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オーバーライド!〜通りすがりの美少女(中身おっさん)、たまたま拾った最新兵器で無双する〜  作者: あかぱん
通りすがりの美少女、最新兵器を拾う

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強行突破

ガタゴトと重いエンジン音を響かせながら、カリンの整備トラックは未舗装の夜道をひたすら走っていた。


「……現在、オルクス帝国第三機甲師団は、辺境開墾領の防衛線を突破。東部森林地帯へ向けて電撃的な進撃を開始しており――」


助手席のダッシュボードに置かれた魔導デバイス(ラジオ)から、雑音混じりの切迫したアナウンスが流れている。

ラジオの明かりに照らされたカリンの顔は、苦々しく歪んでいた。


「嘘でしょう……。王国の第一防衛線が、たった数時間で突破されたなんて……」

「この進射速度だと、私たちが王都へ向かう安全な迂回路は全部敵の包囲網の中に呑み込まれてるわ!」


そうつぶやくカリンの体は不安に震えている。

それほどまでに絶望的な状況なのだろう。


「じゃあ、王都へ向かう最短ルートは?」

「ここから東に広がる『黒樹森林地帯』を突っ切るしかないけれど……そこはすでに、オルクス帝国の先遣部隊が占領して駐屯地を築いているはずよ。敵陣の真っただ中を横断するなんて正気の沙汰じゃないわ!」


カリンはハンドルを強く握り締め、悔しそうに歯噛みした。


「一度どこかの洞窟にでも身を隠して、帝国の進撃が過ぎ去るのを待つべきよ。それが一番生存率が高いわ」

「……ダメだ」


俺は静かに、だがはっきりと首を振った。


「隠れてる時間なんてないよ。母さんたちドムレミ村のみんなは、今この瞬間も捕虜としてどこかへ連れていかれてる最中なんだ。時間をかければかけるほど、助け出せる可能性が減っていく」

「それは……そうかもしれないけれど、命を落としたら元も子もないわ!」

「大丈夫だって。カリンさん、その黒樹森林地帯を抜けさえすれば、目と鼻の先にユーベル王国軍の『前線駐屯地』があるんだろ?」


俺はニヤリと不敵な笑みを浮かべ、傍らの鉄塊――アイギスの格納されている格納庫の壁をポンポンと叩いた。


「敵陣の真っただ中だろうが何だろうが、突っ切ってその駐屯地まで駆け込めば俺たちの勝ちだ。――強行突破といこうじゃん!」


「な……っ!? 強行突破ですって!?」

「王国軍の駐屯地が落とされちゃって、帝国軍の包囲網が広がりでもしてしまったら、それこそ助かる望みも薄くなっちゃうでしょ?」

「それはそうだけど……」


「覚悟はいい?アクセル踏み込んで一気に行くよ!」

「ああもうっ! あなたって子は本当に無茶苦茶なんだから……っ! 分かったわよ、付き合えばいいんでしょ!!」


カリンは半ば自暴自棄気味に叫ぶと、ギアを力任せに叩き込み、トラックのアクセルを深く踏み込んだ。



月明かりすら届かない、鬱蒼とした黒樹森林地帯。

エンジン音を最小限に抑え、ヘッドライトを消したまま、トラックは暗闇の樹林帯へと滑り込む。


(シリンダーのノッキング音を抑えるために魔力圧を絞ってるのか。カリンさんやるぅ)


前世の職人目線で感心しながら外の様子を窺う俺。

周囲の木々の合間から、赤く不気味に明滅する魔導篝火(ライト)の光が見え隠れし始めていた。


「見えてきたわ……オルクス帝国の臨時駐屯地よ。あそこを超えれば、すぐに王国の前線基地があるはず……!」


カリンが息を殺して囁く。

このまま闇に紛れて、静かに敵陣の横を通り抜ける――はずだった。


ピィィィィィィンッ――!!


突然、夜空を引き裂くような甲高い警報音が森林地帯全体に響き渡った。

トラックの周囲の樹々に仕掛けられていた、高濃度の魔力波形に反応する『感応型罠センサー』だ。


「しまっ……魔力探知器センサー!? アイギスから漏れる高圧魔力に反応したんだわ!」

「やっぱりこのまま素通りってわけにはいかないか!」


瞬間、頭上の枝々を豪快になぎ倒しながら、漆黒の装甲を纏った大型機甲が数機、俺たちのトラックを取り囲むように急降下してきた。


『ハハハ! ネズミがかかったぞ! こんなポンコツトラックで我らがオルクス帝国の陣地を抜けられると思ったか!』


無慈悲に突きつけられる大量の重機関銃の砲口。

だが、俺の視線が向けられたのは、そのさらに後方――樹々の奥から、静かに、そして圧倒的なプレッシャーを放ちながら歩み出てきた一機の指揮官用機甲だった。


機体の上に立つのは、顔の上半身を黄金のバイザーで覆った男。


「……やはり来たか、鉄塊の魔女」


ヴァルター少佐が、仮面の奥から冷酷な笑みを覗かせていた。


「この私から逃げ切れると思うな」

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