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二大魔王~魔王の護衛をしてたらいつの間にか俺も魔王として生きていくことになったので二人で世界を救うことにしました~  作者: Mini
第1章 二人の魔王 現界(現世)任務編

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大魔王降臨。そして二人の魔王が現界(現世)へ

大魔王様に続く扉を開けて、足を運ぶ俊介と魔王ルーナ。

扉を開けても道は続いており、薄暗く、どよめいている空気だ。


(すげぇな……確かにこれは来れる人も限られるわけだ)


理由は単純。魔力で押しつぶされそうになるからだ。現界人や魔界の住人、天界の住人はこの空気に触れただけで飲み込まれてしまうだろう。それくらい危うい空気だ。


「厳密にいえば魔力、エナジー、マナ。すべてが入り混じってこんな空気になってるんだけどな」


魔王ルーナはまたいいタイミングで言い、俊介は少し驚いた様子。


(何この人、もしかしてルーナもリュカと同じように心でも読めているのか?)


そう思わせるほどのタイミングが何回か続いている。もしかしたら何か心を読める何かを魔界の人間も持っているんじゃないかと……期待したところで――――


「ついたぞ」


魔王ルーナは足を止め、少し上を向いていった。


「……?ここって?」


俊介は困惑気味に首を傾げる。それもそのはず……ここは何もない。真っ暗闇だったからだ。

だがしかし、その数秒後……ルーナは声をあげる。


「来たぞ……父さん」


その声に反応し、ぬぉん……とただならぬ殺気のような空気を感じる俊介。すかさず身構える。


「話は聞いている。魔王誕生……我の血筋ではないものからの誕生。そやつか」

「ああ……ほら、シュン」


魔王ルーナは俊介の背中を軽く押し、前に押し出す。当然戸惑う俊介。

無理もない……今現在目の前、いや……俊介とルーナの周りは真っ暗闇で俊介からするとその大魔王様は目視出来なかったからだ。


「一体……どこに?」


視線をあちこちに飛ばし、何もわからなくなった俊介は肩を竦める……のだが、大魔王様はどすのきいた声で笑い、からかっていたかのように周りが火で灯されその姿があらわとなる。


「……ッ!?」


(嘘だろ!?なんだこれ、これが……三つの世界を作ったといわれる大魔王様なのか!?)


「いかにも……我の名はサタン・ベラニカ」

「サタン・ベラニカ……」


まごうことなき、ルーナの父だ。ルーナは隠しているだけで頭に二本の角がある。このサタンもどうよう、角がある。しかもデカい。とにかくでかい。超絶ムキムキマッチョ……というわけではないが、ものすごく大きい体に全身からこの場所に続く扉を開けた瞬間から漂わせている魔力、エナジー、マナを覆っているのだ。


皮膚はルーナと違い赤く、目は黄色なのだが、両目にルーナの左目にあるような十字が書かれている。

まじまじと見るものではないと分かっていながらも俊介は見てしまう。

ルーナが何度も俊介の名前を呼び、ハッとし……少し戸惑いながらも自己紹介をする。


「初めまして……大魔王サタン様。魔王ルーナ様の護衛をしている 燈 俊介というものです」


俊介が挨拶をすると、これまたどすのきいた声でハッハッハと笑い、サタンも驚いた様子で話し始める。


「面白いな。お前ほどの男が我に敬語か……我から近くなればなるほど普通の奴なら正気を保てなくなる。だがお前はそれどころか我が息子ルーナと同じく立っている。」


どうやらこれは、本当にすごい事だったらしい。


「あ、ありがとうございます。」


「おまけにお前は現界人……面白い。面白いな。たかが普通の人間だった奴がルーナの魔力を吸い取り自らを魔王にするその力。そして我の魔天魂をくらってもぴんぴんしているその体。」


刹那——————


俊介が反応できない程の斬撃が飛んでくる。

ギンッという音が鳴り、俊介は横を見る……するとルーナが両の手の人差し指で十字を作り、左目の魔眼で俊介を守っていた。


「やめてくれよ父さん。シュンはまだ戦闘が出来なくてね。そういう面はまだからっきしなんだ」

「ハッハッハ……すまんすまん。少しお遊びが過ぎたな」


俊介は何が起きているのか全く分からない……というわけではなかったが後ろを見て、その斬撃の後を見て驚愕していた。


(まじでさぁ……勘弁してくれよ。父さんの斬撃を止めたの今の俺で結構ギリなんだぜ?それに戦闘を全く教えていないのに斬撃が飛んでくる直前、俊介は体が勝手に反応したように動いていた。それが微かだったからそれが偶然なのかわからないが……)


十字に作っていた人差し指を解き、結界魔を解く。


「いいね。燈 俊介……本来ならここで殺すつもりだったがお前に興味がわいた」

「……興味?」

「お前を迎え入れ、これからはルーナと同じく魔王……いや、二大魔王として魔界の滞在を許可しよう」


大魔王サタンの言葉にルーナは「ひとまずよかった」と言いたげな溜息を吐く。


俊介は反射的に礼を言って頭を下げた。


(機嫌を損ねるなっていうのはそう言うことだったのか)


ルーナは俊介が殺されるかもしれない、ではなく殺すというのが分かっていた。そしてルーナはそれを庇う目的でついてきた。最初から全部説明してくれよと言いたくなる案件だがこれはルーナなりの優しさなのだろう。

不器用なルーナだがやはりやるときはやる。実際守ってくれたし何の文句も言えない。

と、そこまで考えながら俊介は「何で興味がわいたんだ?」と思いながら軽く傾げ……ようとして――――


「お前たちはこれから現界に行く……その理由は分かっているな?」

「現界人が魔界人や天界人にさせられている。その現象を俺達が止める……ってことだろ?」

「そうだ。厳密にいえば違うがな」

「どういうことだ?」


ルーナは眉をピクリと動かし一歩前に出て聞いた。すると大魔王は即座に応える。


「止めるのではない。主犯格を殺すんだ」

「ころ……ッ!?」

「ッチ、っぱそうなるのかよ」


俊介は驚き、ルーナはなんとなくそうなることを察していたかのように舌打ちをした。

止めると殺すは同じように見えるが全く違う。この騒動を起こしている奴を止めて報告する。普通の任務や依頼ならそうなのだが、殺すということはそれすなわちルーナや俊介にもそうなるというリスクがある。

ここで大事なのは止めるか殺すかではなく、大魔王様が殺すといった事。それは魔界に被害が及ぶということだ。

俊介は大魔王様に言った。


「大魔王様は、誰がやったのかわかるのですか?」

「全部が分かるというわけではないが、大方現界人がやっているのではないかという予想はしている。まぁそのバックには魔界か天界人がついているがな」

「魔界に関して……いや、この世界に関してならあなたはそれを作った神様です。」

「……というと?」


大魔王サタンは俊介を睨むように聞く。その横でルーナは少し身構えていた。


(いったい何を考えてるんだ?俊介……)


あれほどくぎを刺すように機嫌を損ねるなと言ったルーナ。体中から変な汗が出てもおかしくはない。


「俺達を試している……って事でいいんですね?」


敬語を使っているはずなのにすごい威圧的な態度にも見えてしまう……それもそのはず。いつもは優しい目をしている俊介の目に光はなく、つり目のようになっていたからだ。


(こっわ……こんな顔するんだなシュンって)


初めて見る目を見て思わずルーナはビクッと肩を動かしてしまう。

いつもは笑って宥めていたけど、怒らせたらこんなに怖いのかと。そこでふとルーナは思う。

何故、こんなにも俊介は怒っているのだろうと。いや、ルーナからしても怒ることがある。


(俺はともかくシュンは戦闘をしたことがない。イコール人を殺したことがない。)


そう……これから現界に行ってやることは人殺しだ。それを俊介にさせるというのは納得のいかないものだった。

数秒の沈黙が続き……大魔王は口を開いた。


「安心しろ。お前が思っていることは全部とは言わないが間違っている。そう思わせてしまったのは申し訳ないと思っている」


(父さんが……謝った!?)


今日一番の驚きを見せるルーナ。父親が謝っているところを一度も見たことがない。何百年と生きてきて一度もだ。そんな父が俊介に申し訳ないといった。これはもう前代未聞と言ってもいい。

俊介というのはいったい何者なんだ?もしかして俊介を拾ってきたのはすげぇことなんじゃねぇか?と考えてしまう、それほどにルーナは驚き半分嬉しさが込み上げてきていた。


「この件……お前たちに任せるぞ?いいな?」

「はい。絶対に解決します」

「わかった」


そういうと、真っ暗になり大魔王サタンは姿を消した。


「いなくなった……?」


魔天魂と呼んでいたものもなくなり、完全にいなくなったと理解する二人。


そこで――――


「お前!まじでビビったぞ!?もう父さんに変な態度するのはやめてくれよ?」

「一度ルーナごと殺そうとしたんですよ?そんなような人、いくら大魔王様でも許せません。俺の一人の友人なんですから」

「お前……よくそういうこと平然と」


嬉しそうにしながらも怒りながら頭を掻くルーナ。


「でも、何で俺達を試してるってわかったんだ?」


ルーナは俊介に聞いた。すると俊介は軽く視線を彷徨わせ、ルーナを見ていった。


「三つの世界を作った神様なら多分ほとんどを把握していると思ったんだ。今まで大魔王様は表舞台には顔を出していなかった点からわかってはいるけど動けない。だからこうして俺達を利用して解決させようとしているんじゃないか……って思っただけです」

「ほぇ~すげぇな。それは盲点だったぜ」


ルーナも確かにと納得しながら頷くのだが、思い出したかのようにハッとし俊介に真摯に聞いた。


「お前、本当にいいのか?」

「何がですか?」

「父さんはお前を魔王として認め、お前は正真正銘魔王シュン……になったんだ。でもお前は戦闘のせのじもないただの人間同然だ。めちゃくちゃ防御力の高いな」


ルーナの言葉に何を聞かれているのか、俊介はようやく理解した。


(俺に人を……殺せるのか……か)


「そうだ」

「……気になってたんですけどルーナも心読めますよね?」


ここでもう我慢の限界。今のは確信犯でしょ。と言わんばかりに俊介はルーナに聞いた。

実際今のは心を読まれたと思ってしまう。

ルーナは「あ~」と少しうなりながら人差し指を唇に当てて答える。


「天界みたいに正確に読み取ることはできないけど、なんとなくわかるんだよ。空気のどよめきみたいな感じで魔力が揺らぐんだよ。そこで感情を読み取る。」

「……なるほど」


すごい高度なテクニックだって事は分かった。


「いっとくけど、お前もこれくらいできるようにならないと話にならないからな」

「ですがどうやってやるか全く――――」

「安心しろ。全部俺が教えてやる。」


ルーナはサムズアップしながらにっこり答えた。その様子を見て俊介は少しいやな予感だなぁと思いながらも流した。



それから二人は部屋に戻り、今後の動きを話し合っていた。


「にしても……現界に行って主犯を殺すっていうのは分かったけど、何も手掛かりがないじゃ話にならなくね?」

「そうなんですよねぇ…」


さっそく行き詰ってしまう二人。それはそうだ……大魔王様にあってそのことに関して話が効けると思っていた二人だがこれと言って手がかりの手の字もなかった。魔王に就任した俊介とその俊介と大魔王での心理戦のようなものが一瞬広げられただけ。あと斬撃も。


(現界に行けば何かわかることもあるかもしれない……というよりそれが一番早いのかもしれない)


心の中でつぶやきながら、一つ思い出す俊介。


「そういえば、天界の人から症状データ届いてるんですよね?そこの発生源とかを見れば何かわかるかもしれません」

「確かに!……って俺が持ってるんじゃなかった」


「おっ!」といいながら起き上がるルーナだが、すぐにシュンとし、俊介はそれにジト目を向ける。

そこでタイミングよくこの部屋のドアが開いた。


「こちらがデータになります」

「さすがナーシャさん。ありがとうございます。」


金髪の長い髪にフリフリのメイド服を着て登場したのはルーナと俊介の直属メイド。この部屋を無断で開ける権利を持っている。


「ナーシャ、現界にうちの所有する城ってあったっけ?」

「えっと……確か東京という場所にあったはずです」

「そんなさらっと……」


ナーシャとルーナの話し合いについていけない俊介。ルーナは「何が?」という顔をしながら渡されたデータを見る。


「うん……まぁだいたいのめぼしはついた。うっし……一週間後、さっそく現界に行くぞ」

「案外先なんですね」


データを見て大方の発生地とその症状を頭の中に入れる俊介。


「ま、まだまだやりたいことがあるからな。主にお前」

「俺ですか!?」

「当たり前だろ……ナーシャ、お前も手伝ってくれるか?」

「当然でございます」

「うっし!そうと決まれば……ちょっと場所移動するぞ!」


(げぇ……本当に嫌な予感)


そう心の中で独り言ちながら天井を見上げる俊介だが……なんとなく、いや、こうなるというのは分かっていた。

三人はそうして、この部屋から出て……とある場所へと向かっていた。



あれから一週間が経過した現在。ルーナと俊介は現界に続く扉に来ていた。


「そんじゃ、準備はいいか?シュン」

「はい……いつでも行けます」

「魔王様方、気を付けて行ってらっしゃいませ。わたくしたちは帰りを待っております」


ナーシャは魔王二人を送り出すためついてきていた。

ルーナ曰く、この任務は少し時間がかかりそうとのこと。そしてそれとは別に、ルーナも俊介も少し問題を抱えていた。


(約14年ぶりの現界……そこで漫画というものに出会い今もどっぷりはまっている。くっそ楽しみだぁぁあああああ!)


心の中ではしゃぐルーナ。といっても、この二人にはもうそれがバレバレなのだが……。


(現界人とは言え最後にいたのは14年前……俺が2歳の時だ。現界がどんな場所だったか。母親も父親も覚えているわけがない。少し怖いな)


ルーナとは裏腹に、俊介は少しおびえている様子だった。それを誤魔化すように右手を握るがかすかにふるえている。そしてそれは、二人にバレているわけで……。


「ごめんな。俊介……」


突如として謝りだすルーナ。その言葉に俊介は驚く。


「どうして、謝るのですか」

「だって、捨てられていたとはいえお前を両親から離したのは俺だ。それが少し申し訳なくてな」


視線を逸らし気まずそうにしながら話すルーナ。俊介はその様子に少し笑いながら答える。


「大丈夫ですよ。俺は魔界から離れたいなんて一度も思ってないですし、両親に関してもあまり思っていません。そりゃ、多少気になりはしますけどね」


ルーナが声をかけてくれたことによって気持ちが落ち着いたのか、手の震えも止まっていた。


「それじゃ、行きますか!」


そういいながら俊介は右手を軽く上げ、その意図をくみ取ったルーナは笑みを浮かべながらハイタッチを交わす二人。


「おう!行くぜ!相棒!」


こうして二人は現界に繋がる扉をくぐり、ナーシャはその後ろ姿を見ていた。


「いってらっしゃいませ」


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


現界にて、東京都■■■区——————


「今日のご飯だぞ。俊介……父さんな、少し特殊な仕事に就いたんだ」


楽しそうに話す父親らしき男。その前に仏壇……そしてその日のご飯。

目の前の写真には、当時2歳だった男の子の写真が飾られていた。


「……もう一度、お前に会えたら――――」

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