそうか……シュンは物心ついてから現界に来たのは初めてだもんな」

「いや、そうではなくて――――」


俊介の言葉にルーナは不思議そうに首を傾げる。

理解できていない様子だ。


(亜空間でやられちまったか?)


「だって!さっきいた城と何も変わらないじゃないですか!」


この俊介の言葉に、ルーナは手をポンっと叩き納得。

そういうことかと。俊介が理解できないのも確かに無理はないと。

ルーナはにやりと口角をあげ……


「そうか、知らないのも無理はないか。現界人の家はこんなんだよ」

「嘘つけ!」

「うん嘘!」


敬語じゃない。普通のツッコミ。ルーナはそれを見逃さず少し嬉しそうに笑みを浮かべながら言う。


「悪い悪い。ただの悪ふざけだ。窓の外を軽く見てみろ」

「窓の外……ですか?」


言われるがままに、俊介は窓の外に視線を向ける。するとそこには見ず知らずの子供が様々な色のカバンを背中にしょい、黄色い帽子をかぶって道を歩いていた。

他にもビシッと黒いスーツを着こなし、カバンを持って歩いている人。


「なんですかこれは!!!???」

「ハッハッハ、面白いだろ?」

「というより、この家の外観と内側が全然合ってないんですけど!」


俊介は驚いた様子でルーナに近づき、ルーナも「すごいだろ?」と言いながらにやりと笑う。


(すごいなんてものじゃない。ここが現界という場所なのか……)


俊介が現界人なのに魔界の魔王、ルーナ様より現界を知らないのもなんだか不思議な感じ。

そのようなことをルーナは考えながら今度はルーナが窓の方に足を運び、眺めながら口にする。


「内側と外観が違うのは至ってシンプルだ。魔力で家の内側の構造をがらりと変えるだけ。本来は普通のアパートっていうものなんだが、魔力や魔界で使えていたのは変わらず現界でも使える。」

「なるほど。やはり魔力っていうのは奥深いですね。何でもできるじゃないですか。」

「まぁな。それゆえに難しい。ま、だから面白いんだけどな」

「物騒なこと聞きますが、魔界で使えていた武器も使えるんですか?」


俊介の問いにルーナは一瞬考えるようにして、視線をあちこちに飛ばしながら……


(あ、これあんま覚えてない奴だな)


14年も一緒にいるんだ。癖ぐらいわかる。

ルーナはあんまり覚えていないときは視線をあちこちに飛ばす。

ちなみに嘘を吐くときはそこにプラスして唇を尖がらせる。

ルーナは正確に俊介が今思っていることをくみ取り、軽く肩を透けながら言う。


「違うよ!結構シビアなんだよ」

「シビア?」

「ああ、例えばこの世界では銃刀法違反って言って法律というものがある」

「魔界にも似たようなものがありますよね」

「そうだ。だから魔界の魔剣とかをどうどうと持ち歩くことはできない。でもこういう俺の魔眼は別。これは対象を見るだけで現界人には害がないわけだからな。あとパッと見危険ってわからない。」

「要するに、バレなきゃいいって事ですか?」

「そゆこと」


サラーっと結構えげついことをいうルーナであったが、そこはさすが現界人の魔王俊介。根は魔界に住む住人の心と同じだった。


(ま、現界人に害が及ばなければいいだけだし……俺も武器は持ってきてないから今は全然問題ないか)


「あ、そういえば……」

「……?」


ルーナは何かを思い出したかのようにハッと声をあげる。


「どうしました?」

「ちなみに、言っておくが目立つな。魔界の人間が足を運ぶって事はよくある話だが、現界人はあまり魔界人と天界人が好きじゃない。」

「え、でも……魔界と現界は関係が友好的だと……」

「それは表向きの話。向こうは俺達魔界や天界に何も成すすべがないから言うことを聞いてるみたいな感じ……って現界人は勝手に解釈してる。実際仲がいいのは現界人の上層部だけだしな。」


そうか。当たり前だけど全員が全員友好的じゃないんだ。

魔界と天界と違って現界は平和主義……民主主義だとルーナは言っていたなと俊介は思い出す。

言ってしまえばこちらは現界人をたやすく殺したり、操ったりすることもできる。

それに……だ。


「今現界で起きていることは当然現界人もわかってる。だから猶更現界人は俺達の事を毛嫌いしている……ということですね」

「ま、そんな所だ。補足サンキュー」


でも待てよ?俺達はここに来るまでにちゃんとした(ゲート)で現界に来た。

それじゃあ今起こしている奴は……魔界や天界ではなく、現界人の可能性があるということだ。

ルーナもこれをわかっているんだ。わかっていたからこそ、俺を人殺しにさせたくないと言っていたのだと……この時にようやく理解した。


「可能性ってだけでそれが確定したわけじゃない。安心しろ……辛くなったら俺を頼れ。俺がシュンを頼ってみたいにな」

「ルーナ……はい。ありがとうございます。」


俊介とルーナは互いに少し疲れた様子で近くの椅子に座る。


(ここ一週間……ナーシャさんとルーナに稽古をつけてもらったおかげで、言葉を話さなくても互いに意識を共有できるようになった。)


――――————――――――――――――――――――――――――――――――――


約一週間前、魔界の城……トレーニングルームにて。


「今からお前は、俺とナーシャで普通の魔界人と同レベルくらいの強さを身に着けるんだ!」


ジト目を向けながら「何言ってるんだこの人」と言う俊介。

俊介は別に、戦闘技術を身に着けるのが嫌だとか、無理だとかは思っていない。

だが、一度もしたことがないものが、一週間程度でそんなすぐ上達するものではないと俊介は言いたいのだ。

そしてそう思っていることをルーナもナーシャもわかっている。

ルーナは腰に手を当て逆の手で指をビシッと俊介に向けながら口にする。


「お前は誰だ!」

「燈……俊介……?」

「違う!違くないけどそうじゃない!お前は魔王だ!魔王俊介なんだ!」

「それがどうしたっていうんですか?」


「はぁ……」とクソでか溜め息を吐きながら呆れたといわんばかりの表情を向けるルーナ。

ルーナの横にいたナーが俊介に何も言わずゆっくりと……近づく。

俊介まで半分の距離の所で突如として姿を消す……いや、走り出したのだ。


(……消えた!?)


刹那……ナーシャは俊介の背後に立ち拳を振り上げ――――


一瞬遅れて俊介は後ろを振り向こうとし……その振りかざされていた拳がひらかれ俊介の頭をチョップ。


「アダッ!?」

「ふふ……いい反応ですね」


その反応と言うのはどちらなのだろう。

変な声を出したことによる反応なのか、一瞬だけ遅れてしまったがナーシャに反応できたことの方なのか。

俊介はそんなことを考えれないままチョップされた頭をさする。


(今のナーシャの動きを一瞬遅れたとはいえ反応するか!面白れぇなシュン)

(これは鍛えたら……化けるかもしれませんね)


当然のように、ナーシャとルーナは俊介の反応速度と並外れた魔力探知に驚いていた。


「すみませんシュン様。少し試させて頂きました。」

「試した?」

「ええ、あなたが今現在……どこまでの実力なのかを」

「こんなんでわかるんですか?」

「はい。今の普通の魔界人なら私の動きなど反応できませんでしたよ。」

「いや、俺も遅れましたし……」

「シュン様はそれでも()()()()のです。」


ナーシャは獲物を狩るような鋭い目つきで口にする。

まるで野生の猫のように。

俊介はその向けられた目に少し困惑半面驚く。


「要するに……だ。お前は魔王なのに戦闘も知らない赤子。一般の魔界人より魔力量も環境も潜在能力も恵まれてんだ。強くならねぇわけがねぇんだよ。」

「そういう……ものなんですかね」

「お前、今の一瞬遅れながらもナーシャに反応した。どうやって反応した?」

「どうやってって……微量ですが一瞬魔力の動きが見えたんです。それですかね?」

「……ッ!?」


明確には俊介もわかっていない様子でルーナの問いに答える。


(やはり、そうか)


俊介の答えにナーシャは目を見開きながら驚き、ルーナはにやりと笑みを浮かべた。


「ちなみに言っとくが、ナーシャは近接戦闘だけで言ったら俺の次に強いぞ?そんで魔力量はこの魔界で一番少ない。俺の言ってることが分かるか?」


分からない……わけじゃなかったが、ピンと来ていない。

それが俊介の答えだった。


「お前は戦闘したことないのに魔界だからいつも魔力の流れを見てきている。」

「それはまぁ、魔界にいる以上魔力は飛び交ってるわけですしね。」

「そこの感覚がお前は普通の人間よりも優れてる。一番魔力が少ないナーシャの動きを微量の魔力の動きで反応したのならそれが答えだ」


(ってことは……どういうことなんだ?)


俊介は首を傾げながら考えるようにするのだが……先程と同じようにルーナが腰に手を当て指をビシッと立てて白い歯を見せながら……


「お前は最強になれるって事だ!癪だが、俺以上にな!その素質をお前は持ってる!」

「……ッ!?」


そう言われた瞬間、心が躍った。

例えるなら……歯車がはまり動き出したかのように。

最強……男なら誰しも夢見ることだが俊介はその言葉に惹かれたのではない。

魔王ルーナと、肩を並べることが出来るかもしれないという所に惹かれていた。

ルーナは超えるかもと言っていたが俊介は到底そう思っていない。

けれど――――――――――――――――――――


(護衛と言っておきながら守られてばっかの俺が、今度はちゃんと俺が護衛できる)


そう思うだけで、ものすごくやる気が出てきた。


「この一週間、いや……あなたと肩を並べるなら俺は何でもします。よろしくお願いします」


俊介の言葉にナーシャもルーナも笑みを微笑する。


「だがお前はまだ雑魚のへっぽこだ。今から言うことを常に意識しろ。魔力を常に纏い相手の魔力を()()()()。具体的には、心を」

「心?ですか」

「ああ、俺らはそれで天界人に似たような心読みをしてる。試しに俺の心を読み取ってみろ」

「……わかりました」


そんなことを言われてもすぐにできるわけがない。と思い込んでいた三人。


(集中しろ……魔力を全身に纏う)


青色と紫色の魔力が俊介の体全体に纏う。

ナーシャはその異様な魔力に驚いていた。


「魔力量が桁違いに多い……と言うわけですか?」

「少し違うな。魔力量が多いんじゃない。魔力が濃いんだ。」


ナーシャは何を言われているのかわからず咄嗟にルーナの方へと視線を向ける。

ルーナは笑っていた。

驚き半分、恐怖半分と言ったと所か。


(まじかよ。こりゃあやべぇ……魔力量が多いというわけではないから少し心配していたが、これは相当だぞ)


「ルーナ様、魔力が濃いというのはどういうことですか?」

「簡単な話だ。俺含め普通の奴は魔力は一から換算する。だがあいつは違う。百なんだよ。」


同じ量でも相手が魔力量1なのに対し、俊介は100あるということ。

潜在能力でプラスして、ルーナの魔力も混じっているからなのか。

とにかくこんなの、今までの魔界人にはいなかった。

だからこそ……ルーナは恐怖を感じていた。


(父さんが興味がわいたというのはこういうことなのか?)


大魔王サタンとの会話を思い出し、俊介から目を離さない二人。


「……おびえている?」


俊介がルーナの心を読み取り、自然と口に出した言葉だ。

結論から言うと当たっている。けれど当然そんなのは認めないルーナ。


「ま、ちがぇけどいいよ。それを常に意識しろ。それが現界で俺とお前の連絡手段になる」

「わかりました」


――――————――――――――――――――――――――――――――――――――


椅子に座りルーナは視線を俊介に向ける。


ルーナに言われていたことをしっかりと意識できていると一目でわかった。

体に纏っている魔力も最初は雑だったが今では洗礼されている。

薄く張り、常にルーナの心を読み取っている俊介。


「これからどうしますか。一応今夜、データにあった発生源に場所に足を運びますが」


俊介は手を顎に当てながら口にする。

しかし、ルーナはもう、答えが出ていた。


「どうするって、決まってるだろ!現界にきてずっと家にいるなんて勿体ねぇ!」

「……?」

「俺が現界を案内してやる!」

「……ルーナ」


すっかり、頭から離れていた。事件の事しか考えていなかった俊介。この空いた時間をどうするかと必死に考えていたが、確かにそうだ。この現界の事は知っておかなくちゃならない。

ルーナはすぐ椅子から立ち上がり、俊介に手を差し伸べ笑いながら言った。


「行こうぜ!シュン!」

「はい!」


差し伸べられた手を取り、二人は外へと出る。



「うわぁ~!すごい!なんですかあれ!」

「あれは自動車って言って油を使って走らせてるんだぜ!」

「なるほど……面白いですね!」

「だろ?」


二人は外に出るなり、子供のようにはしゃいでいた。

ルーナは深刻そうにしている俊介の気晴らし程度になればいいかと思っていたが、当の本人もものすごく楽しんでいる様子。

俊介はまた「なんですかあれ!」と、次は自動販売機なるものに指をさす。


「ふっふっふ、見ておけよ」


チャリン……とお金と呼ばれるものを入れ、ピッと鳴らす。

すると、ガシャンと言う音とともに一つの飲み物が落ちてきた。


「なんですかこれは?」

「モーラっていう炭酸水なんだ!これがまじでうめぇから飲んでみろよ!」


言われるがままに俊介は一口飲んでみる。


「……ッ!?」


(な、なんだこれは!!??)


口の中にシュワシュワとと広がりパチパチ口の中を刺激するこの感覚。

そしてその後に広がる甘い味覚!なにより!俊介が一番驚いたのが……


「のどに刺激するこの感じ、すごくおいしいですね!」

「だろ?俺この飲み物がすげぇ好きなんだけど、魔界には現界の飲食を輸入できねぇからこうやって来た時にしか飲めないんだよね」

「これはまた飲みたくなりますね!」

「よし、次はあそこだ!」


次の目的地。それはすぐ目の前にあった。


「ボウリング場?」

「これはすげぇ簡単なルールだ。このボールであそこにある十本のピンを多く倒せた奴が勝ち!」


そう言いながら魔王ルーナは投げる。

綺麗にボールは真ん中を貫き、横にある画面がストライク!とでる。


「ほら、次はシュンの番だぜ」


コロコロと戻ってくるボール。それを手に取りルーナと同じように投げる俊介だが。

うまくいかず、途中まで真ん中だったボールが半分を過ぎたところで徐々に右に行ってしまいガーター。

横にある画面がッ俊介をあおるように「どんまい!」という表示が出る。


「途中まで真ん中だったのにおしかったな!」

「これ、すごい難しいですね」

「最初は俺もガーターでへたくそだったよ」


その横で、俊介と変わらないくらいの年齢の人たちが楽しそうにはしゃいでいる。

俊介はそれを見ながら一言言った。


「現界は、平和でいい世界なんですね」

「ああ、俺の好きな世界だ」


ルーナも楽しんでいる人たちを見て微笑みながら口にする。俊介はそれを見てこの人は本当に優しくていい人なんだと、実感した。


「やーい!ざ~こざ~こ!」


この時までは。

次に来たのはダーツと言われる場所。

このゲームは少し特殊で得点が高くなればなるほどではなく、先に0にした方の勝ちと言うものだった。

そこで俊介は惨敗。


「くっそ……悔しい。」

「初めてにしては上出来だったけどな」

「それでもルーナに負けるのが悔しいんですよ」

「はは~ん俺に勝つのは百年はえーよ」


ルーナは左手を腰に当て、右手をおでこにあて前髪を掻きあげながら見下すように言う。

はたから見たらすげぇ痛い行動に見える。が……ルーナは生憎と顔がいい。周囲にいた人たちは少しかっこいいなぁと思いながら二人のやりとりを見ていた。

俊介は当然のように腹を立て、自販機に向かって先程買ったモーラを買ってがぶ飲みした。


そこからしばらく街をぶらぶらと歩き走りまわり、気が付けば夕日がさしていた。


「どこ行くんですか!」

「もうちょっとだからついてこい!」


笑いながら走り去ってくルーナを後ろから追いかける俊介。

階段を上り、とあるビルの屋上に上がっていた。

二人はその場所につくなり、キラキラした目で街を眺めた。


「綺麗ですね」

「だろだろ!前来た時みつけたんだ」


太陽でルーナの紫色の瞳がキラキラと輝く。光に反射して眼孔からでもきれいに映る程だった。

俊介の青い両の目の瞳を輝かせて街を眺めていた。


「楽しかったか?」


ルーナは俊介に聞いた。互いに、街を眺めながら会話を始める。


「ええ、おかげさまでものすごく」

「それはよかった。シュンにもこの世界での楽しさを知ってほしかったんだ。って、俺がお前を魔界に連れてきたのに何言ってんだだよな」


にししと笑いながら話すルーナ。だけど俊介はそこに一切恨んでなんていなかった。

それは互いに心を読めるからわかることで。


「確かにそうだったかもしれません。ですが、俺はあなたに出会ってあなたとここの世界にこれた。それがすごく嬉しいんです。」


夕日のせいなのか、照れているのか、頬を赤らめるルーナ。


「こんなに楽しい世界に連れてきてくれてありがとうございます」

「お……おう、そりゃよかった」


ぽッと再度赤くなるルーナ。

俊介の青い瞳にルーナの姿がはっきりと映る。


「俺もこの世界が好きです。だから、絶対にこの事件を解決したい。もっと現界が平和に暮らせるような世の中にしたい。」


俊介の言葉にルーナは笑みを浮かべて……


「そうだな。そうだよな」


そう答えた。


いくら心を読み取れるからと言って、全て読めばいいってものじゃない。

言葉にしなきゃわからないこと。

言葉じゃないと伝わらないもの、それがあるというのを二人は知っている。


俊介の言葉はどれも温かい。

嫌な感情もほとんど感じたことない。

そこに乗せられる言葉はどれも優しいもので、どれも本物だった。

それを再確認できたのが、ルーナはとてもうれしかった。

心の奥底から嬉しいという感情が、温かい感情が出てくる。

俊介もまた、同じだった。

二人はそれを……互いの魔力で読み取ったいた。


「現界の案内はこれで終わりだ。ここからはもう、俺達も切り替えないといけない」

「はい。この事件はいったいどこで行われているのか。そしてそれは現界人なのか、魔界人なのか。天界人なのか。それを突き詰めて犯人を捜し、殺す」

「それが、今回の俺らの()()だ」


ルーナは拳を俊介に向け、俊介は何も言わず自分も拳を作り当てた。


これが、初めての仕事。

今まで俊介はただ魔王ルーナの後ろについているだけだった。

それだけで脅威だったのだが、今回は……今回からは違う。

肩を並べて同じ死線をくぐる仲になるのだ。


初めての……魔王、俊介としての仕事。


日が落ち、すっかりあたりも暗くなった。

先程よりも冷たい風が二人をなでる。


そして、二人の魔王は暗くなった夜道に姿を消した。

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