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二大魔王~魔王の護衛をしてたらいつの間にか俺も魔王として生きていくことになったので二人で世界を救うことにしました~  作者: Mini
第2章 魔王俊介視点 ガウルド国編

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14/23

二人の魔王が別々になるようです

魔王就任式の前日、大魔王サタンと俊介の会話。

 大魔王サタンは顎に手を当てながら話し出していた。


「これだまだ二人に話していなかったな。次のお前らの事なんだが、ルーナは天界へ呼び出しをくらってしばらくは魔界の事は俊介、お前に任せようと思うんだ」

「……はい?」


 何を言われているのかわからない様子。それもそのはず、現界から帰って来て早々ルーナは天界へ行くなんて思わなかったからだ。

 実際、ルーナが天界に足を運んだところはこの14年間で見たことがない。

 俊介は眉をひそめながら聞いた。


「それは、現界で起きていたことと関係があるのでしょうか?」

「そうだ」


 大魔王様はそう言い返すだけ言い返し、俊介は肩を竦める。


(なるほど……嫌な予感がするって言っていたのはこういうことだったのか?けどそんなにピンポイントで当てれるのか?)


「不満そうな顔をしているな」

「不満と言うか……ルーナがどうしてこのことを予想していたのか疑問だっただけです」

「少し違うな」

「それはいったいどういう……」


 俊介は食い気味にそう聞く。すると大魔王はにやりと笑みを浮かべながら自分の顎をさすって言った。


「ルーナはおそらく、現界での事件の裏で動いていた魔界人か天界人……そのどちらかの尻尾を掴めなかった。そうなれば必然的に、予想できる」

「天界人の方が怪しい……それは分かりますが、二人ではダメなのですか?」

「今回、現界での任務はルーナは付き添いという形で行った。お前を正式に魔王にするためにな。そしてそれは達成された。そしてもう一つ。それは天界人からの直々のオファーが来たんだよ。お前もよく知っている人物からな」


 そう言われ、リュカの事が頭によぎった。

 あの二人はどこか腐れ縁っていう感じがしていた。まぁ主にはルーナが嫌っていただけだけど。

 けど仕事となれば別の話。ということなのだろうか。

 どちらにせよ直々のオファーなら仕方のない事だ。もうこちら側から言えることはない。

 

「わかりました。それではこの話は俺からルーナに伝えておけばよろしいでしょうか?」

「いや、いい。この話は俺からする。魔王就任式後に呼び出すつもりだ。間違っても口を滑らすんじゃないぞ」


 どうしてかと、聞こうとしたが俺からルーナに話せば駄々をこねて行かなくなる。それが目に見えてわかったからだ。

 頭の中で創造してそれをジト目で見る俊介。そして頷き了承した。


(それじゃあ、しばらくルーナがいない魔界生活になるということか)


 終わったら魔術について少し稽古つけて貰おう。

 そんなことを考える俊介。

 魔王に就任したら一人で戦うということも増えてくる。そしてこの魔界は不思議なことに俊介の知らないことだらけで溢れかえっている。14年も生きているのに……国の事や内政事情。魔術はもちろんこの世界にはルーナに匹敵するほどの魔界人であふれかえっている。

 これは……一つの試練とでもいうのだろうか。


「俺が魔王として、一人で魔界をどうにかしろと……そう言いたいのですか?」

「ハッハッハ、そこまでの事は思っておらんよ。けど、そうだなぁ」


 魔王派笑いながらそう言い、次の瞬間人差し指を立てて真摯に告げた。


「一つ言うとすれば、この魔界に認められる魔王になって見せろ。そうすればお前が先程言ってた大魔王の座をかけて勝負をしてやらんこともない。」

「……魔界にいる全員に認められる……」

「ルーナは俺の息子だというだけで魔王になったのではない。厳しい競争の中で勝ち取った魔王。だからあいつは魔界に住む人々、強者たちに認められている。だがお前は違う。ルーナの魔力を吸い込み魔王の素質を持った現界人。それだけで魔界の魔王になったのだ。信用の差が違う」


 正直、何も言えなかった。

 事実だったからだ。

 両手を強く握りしめる俊介。結局の所、魔界の全員に認められなければ天界人と魔界人、そして現界人が仲良く暮らせる世界なんて作れない。今そんなことを言えば笑われるのがおちだ。

 だからこそ、誰よりも強くならなくちゃいけない。

 魔王ルーナを超える魔王に……でなきゃ俺の夢は夢で終わってしまう。

 俊介は視線を大魔王サタンに向けて、口を開く。


「わかりました。ルーナがいない間。俺がこの魔界を守りますよ」

「そうか。期待しているぞ」


 そう言って大魔王は姿を消し、俊介は自分はすぐに自室に戻りルーナをトレーニングルームに誘ったのであった。


————————————————————————


 大魔王の話が終わったルーナは自室へと戻り、漫画をペラペラとめくりだす。


「おかえり。ルーナ」

「おん」

「何か飲みますか?」

「いらねぇ」


 淡白な返事をするルーナに俊介とメイドたちは困惑し、互いに目を合わせてアイコンタクトらしくものを取る。


(何でこうなってるの?)

(さぁ……わたくしたちにはさっぱり……)

(とにかく、今は怒らせないようにしよう)

(そうですね)


 心の中で意思疎通を交わし、自然と、あくまで何事もなかったかのように過ごそうと……俊介が思った瞬間、ルーナが話し始める。


「なぁ、シュン……お前、一人で大丈夫か?」

「……!?」


 ルーナは漫画を見ながらそう質問した。

 俊介は最初、誤魔化そうと思ったがそれをしても意味がない。ただルーナの機嫌をさらに損ねると思った俊介は正直に頷きながら言った。


「大魔王様から聞いたんだね」

「ああ……リュカの野郎が直々に天界に来るようにオファーを出してきてな。しばらくは魔界を空けることになりそうだ」


 ルーナはそう言うと、漫画から視線を外し俊介の方へと視線を向ける。

 大魔王サタンが話したということは、もう隠すことはしなくていい。俊介もルーナの方へと視線を向け真摯になる。


「俺は正直、お前が心配だ。シュン。この魔界はお前が思ってるより複雑で……強い奴がたくさんいる。実力だけなら俺より上の奴だっている。なるべくお前の傍にいたいというのが本音だ」


 ルーナは自分が思っていることを俊介に話す。

 少し過保護すぎる気もするが、ルーナの言いたいことは分かる。

 このままではただ俊介が他の魔界人に殺される可能性だってある。

 だが、俊介の気持ちは変わらなかった。


「ルーナ。俺はね……強くなりたいんだ。もっともっと強くなって魔界の人達に認められる魔王になりたい。そうしなきゃ、俺の夢は叶えられない。それに、こういう時のためにリーサ達を魔界に連れてきたんでしょ?」

「まぁ……うん。そうだけど……」


 ルーナはリーサ達の方を見ながら納得のいかない返事をする。

 俊介の強さを疑っているわけじゃない。ただこの時、ルーナは単純にこう思っていた。


「なーんで引き留めてくれないのさ!」

「え?」

「俺がいなくなって寂しくないのかって聞いてんだよ!」

「いや、え?さびし……え?今結構真面目な話してたよね?」

「そうだよ!俺が寂しいって思うのも真面目な話だろうが!」

「なんそれ」


 子供染みたセリフが飛び交い、俊介は真摯に話したことを後悔するように溜息を吐く。

 メイドたちはその様子をジト目で眺めていた。


「いいか!お前は、俺の護衛であり、魔王なんだ!」

「……ッ!?」

「俺はお前がいないとつまんないし、困る!」


 ルーナは真っすぐに俊介を見ながらそう言った。

 護衛……そうだ。元々は護衛の身だったんだ。そして現魔天会議で魔王となった時、ルーナは確かに言っていた。護衛であり、魔王だと。そしてそれは俊介が選んだ道でもあった。

 俊介はこの時、自分が言った事と今の心境についての変化に少し反省をした。


「ごめん————」

「謝ってほしいんじゃない!お前はどう思うのかが知りたいんだよ!」


 紫色と緑色の瞳に、自分が映る。

 その時の自分は戸惑った表情をしていたが、ルーナからのその問いに俊介は即答していた。


「寂しいよ。ルーナがいなくなるって考えるだけでどうしていいかわからない。俺は14年間ほとんどこの城でしか暮らしていない。魔界の国に関して何もわからないことだらけだ。怖いよ」


 俺は、覚悟を決めていたのにどうしてこんなことを言ってしまったのだろうか。

 気が付けば自然と、言葉が溢れていた。

 俺は魔王になったんだ。もっと強くならないといけない。魔術を極め、皆に認めてもらわなければいけない。だから覚悟を決めた。それなのに、ルーナ達の前で放った言葉がこれだった。

 我ながら情けないと感じた。

 でも、ルーナは弱音を吐いた俺に笑うということも、けなすということもせず……ゆっくりと実らに近づき肩に手を置いた。


「それでいいんだよ。少しはすっきりしたか?」

「……え?」


 一体、どういうことなのか。俊介はさっぱり理解できなかった。

 すると、ルーナは微笑しながら続ける。


「怖いもんは怖い。言わなきゃいずれ耐えきれなくなっちまう。お前は一人だけど、一人じゃない。頼れる奴がいる。そりゃ会えないのは寂しいけど、ちゃっちゃと片して帰ってくるからさ!だから俺が帰ってくるまでお前はもっともっと強くなるんだぞ?」

「ルーナ。うん……ありがとう」


 心なしか、気持ちが楽になった。

 自分の気持ちを言葉にして言う。これだけでかなり違うのかと驚いたが、きっとルーナも魔王になった時同じことを思っていたのだろう。

 ルーナなりの元気づけのつもりなのだろうか。

 いずれにせよ今の俊介にとってものすごくありがたかったのは確かだ。

 

「けど~?父さんに口止めされていたとはいえ、隠していたのは納得できないけどなぁ」

「そ、それは仕方ないじゃん?さすがに約束を破るわけにはいかないし」

「ま、それもそうなんだけどな」


 ルーナは後頭部で手を組みながら話し、急にマスコットキャラのサイズへと変身した。


「まぁ天界に行って漫画が読めないってわけじゃないし————」

「いいえ。ルーナ様。漫画は天界には持っていけません」

「……ゲッ……嘘だよな?」


 青ざめるルーナ。ナーシャは淡々と言葉を綴った。


「今現在、天界で起きていることは分かっているでしょう?天界人は今魔界人を信用していないのです。あなた様でぎりぎりなのですよ。魔界人、現界人の出入りは制限されているこの状況で漫画なんてもってのほかです」

「……マジかよ。俺の人生詰んだんだが。漫画だけが俺の生きがいだったのに」

「魔王だろあんた」


 ナーシャのごもっともな意見にルーナは何も言えず……ただ唇を尖らせてブーブーと嘆くことしかできなかった。

 

「そんなに悲惨な状況になっているのですか?」


 俊介は首を傾げながら聞いた。するとナーシャは深刻そうな顔で言った。


「はい。ほとんどの国が魔物に襲われてほとんど半壊状態なんです」

「魔界から来た魔物……ってわけではなさそうですね」

「そこまで詳しいことは聞かされていないのでわかりませんが、現界の時と同様空気や飲食から天界人が魔物へと変貌しているとのことです」


 俊介は手を口に当てて考え込む。

 よくよく考えてみれば現界で魔物に襲われたのはルーナが家の前で対処したといった時。

 それと研究施設だ。

 どうもこの天界で起きていることが現界と同じこととは考えにくい。

 街中での被害もあったがそれは他のものが対応したと言っていたし、魔物の等級もかなり下の方だと言っていた。


「現界と同じだと思っていたけど……似てるようで違うのか?」


 俊介がボソッと言葉をこぼし、リーサとイリアは目を丸くするが、ルーナは駄々っ子から急に真剣な顔になる。


「気づいたか。もちろん現界人と比べると天界人の方が魔物に変貌したときの強さは違う。でもなんか怪しいんだよ。なんかもっと別の……()()()()()()()()()ように感じる」

「断言はできないけど……俺もそう思う。現界でのことはバックに誰かがいると思ってたけどいなかった。そしてタイミングを見計らったような天界での出来事」


 どうも偶然とは言えない。そんな感じだった。


「今回俺はそのバックに誰がいるのかを探る。それが天界に行く理由だ」

「リュカさんに言われたからじゃないんですね」

「は!?俺があいつの言うことなんか聞くかよ。逆にあいつからオファーが来てるから行きたくないくらいだが、今回は仕方ない。なんせ魔物が関わってるんだ。魔王としての責任ってのがある」

「……ルーナ」

「ま、全部ぶっ飛ばして解決するだけだけど!」


 ルーナはサムズアップして言うのを俊介を含めメイドたちも苦笑する。

 がしかし、ルーナは必ずやり遂げてくれるだろうという絶対的な安心感があった。


「いつ天界に行くの?」

「三日後だな。それまでには基本的なものを書いた本をお前に渡す予定だから」

「本?」

「魔界のあれこれ、あとお前に渡す課題とかかな」

「課題って……教師じゃん」

「まぁそんな大したことじゃないから大丈夫だって」


 ほんとかよ……という懐疑的な視線を送る俊介だが、正直そういうことをしてくれるのはかなりありがたい。

 そこからの会話は普段の日常会話に戻り、夕飯を食べて各々が好きなことをしていた。

 夕飯を食べ終わった俊介はトレーニングルームに向かった。


 三日後……ルーナは天界に行ってしまう。

 別々の道に行くことになる。

 14年間一緒にいて初めての事だ。不安が募るばかり。


(いつまで嘆いてても仕方ないぞ。切り替えろ……俺)


 ルーナがいなくなったら魔界の事は俊介がしないといけない。

 と、なれば昔にルーナがやっていたことをやるということだ。

 内政事情に国への派遣……魔王の仕事と言うのはかなり忙しかったと思う。

 どうしてこんなに曖昧なのかって?そりゃ、ルーナがぜ~んぶすぐに片付けるからに決まってるじゃないか。

 内政事情に関してはよく知らないが国同士の戦争は護衛と言う名の付き添いで見たことがある。

 本当に一瞬で終わっていた。魔王の威厳を使い、それが通じない相手は逆に力でねじ伏せてたり。

 だが俊介がそれをできると本人も思っていない。だからこそ、荷が重いのだ。


「シュン様は本当に熱心ですね。夕飯を食べた後の運動はよくないですよ?」

「ああ……リーサか。まぁそれもあるんだけど、少し考え事もしててね」

「わたくしは邪魔でしたか?」

「大丈夫だ。そこにいてくれ。というより俺の相手をしてくれ」

「んま!シュン様からそんな言葉を言ってくれる日が来るとは!」

「言っておくけど話し相手と近接の相手だからな?」

「なんだそっちですか」

「なんだと思ってたんだよ」


 ジト目を向ける俊介。その瞳には軽蔑した感情も入っていただろう。

 その目を向けられたリーサ本人は反省することはなく逆に喜んでいた。俊介は軽く溜息を吐きながら反応するだけ無駄だと思い、すぐに舵をきるように話を変える。


「そういえば、天界にナーシャさんもついていくんだっけか」

「そう聞いています。ルーナ様の直属のメイドなので不思議なことではないですね」

「まぁ、そっか」

「もし、俺は違う国とかに行くってなればイリアとリーサがついてくるのか?」


 ふと、気になったことを聞いてみた。直属のメイドが二人いるというこの事実。どちらがついてきて、どちらが留守番をするのか。そして留守番になればそうなった方は我慢ができるのか。

 単純に興味本位という奴だ。

 リーサはその問いに視線を空に彷徨わせ、人差し指を唇に当てながら答えた。


「多分、わたくしがついていくという形になるんじゃないのでしょうか」

「イリアは留守番って事か?」

「そうなりますね。わたくしとイリアの大きな違いは()()()にあることですね。イリアも戦闘はできますがわたくしの方が単純に上です。」

「なるほど……ってことはイリアも承知のうえでついてきたって事なんだな」

「ええ……そういうことです」


 ふふんと謎に鼻を鳴らすリーサ。俊介はそれに反応することなく少し安心した。


(どちらがついていくかで喧嘩なんてされたらたまったもんじゃないからな)


 っと、なんとな~く、名前を呼んでみた。別に意味はない。


「イリア」

「なんでしょう」

「!?なんでいるんだよ!」

「?呼んだのはあなたでしょう?」

「そうだけど!そうじゃなくて!」


 呼んでみたらあら不思議。1秒にも満たない速度で応答しこの部屋に入ってきていた。

 俊介は困惑するが、リーサはどうして驚くのかと不思議そうに見ていた。

 そして、ようやく理解したのか口を開く。


「言い忘れていましたが、シュン様の声……というより魔力にわたくしたちは反応できますので、いつどんな時でも呼んでくださればいつでも駆け付けます。距離の限度はありますが」

「何その便利な機能!?」


 俊介は初めて聞く機能に驚き、目を見開く。そして呼ばれたのに何も要求を言わないご主人様に鋭いまなざしを向けるイリア。


「それで、何か御用ですか?シュン様」

「怖い怖い怖い……」


 呼んでみただけ……というのが事実だが、そんなことを言ってしまえば命に危険が及ぶと考えた俊介はすぐに何か言い訳をしなきゃと考え————


「ちょうど、お茶でも飲みたいかなぁって思って……食後だし?ほら、今日は夕飯食べてからチルタイムはなかったじゃん?」

「はぁ……わかりました。少々お待ちください」


 するとイリアは一瞬にしてその場から離れ、お茶を取りに行った。


「怖いなぁ……ほんと。殺されるんじゃないかって思っちゃったよ」

「こう見えて、イリアもシュン様の事すごく好いていらっしゃるのですよ?」

「うん……なんとなくわかるよ。表情と合ってないけどね」


 もう今はあまり考えないようにしていることだが、考えてしまうとやはり恐怖を感じてしまう。

 そしてさっと帰ってきてはお茶を渡してくれるイリアに感謝を伝えてそれをのどに通す。


「ありがとう」

「いえ。どうですか?美味しいですか?」

「う、うん……美味しいよ」


 ぐわっと近づいてはものすごく怖い表情で言ってくるのでおびえながら答える俊介。

 イリアはどうして目にハイライトがないのだろうか。

 青くさらっとしている髪に黄色の目。

 そしてその黄色の目にはキラキラしたものがなく、ほとんどハイライトがないことが多い。

 ハイライトがかかるときはそう……肯定したり、感謝を伝えた時だ。


「そうですか……」


 うん。こういう時は素直に可愛いと思える。

 だがそう思うと、後ろにいた白い髪の毛に赤い瞳のメイドが凄い形相で睨みつけてくる。

 一体何なんだこの無限ループにもなりうる現象は。

 俊介は軽く咳払いをしてトレーニングを再開した。



 次の日になり、隣国のレスパージ国から贈り物が届いていた。


「これは……一体何だろう?」

「そちらはレスパージ国のスタック国王からのシュン様に魔王就任のプレゼントのようです。開けてみてはどうでしょう?」


 リーサが説明をし、ルーナもナーシャも俊介に近づいて聞いていた。

 俊介はリボンを外し、ラベルを剥がすと……


「わぁ……これはすげぇ。おいしそうなお菓子だ」

「これめったに手に入らない人気なお菓子なんですよ!」

「そうなんですね!ナーシャさんの好きなお菓子なんですか?」

「はい!大好物なんです!」


 そう言われ、一口食べてみる俊介。


「美味!みんなも食べて!」

「ありがとうございます」

「わたくしも一口いただきますね」

「それでは私も……」


 触感がとても面白く、ふわふわしていた。一口サイズで食べやすくてとても美味しい。


「ルーナは食べないの?」

「うん。俺お菓子とかジュースは現界のが好きだから」

「なるほど」


 確かに、現界の食べ物と飲み物は別格だ。正直あの美味さを体験してしまえば誰だって虜になってしまう。ルーナの言いたいこともわかるが、それを込みでもこの頂いたお菓子はものすごく美味しかった。


「今度会う機会があったらお礼を言わないとな」

「その時はぜひ!わたくしたちも連れて言ってください!」


 リーサは体を寄せながらお願いする。イリアも珍しく瞳をキラキラと輝かせながら自分の両手を合わせながらお願いしていた。

 俊介はルーナの方へと視線を向けて聞いた。


「なんでこんなに食い気味なの?」

「あ~、レスパージ国は女性から人気の国だからなぁ。キラキラしてて比較的おいしい飯とかもおいてる」

「ほ~そうなのか。それじゃあ今度行こうか皆で」

「はい!ぜひよろしくお願いします!」

「やった」


 リーサとイリアが喜ぶところをみて俊介は微笑む。

 そしてその後もニ、三か国ほどからお祝いの品をいただいた。

 魔王就任は魔界にとって大きな行事ごとの一つだ。

 それなのに合計で四つほどしかお祝いの品が届かなかった。

 言ってしまえばそれ以外の国はあまりいいようにも思っていないと捉えることもできる。


「ま、こんだけ送ってくれたのはかなりいい方だぞ。俺の時なんかゼロだったんだから」

「え?そうなの?」


 すごい努力をしてここまで来たんだなと思い知らされる。

 きっとこの四つの国のお偉いさん方もルーナありきのものなんだと俊介は理解した。

 考え過ぎなのかもしれないが、そう考えるのが妥当だろう。

 この現状を強く受け止め、俊介は向き合うと心に誓う。



 そして、そこから更に二日後。

 ルーナが天界に行く日が訪れる。


「ほれ。前に言ってた本。分かんなかったらこれ見たら大抵のことは分かる。他はリーサかイリアに聞いてくれ。大体の致死kはぶち込んである」

「ありがとう。ルーナ……本当に何から何までしてもらいっぱなしだ」

「いや、んなことねぇよ。俺もお前から十分勇気もらってる」


 そう言って、互いに握手をする。

 これでお別れではないが、二人がこんなに離れるというのは初めてだ。少し辛気臭くなってしまうのは仕方ないだろう。


「頑張れよ。シュン」

「ルーナも……漫画が読めないからって全部壊したりしないでよ」

「ハハ……それはどうかな。でもまぁ、魔界のためにちゃんと魔王をしてくるつもりだよ」


 そのセリフに安心し、視線をナーシャに向ける。


「ルーナをよろしく頼みます」

「はい。任されました。シュン様も魔王のお仕事とかこれから正式に来るので大変になると思いますが、頑張ってください」

「頑張ってみます」


 そして、ナーシャとルーナは天界に続く扉へと向かう。

 俊介とルーナは同時に、一つ大事なことをし忘れていると気づき再度近づく。


 パンッ—————


 いつもやっていたハイタッチをして、そこからは何も言わずにルーナは天界に続く扉へと入っていった。

 俊介たちは扉が閉まるまでその場に立ち、見送った。


「行ってしまいましたね。ルーナ様。」

「うん。今日から大変になるぞ」


 ルーナが天界に行くこの三日間で、色々な話を聞いた。

 魔王の器か、その実力が本物か確かめるために様々な依頼や仕事が来るだろうと。

 上等上等。全部やってやりますよと、俊介はそう思っていた。


「実際、俺は魔王だけど、魔王じゃないからな」

「どういうことですか?」

「簡単な話だよ。俺は魔王の力を持っているだけ。ルーナみたいに信用を得るには色々な国に行って皆と交流する必要がある」


 イリアとリーサは軽く首を傾げていたが、俊介の言っていることは確かだった。

 魔王の仕事は何もしていない。今日からが初めての……魔王としての仕事なのだから。

 俊介は伸びながら深呼吸をして切り替える。


「さて……ここから頑張るぞ!」


 そう言って、自分の部屋へと戻ろうとするのだが……窓から鳥が何かを加えながら飛んできて窓をコンコンとつついていた。


「なんだ?これ」


 俊介はそれを手に取り確認する。

 どうやら手紙のようだ。

 裏返すとシーリングスタンプが貼っており、それを見たリーサとイリアは驚いた様子で口を開く。


「その紋様……ガウルド国のものですよ」

「確か今、ラビリス帝国と戦争するため準備しているだとか……」

「マジか!?そんな国がこっちに手紙を送るって事は……」


 早速、いやな緊張感が走る。俊介は恐る恐るその手紙を広げて……読み上げた。


————————————————————————


 12の大天使が集う場所……白い部屋にて。


「ほんとに魔界の王ルーナをこちらに連れてきてよかったのか?」

「本当に信用できるんだろうなぁ?リュカ」

「私が()()()()()()()()()()()()。少なくとも我々大天使より強いぞ?」

「へぇ~……大天使も舐められたものだな!たかが魔族風情が、神聖なる種族である俺達を愚弄するのか……リュカ」


 一人の大天使が口を開き、他の大天使もリュカの方へと睨みつけるように視線を向ける。

 だが、リュカはそんな事気にもせず……にやりと笑みを浮かべて話し出した。


「お前らは今の魔王にあったのは随分も前の話だろう?ルーナは歴代魔王の中でも最強。次の大魔王候補でもあるのだぞ?」

「それがどうしたっていうんだよ。この天界に起きていることをあいつが来たからといってすぐに解決できるとは思えねぇけどな」

「だから、我々と手を組んでそのしっぽを掴もうとしているのだろう?正直私は、この12の大天使の中にユダがいるんじゃないかって思ってるんだ」


 リュカのその言葉に我慢ならなかったのか数名の大天使が勢いよく近づき、神術を使用しようとしていた。


 直後—————————


 リュカととある人物が入れ替わり、数名の大天使の攻撃を止めていた。


「てめっ……」

「なんだこれ……体が動かない!?」

「わりぃな。少し遅くなっちまった」


 そう言いながら魔眼を利用し睨みつけるようにいう人物。

 魔王、ルーナ・サタン・ヘラニカが天界に到着する。

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