グループチャット
感想、評価まいどどうもです。
誤字報告もありがたい……のですが、あえてしている表現もあるというところは、ご理解頂きたく。
ミスかわざとかわからない? 大丈夫! 自分でもどっちだったかわからなくなる時ありますし!(五里霧中)
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『そっか。そんなことが』
自室でベッドにゴロ寝しながら端末を操作する俺、斎藤哉。
大手SNSを利用したクローズドなグループチャット。
このごろの高根沢嬢たちとは、こうした回線を通じてのやりとりも増えている。
『なんか、やっぱり平くんには悪いことしたかな、って』
『そこは気にすることなくない?』
『うん。私もゆきちゃんと同じ意見、かな』
『言ってみれば公助くんがスネてるだけー、だもんねー』
今日、学校の帰りにあったらしい出来事。
顛末を聞くと、どうしても彼に対して同情的になる。
気にするな、と彼女たちは言ってくれるけれど。
『でもポジションを奪ったも同然だし。立場がないでしょう、彼も』
そう、端的に言えばそういうことになる。
むしろこれこそを気にして、初めのころは彼女たちと距離を置こうとしていたくらいだ。
……さすがに全員と関係を持つとまでは思っていなかったとはいえ。
ともかくそんな思いのままに打ち込んで送信してみれば、
『んー……そうかな?』
『それこそ立場というなら、あなたと公助は全然別でしょう?』
『あれ?』
桃枝嬢と高根沢嬢。
それぞれからの反応がちょっと予想外のもので。
『私はとくに、オモイのカタチが全然違うしー?』
『そもそもへたれ公助は手当たり次第に貪ったりしないし、できない』
日永嬢と小井嬢も二人に乗っかる。しかし手厳しいね小井嬢。なんの反論もできないけど。
ついでに小井嬢の発言ののち、日永嬢から恥ずかしがってるなにかのキャラのスタンプ。
にしても日永嬢、文字越しだとわりとフランクだよね。普段のいっぱいいっぱいな感じもそれはそれで可愛らしいけれど……と、思考が逸れた。
『なんにせよ、斎藤君はそこまで気に病まなくてもだいじょぶ! ……だと思う』
『ちょっと歯切れ悪いね』
『まあ、ね。あかりも私も、あとたぶん二人も、気がかりはないでもないのよ』
『?』
チャットに意識を戻せば、ちょっと気になる発言が。
どういうことなのか訊ねてみれば……
『……つまり平くんが、なにか行動を起こすかもしれない、と』
『気にするな、と言った手前悪いけどね』
『私たちはともかく公助君は……ね』
『めちゃめちゃ気にするだろーねー……』
『いっそ、根に持つ?』
彼女たちが伝える懸念。
……これもまた、かつて俺が危惧していたことでもある。
避けようと思えば避けられた。
高根沢嬢たちと徹底的に不干渉を貫くことで。
できなかったけどねえ……これはもう俺の弱さというか、業……は大袈裟かな?
『昔から公助君、男子が私たちに近づくとすっごい機嫌損ねたもんね』
『思えばずっといなかったよねー、男子の友達……』
『うむ。そういう意味では、わたしたちの初めての男友達って、斎藤かも』
あ、また日永嬢と、今度は桃枝嬢からも恥ずかしがってるスタンプ。
俺もちょっと、照れる。
友達か。そう思ってくれるんだ。
お、高根沢嬢が咳払いのスタンプ。
『――そういうわけだから、これからは学校とかでの接触は、すこし控えたほうがいいかもね。少なくとも、あいつが見てる前では』
続くのはひとつの提案。
『ついこないだいちゃついてたコがなんか言ってるー』
『い いちゃついてないっ』
日永嬢に茶化されうろたえてるけど。読点がないところに動揺が表れている。
ともあれやはり、それが無難だろうか。
『そのほうがよさそうかな。みんながそう思うのなら』
『うん……仕方ないよね』
『あーん、さみしいよー斎藤くーん』
『と、ろくにいちゃつけもしないコがなにか申しております』
小井嬢へ、日永嬢からぷんすかしているキャラのスタンプ。
『まあ、あいつもさすがに滅多なことはしないと思うけどね。それでも念のため』
『うん了解。今後はそういう感じで』
最後に高根沢嬢の締めで、この話題はおしまい。
チャット自体もこのへんでお開きだろうか、時間的にも。
そう思ったところに、通知音。
報せはプライベートなほうのチャットから。
確認してみれば――
かなり際どい感じの自撮り画像。
四人分が、次々と。
『さみしさ、ちょっとは紛れる?』
代表するように日永嬢からはメッセージも添えて。
「うー……」
ちょっと、唸る。
迷惑? とんでもない。
嬉しいのは間違いないし、ありがたいことだとさえ思う。
ただ、その、
この画像送付も近頃ままある出来事なのだけど……
(なんかこっちもお返ししなきゃならない流れになってるんだよね、いつのまにか)
いつのまにか、というか、一度冗談で送り返したのが妙にご好評を得てしまったというか。
思い返せば自分で蒔いた種だねこれ。
もちろん送らなきゃいけない決まりはないし、はっきり催促されたわけでもないけれど……
それとなく期待されてる気配がね? ひしひしと。
「仕方なし、と」
恥を忍んで不承不承、着衣を乱しつつカメラを自分へと向ける。
正直こっ恥ずかしくはある。
とはいえもらってばかりじゃ悪いのも確かだし。
しかし男の自撮りなどもらって嬉しいものなのか、などとも思いつつ。
〈side:Taira〉
一夜明けた。
昨日帰宅後しばらくは正直しんどく、また前みたいに休んじまうか、などとも思っていたが。
俺、平公助の姿は学校にある。
億劫ながらも登校し、授業は適当に聞き流し――
「助けを借りたい」
昼休み、いつものベンチにて。
呼び出し、集まってもらったゲンさん、フジワラに対して俺は頭を下げている。
すべての美少女幼馴染ルートが潰え、失意のどん底にいた昨日の俺。
そのまま絶望に沈んでいくかに思えたが、そんな俺の目を覚ましたのは、
皮肉にもあの野郎――斎藤哉の存在だった。
思えば美少女幼馴染たち、いくらなんでも態度が変わりすぎじゃないか?
たとえば、そう、なんらかの事情。
あの野郎に脅されているとか、弱みを握られているとか。
否、たとえそういうのがなかったところで、
ナツたちの豹変があの野郎のせいであることに、なんら疑う余地はないじゃねえか。
そこに気づけば立ち直るのは早かった。
むしろ今の俺はかつてないほどの活力に満ちている。
活力、原動力。
つまりは“復讐”への。
「――ほーん、なるほどなぁ」
事情を話したのち、フジワラはそう言ってうんうん頷いている。
ゲンさんもまた話の内容を真剣に吟味している様子。
「んで平ちゃんが助けを借りたいってーと、やっぱアレ? オレのダチら動員して囲んじまうとか」
「それは、……まぁ魅力的だが、ちょっと安直だな。どうせなら俺の感じた失意と同等、いやそれ以上のどん底に、ヤツを突き落としたい」
まずフジワラからの提案は丁重にお断りする。
取るとしても最終手段だな。無勢に多勢ってのもちょいダサいし。
「そのためには、まずなにより情報が欲しい。あの野郎がどういうヤツか……あるいは弱みがあるとすれば、なんなのか。敵を知り、ってやつだな」
男に興味などないから今まで捨て置いていたが、これからはそうも言ってられない。
つけ入る隙、弱点……はたまた、過去とか。
ヒトの女を盗るような野郎だ。すでになにかやらかしていてもなんら不思議はない。
「過去ってーと中坊ン時とかか? ダチんなかに同中のヤツいっかもしんねーし、聞いてみるわ」
「お、俺氏も調べるよ! 当時のネットとか、なにか痕跡あるかも……」
「まさにそこ、頼りにしてんぜゲンさん。当然フジワラもな」
フジワラはこれで意外と顔が広いし、ゲンさんはヲタらしくPC周りに強い。
モテなさそうだが頼れるヤツら。
もちろん俺も独自にあの野郎のことは調べるつもりだが……
それから数日。
とうとう朗報がもたらされる。
「これ、この書き込み、見て欲しいんだけど……」
功労者はゲンさん。彼はそう言って自身の端末の画面を示してくる。
ネットの海に埋もれていた情報。とあるページのスクリーンショット。
「……ふ、クク、お手柄だぜ、ゲンさん」
「ウラも取れてんぜ。ダチの一人から証言がとれた」
思わずほくそ笑む俺。
さらにはフジワラからの情報の補強。
俄然、昂揚してくる。
ここからが俺の反撃――“ざまぁ”のターンだ。




