12/14
白の少女と黒の猫
※超SS、西洋、ダークファンタジーっぽい?
それは不吉の兆し。黒白が嘲笑い、人の世を惑わせる。
空が雲に覆われ、豪雨が降っている日だった。
「おい! しっかりしろ!! 気をしっかり持つんだ!!」
男は行き倒れている青年の肩を揺すり、可能な限り声を張り上げた。
畑の中に立つ一軒の家。石と木の簡素の造りだが、手入れが行き届いているのか外観は綺麗なものだ。その家の前に青年が倒れ、それに気づいた家主の男が飛び出してきたのだ。
ぴくりともしない青年は髪も服も肌も、雨と泥に汚れ、頬がこけているようにさえ思える。呼吸が乱れ頬も熱い。綿の衣服は破れ、靴も履いていない。
遠くで雷が鳴り響く。雨音が強くなり、木の緑が風によって揺れている。
男が青年の上体を抱えた。青年は唇を動かして、何を言おうとしている。恐らくはうわ言なのだろうが。
「何だ? 何を言って……!?」
青年の口許へと耳を寄せた。聞き取れたと思った瞬間、鈍い音と共に男の顔が背中からの激痛に歪んだ。
せめて相手の顔を見ようと、遠のく意識の中後方へと視線を向けた。
「……――おまえ、は……!」
視界に捉えたその姿。しかしそこで、男の意識は暗転した。
白の少女と黒の猫。
黒白が世界を支配する。黒白が世界を狂わせる。
少女の顔を見た者は誰もいない。
了




