第30話 話が違うだろ!
深夜零時を回ったカウボーイ事務所。
「連絡があったわ」
喜多村メイコが兄である社長のジョニー喜多村に呟く。
「あの件か?」
「ええ、そうよ」
連絡は自由民新党代議士緒沢謙次郎の私設秘書、鶴岡誠人からである。
「検察庁が本腰入れ始めたって」
聞き耳を立てられていないかと思い、ジョニー喜多村は気が気でない。
「声が大きい」
「兄さん、ここは大丈夫よ」
この部屋は音漏れも通信傍受もないことを確認している。
「誰が検分した?」
メイコは自信ありげに言った。
「Q24(キューツーフォー)が」
その隠語は社内警護を意味する。Q24とは機密情報を守る役割の人間のことで、カウボーイ事務所お抱えの元公安調査庁の役人である。国家の機密管理を任されていた最高レベルの警護人を雇えるほどにカウボーイ事務所は潤いまた政治と癒着していた。そこでようやくジョニー喜多村は癒着元を口にする。
「緒沢側からはなんと?」
メイコは顔を曇らせた。
「あの話は次の機会に回して欲しいと」
「話が違うだろ!」
「私に言ったって仕方ないでしょう。推薦出すのは自由民新党なんだから」
「次の機会といったら3年後だろ! 人気を保持できるかわからんぞ」
水無月はたち
1964年大阪下町生まれ。同志社大学経済学部卒。現在、大阪の某大学勤務。
優しい奥様と独立独歩した我が子たちだけが自慢。
-筆歴-
2023年4月 『戦力外からのリアル三刀流』(つむぎ書房)発刊
2024年3月 『空飛ぶクルマのその先へ 〜沈む自動車業界盟主と捨てられた町工場の対決〜』(つむぎ書房)発刊
2024年7月 『ガチの親子ゲンカやさかい』(つむぎ書房)発刊
2025年7月 『いまじゃ 殺れ 信長を』(つむぎ書房)発刊
2026年3月16日 『神より選ばれし偶像たち』(つむぎ書房)発刊
※当作品は100%作者の手で作り上げた不完全なヒューマンドラマです。AIの力は全く借りておりません。つづきはこちら↓




