耕耘機を触らせてもらう
春になり、いろいろと近所の人たちから頼み事をされるようになってきて、自分の畑をイジッている時にはお目にかからないような道具に触れる機会が訪れた。
たとえば、耕耘機である。
といっても、そんなに大きなモノではなく、ちょっとした小型のバイクみたいなモノだ。トラクターが自動車なら、耕運機はバイク。横に並んだ大きなタイヤが2つと、小さな補助輪がついている。
操作自体は非常に簡単だった。そんなに強い力が必要なわけでもない。
ブル~ン、ブルル~ンとエンジンをかけ、後ろから押して使うのだ。
これにより、これまでクワでエッチラオッチラと耕していた畑作業が、瞬く間に終わってしまう。ほんとうにアッという間だ。まったく、機械の力というのは素晴らしい。
「ホエエ~、便利なモノですね~」と、実際に耕耘機を動かし畑を耕させてもらった僕は、感嘆の声をあげる。
「そりゃあ、そうさ。チッポケな畑1つを耕すなら、手作業でもかまやせんだろうが、本格的に土地を耕すとなりゃあ、このくらいの機械の1つも必要だろうて」
耕耘機を使わせてくれた農家のおじさんが、そういってくる。
「そうですよね。これだけ広い土地を手作業でやるわけにもいきませんよね~」
「他にも、こういうのもある」
そういって、おじさんが取り出してきたのは、電動の草刈り機だった。
僕は、いつも手作業で草を刈ったり抜いたりしている。が、これならば、その何倍も効率よく草を刈れそうだった。
おじさんが電動草刈り機のスイッチを入れると、ブイイイイイイインという音と共に金属の歯が高速で回り始める。そうして、その回転する歯を雑草の根本に近づけるだけで、スパスパとほとんどなんの力も入れることなく切れていくのだった。
その後、僕も実際にやらせてもらうことにした。
「気をつけてな。指に触れたら、スパッともげるぞ」と、農家のおじさんは、ぶっそうなコトをいってくる。
しかし、これが冗談でもなんでもないのだ。見るだけでわかる。ほんとうに危ない。
ブイイイイン!
スパスパスパ!!
…と、軽快に雑草を刈り進んでいく僕。
「これは凄いですね!!」と、ついついはしゃいで、次から次へと草を刈りまくってしまう。これは、ほんとうに気持ちがいい!!「今まで僕がやってきたのは、一体、なんだったのだろうか!?と思うくらいに威力にもスピードにも違いがある。
一通り周囲の雑草を刈り終わると、スイッチを切って、電動草刈り機をおじさんに返した。
「そんなに気に入ったか?」
「はい!これは楽しいですね!」
「ワッハッハ。こんなもん、皆めんどくさがってやりたがりゃせんのに。じゃあ、次からはお前さんに任せるとするかな」
「はい!お願いします!」
こうして、雑草が伸びてくると、農家のおじさんは僕に草刈りの仕事を任せてくれるようになった。もちろん、作業が終われば、いくらかのお駄賃をもらえる。
おまけに他の農家の人にも話をして、草刈りの仕事を回してもらえるようになった。そこでも、わずかばかりの賃金やお礼の野菜をもらったりする。
「機械1つ扱えるようになるだけで、随分と作業が楽になるし、与えてもらえる仕事も増えるものなんだな~」と、僕は妙に感動してしまった。
こうして、僕は耕耘機と電動草刈り機の扱い方を覚え、農作業の幅も広げることができたのだった。




