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神より選ばれし偶像たち  作者: 水無月はたち
第1部 解散
32/39

第32話 一皮剥けばただの男


 新宿。アジアンニュースJPが入る雑居ビルの一室。エンタメ部の曽我元親(そがもとちか)のデスクの電話が鳴る。

 曽我は国際政治部のティア・ライスレンと駄弁(だべ)っている。腕だけ伸ばし受話器を持ち上げる。

「おお、莉夢(りむ)

 電話の相手はK放送局元アナウンサー朝比奈莉夢(あさひなりむ)。曽我の遠縁にあたる。

「お手柄だ。ありがとよ」

「最後は向こうから逃げたわ」

 曽我は(おど)けて言う。

「そりゃあ手間が省けて好都合だったじゃないか」

 莉夢は落胆したように囁く。

「アイドルたって、一皮剥けばただの男ね」

 曽我は大笑いした。

「だからおまえに頼んだんだ。本性引っ張り出すのが誰よりうまい」

「誤解しないでね、私、淫売なんて興味ないんだから。ただの一ファンなのよ」

「わかってるよ。けど最高だったろ、憧れのアイドルと枕を並べるなんて」

「それがショックなのよ。違いすぎて」

「あのままなわけねえだろアイドルが。虚栄心が強いほど欲も強い。特に性欲はな」

「一時マンションから出してもらえなかったのよ」

「おかげでスクープ取れた」

 曽我は品の悪い微笑を湛えた。莉夢の溜息が漏れる。

「でも、やっぱり執着あるみたいね」

「おまえにか? アイドルにか? 政治家(ポリティシャン)にか?」

「最後のに決まってるでしょ」

「浅はかな。これだから政治はいつまでたってもよくならん、なあライスレン」





水無月はたち

1964年大阪下町生まれ。同志社大学経済学部卒。現在、大阪の某大学勤務。

優しい奥様と独立独歩した我が子たちだけが自慢。


-筆歴-

2023年4月 『戦力外からのリアル三刀流』(つむぎ書房)発刊

2024年3月 『空飛ぶクルマのその先へ 〜沈む自動車業界盟主と捨てられた町工場の対決〜』(つむぎ書房)発刊

2024年7月 『ガチの親子ゲンカやさかい』(つむぎ書房)発刊

2025年7月 『いまじゃ 殺れ 信長を』(つむぎ書房)発刊

2026年3月16日 『神より選ばれし偶像たち』(つむぎ書房)発刊


※当作品は100%作者の手で作り上げた不完全なヒューマンドラマです。AIの力は全く借りておりません。つづきはこちら↓

挿絵(By みてみん)

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