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突入

 生贄の儀式を行う部屋は5階らしく、向かう途中で他のシスターとすれ違う可能性があるということで、ベイルには馬車の中で待機しててもらうことになった。


「レイラ様。照明弾は?」


 心配そうに見送るベイルに私は微笑んで見せた。


「持ってるわ。大丈夫よ」


「ご武運を」


「ありがとう。すぐに戻って来るわ――行きましょう」


 部屋を出てマシューの後をついて行くと、階段を上りきった先に大きな扉があった。部屋の前には護衛らしき男性が一人で立っている。


「遅かったな。中で司教様がお待ちだ。お前は中に入っていいが、お前はここで待っていろ」


「承知いたしました」


 部屋の中にマシューがとケリーが入っていったが、何も言われていない私は、部屋の扉の前に立っていた。


「お前、新入りか?」


「ええ、まあ……。人手が足りなくなったらしくて、マシュー様に頼まれたのよ」


「なんだ、臨時か」


「分からないわ。私はとりあえず、呼ばれただけ」


 私は嘘がバレやしないかと、ドギマギしながら護衛の人と話をしていた。


「なんだったら、先に部屋へ戻っていてもいいぞ。ここには俺がいるし」


「でも、勝手に帰ったらマシュー様に後で叱られるわ」


「大丈夫だ。早くいけ」


「分かったわ」


 護衛にドアの前から追い払われて、私はしぶしぶ部屋の前から移動した。屋上があるらしいのだが、ここからどうやって行けばいいのか分からない。


「もう!」


 私は階段を駆け下りると、猛ダッシュで外へ出た。転移陣の前で空へ照明弾を打ち上げると、馬車の中でベイルが口を開けながら、こちらを見ていたのだった。



※※※※※



 ほどなくして、王宮警備隊が城の中へ雪崩れ込んできた。殿下とフィリップも私達のいる場所へやって来ると言った。


「場所は?」


「階段上って5階。正面、突き当りの部屋です!」


「第一部隊、私の後に続け。突入する」


「はっ!」


 私が階段まで案内すると、殿下と数名の騎士達はすごい勢いで階段を駆け上っていった。私が部屋にたどり着く頃には、部屋のドアが壊され、中で司教らしき男性と殿下が対峙していた。さっきまでドアの前で護衛をしていた人物は、床の上で伸びていた。


「まさか、殿下がお越しとは――どうされましたかな?」


「ここで生贄の儀式が行われていると聞いたぞ」


「生贄? このご時世、そんなことをする人はいないでしょう。夢でも見られましたかな?」


 下卑た笑い方をする司教に寒気を感じていると、マシューが一歩前へ進み出て言った。


「殿下、こちらにある魔術具が忘却の魔術を行える物になります。儀式で使用される予定でした」


「そうか。第一部隊に命ずる。この部屋にいる者を全て捕縛せよ。抵抗する者の、生死は問わない」


「はっ!」




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