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神より選ばれし偶像たち  作者: 水無月はたち
第1部 解散
33/39

第33話 カミカゼ


 曽我はさっきまで政治汚職について意見交わし合っていた国際政治部のティア・ライスレンに突然話を向ける。

「何の話だ?」

 曽我は電話機のハンズフリーモードを押した。会話に莉夢とライスレンを交えた。

「カンボジアでもタレントと政治家っつうのは境界線ないものかい?」

 ライスレンは呟く。

「ここだけだと思ってるのかい?」

「万国共通か」

「政治腐敗は古今東西、万古不易だろ」

「安心したぜ、日本だけ狂ってるんじゃないかと思ってたんでな」

「狂ってるとしたら、アイドルが解散したぐらいで死を急ぐ女の子だろうな。あれは日本特有だ。ビートルズが解散しても、ジョン・レノンが殺されても、自殺した者は世界中誰もいない」

「どう映ってるんだ我々は、世界から?」

「やっぱりカミカゼなんだな、君たちは」

 狂っているのは一部だ。大半は臆病な国民だ。

「殉教はどこにでもあるだろ?」

「死後、神に会えると信じてるからね」

「似たようなものだろ」

「するとなにかい? アイドルは神なのか?」

(神か・・・。或いは邪神かもな)

 莉夢の声がスピーカーから漏れる。

「もしもし、もしもし、曽我さん? 誰と話してるの?」

「すまん、すまん、記者仲間とね」

 曽我はもう一つ莉夢にお願いごとをしなければならなかった。

「悪いがあと一個、頼みを聞いてくれないか」

「まだあるわけ?」

「そう言うな。ちゃんと報酬は払う」

 莉夢の溜息が深まる。

「で、なに?」

「請求して欲しいんだ。夢藤への慰謝料と、参院選の裏工作を」

「口止め料ってこと?」

「そうだ。奴らは夢藤を政界に送りたいはずだ。きっとおまえに金を寄越す」

「そんなの受け取ったら、私もただでは済まないわ」

「受け取らなくていい。現場をスクープする」

「私をおとりにしたいわけね。つくづく怖いひと、曽我さん、あなたって」

「腐敗したカウボーイを解体する、そのための特攻だ。莉夢、協力してくれ、頼む」

 そのやり取りを聞いていたライスレンは神妙な顔して呟いた。

「やっぱりカミカゼだよ、君たちは」





水無月はたち

1964年大阪下町生まれ。同志社大学経済学部卒。現在、大阪の某大学勤務。

優しい奥様と独立独歩した我が子たちだけが自慢。


-筆歴-

2023年4月 『戦力外からのリアル三刀流』(つむぎ書房)発刊

2024年3月 『空飛ぶクルマのその先へ 〜沈む自動車業界盟主と捨てられた町工場の対決〜』(つむぎ書房)発刊

2024年7月 『ガチの親子ゲンカやさかい』(つむぎ書房)発刊

2025年7月 『いまじゃ 殺れ 信長を』(つむぎ書房)発刊

2026年3月16日 『神より選ばれし偶像たち』(つむぎ書房)発刊


※当作品は100%作者の手で作り上げた不完全なヒューマンドラマです。AIの力は全く借りておりません。つづきはこちら↓

挿絵(By みてみん)

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