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王女は"ざまぁ"されるほどの罪を犯したのか ~傷ついた彼女を救いたくて~  作者: myano


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第23話 籠城準備

 数日後、俺たちは籠城することに決め、そのための準備を進めていた。


 必要な物資を調達し、兵士たちには訓練を施し、外壁や櫓の修理も行っていく。

 街が攻撃される可能性が高いことを住民たちに周知したところ、彼らは積極的に準備を手伝ってくれるようになった。中には、兵士に志願してくる者も居たほどだ。


「フィーナ、準備は順調に進んでる?」

「はい。住民の理解が得られたのは僥倖(ぎょうこう)でした。彼らが手伝ってくれるおかげで、計画より早く準備を終えられそうです」


 当初は部下や職人たちだけで物資の運搬と施設の修繕を行う予定だった。

 だが、その計画では準備が間に合わない可能性が高かった。

 住民が手伝ってくれたおかげで余裕をもって準備を終えられそうなので、彼らには本当に感謝だ。


「じゃあ、余った時間でこれをできるだけ多く作ってもらえないかな?」


 俺はフィーナに絵を描いた紙を手渡す。


「これは……旗とワラ人形ですね。分かりました」


 フィーナは見ただけでこれらの使い道を理解したようだ。



「ただいま」


 政務室で仕事をしていると、ノエルが帰ってきた。

 彼女にはルインハムの西側、ゴールトンの領地周辺でいくつかの仕事をこなしてもらっていた。

 ノエルはあくまで商人であり、俺の部下ではない。

 戦が近づけば逃げ出しても文句を言われない立場なのだが、残ってくれるだけでなく仕事まで請け負ってくれている。

 この恩は一生を懸けて返していこう。まずは、生き残らなければならないが……。


「ノエル、おかえり。色々とありがとう」


 ノエルが嬉しそうに頬を染めてソファに座る。

 フィーナが紅茶を差し出すと、ノエルはそれを少し飲んでから口を開いた。


「兵糧の方は都合付けてきたで。半月分で精一杯やったけど……」

「助かるよ。それで、お菓子の販路はどうだった?」


 籠城用物資の購入や設備の補修で出費がかさみ、手元の資金が尽きかかっている。

 お菓子の収入は文字通り生命線だ。


「そっちも上々や。試食を持って行って正解やったわ。一粒食べたら顔色を変えて『有るだけ売ってくれ』やって」


 ノエルはその時のことを思い出したのか、クスクスと笑った。


「そういえば、カーベリオン王国の軍勢が動き始めたみたいやで」

「予想通りのタイミングだな」


 カーベリオン王国の女王が優秀な人物であると聞いていたので、素早く軍備を整えて進軍してくると予想していた。やはり、女王は評判通りの人物だったか……。


「ゴールトンの軍勢はどうだ?」

「まだ準備段階やったわ。ウチらが先を越したから兵糧の調達に苦戦してるみたいや」


 ノエルが不敵な笑みを浮かべる。どうやら彼女はゴールトン領近郊の食料を買い占めたようだ。

 俺が依頼したのは食料調達だけなので、ノエルが機転を利かせてくれたのだろう。

 ゴールトンも優秀な人物だが、彼は王都に居て領地のことに手が回っていないようだ。

 今は王都周辺の掌握を優先したい時期だから、仕方のない話だが……。


「ノエル、ありがとう。ゴールトンの出足が遅れるのは願ってもないことです」

「この街は自宅のようであり、手塩にかけて育てた我が子のようでもある。出来るだけ被害を抑えて守り抜きたいんや」


 ノエルもこの街に愛着をもっているようで、それが凄く嬉しい。


「そういえば、『天使のおやつ』は配れたか?」


 これもノエルに頼んでいたことだった。『天使のおやつ』を周知して評判を高めることで、生産地であるこの街(ルインハム)の価値を上げる。

 これによってカーベリオン王国との交渉を少しでも有利に進めたいという考えだ。


「順調やで。行く先々で大好評やった。フィスル家の領内は部下に任せてウチは先に戻ってきたけど、そっちも問題ないはずや」

「これで『天使のおやつ』の評判が広まると良いですね」


 うまくいってくれると良いが……。

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