第38話 報道激化
各メディアは発覚したカウボーイ事務所と自由民新党の癒着、即ち裏金問題について一斉に特番を組むなど報道を激化した。東京地検特捜部が起訴した政治資金規正法違反の野党議員に続き、自由民新党安西派の会計担当者がついに口を割ったことからパーティー券収入で得た資金の着服が自由民新党幹部による指示であったことが表面化し、特捜部は自由民新党安西派の緒沢謙次郎氏と無派閥でありながら安西派からキックバックを受けていた岸部内閣の官房長官、林田誠三郎氏の起訴に踏み切った。自由民新党は二人の大物議員の逮捕により、しかも一人は現役閣僚であったことから野党から岸部内閣の退陣要求が上がり内閣不信任案が国会で突きつけられた。
自由民新党はかろうじてこの不信任案を数の力で退けたが、信頼失墜は行き着くところまで行っていた。当然国民からも衆議院解散の声が沸き起こるものの、ここで解散すれば十中八九、与党から陥落するので、岸部首相は衆議院の解散には踏み込めなかった。無論参議院は解散がないため、次の改選まで3年ある。
失職した参議院野党議員2名の補欠選挙が東京15区と埼玉5区で行われたが、目論んでいた議席獲得ができず自由民新党は惨敗を喫した。勝ったのは東京15区が政党無所属の元コメディアン、埼玉5区が関西に地盤を持つ新党からの元落語家。共に庶民派感覚の歯に衣着せぬ絶妙なトークを武器に自由民新党を攻撃し、既成政党に飽き飽きしていた有権者から絶大な支持を集めた。
この2つの選挙区の候補者名簿に夢藤雅樹と飛柳拓海の名前はなかった。
小坂部たちによって暴かれたカウボーイ事務所から自由民新党へのこれまでの多額の資金供与、その見返りとして受け取っていたカウボーイタレント、特に夢藤雅樹と飛柳拓海への過度な放送業界での優遇措置。そうした癒着に加え、『J×MAP』のグループ内の不仲説、夢藤の元女子アナに働いた不埒な行動などが暴かれ、アイドルを信奉していた国民のショックは日本中を駆け巡った。
水無月はたち
1964年大阪下町生まれ。同志社大学経済学部卒。現在、大阪の某大学勤務。
優しい奥様と独立独歩した我が子たちだけが自慢。
-筆歴-
2023年4月 『戦力外からのリアル三刀流』(つむぎ書房)発刊
2024年3月 『空飛ぶクルマのその先へ 〜沈む自動車業界盟主と捨てられた町工場の対決〜』(つむぎ書房)発刊
2024年7月 『ガチの親子ゲンカやさかい』(つむぎ書房)発刊
2025年7月 『いまじゃ 殺れ 信長を』(つむぎ書房)発刊
2026年3月16日 『神より選ばれし偶像たち』(つむぎ書房)発刊
※当作品は100%作者の手で作り上げた不完全なヒューマンドラマです。AIの力は全く借りておりません。つづきはこちら↓




