第五部隊
「お初にお目にかかります、レイラ様。第五部隊所属のマシュー・ブラントと申します。本日は、よろしくお願いいたします」
「レイラ・フレイアです。マシューさん、こちらこそよろしくお願いします。あの……」
「はい?」
「いえ、なんでもありませんわ」
「もしかして、名前ですか?」
「ええ」
「男性みたいな名前でしょう? 祖父がつけてくれたのですが、元気がいいので男の子と間違えてしまったようでして……」
「はぁ……」
「見た目も男性に見えなくもないので、潜入捜査の話が来た時には少し困りましたよ」
「ごめんなさいね」
「いえ、レイラ様に非はございませんので謝らないでください。そうだ、これを……」
彼女の手の上にはシスターが着る修道服がのっていた。
「洗い替え用の服です。サイズも問題ないかと思われますが……」
「ありがとう。さっそく着替えてくるわ」
私はシスターの服を手に取ると、奥にある次の間で着替えた。
「さすが、似合っております。レイラ様」
「ありがとう。喜んでいいのか、判断に迷うわね」
マシューに似合っていると言われて、私は曖昧な笑みを浮かべた。ゲームのように修道院送りになっていたら、この服を着る可能性もあったのだ。潜入捜査で着ることになったことに違和感を覚えつつも、私はマシューから差し出された布を受け取った。
「作業をするときなどに使われるフェイスシールドです。穴が開いている部分に耳を通すと、顔が隠れて捜査しやすいかと……」
「ありがとう。助かるわ」
「除草作業などでも使用しますから、つけていても、あまり変には思われないでしょう」
「お時間です」
部屋のドアをノックする音が聞こえて、私は慌ててフェイスシールドをつけた。何もしていないベイルは、急いで次の間に隠れていた。
「少し待ってください」
間一髪で窓の前に立つと、ドアが開いた。
「失礼します」
年配の女性が部屋の中へ入って来ると、その女性はケリーを見ていた。
「まだ祈りを捧げているところです」
いつの間にかケリーは床の上に膝立ちになり、椅子の上に両肘をのせて祈りを捧げていた。
「もう用意は終わっているの?」
「はい。ですが、最後の祈りです。もう少し時間をください」
シスターが部屋の中央に来て部屋の中を見ていた。私の方を一度見たが、何事もなかったかのように話を続けた。
「あの方は気が短いのよ。終わったら、すぐに来なさい」
「はい、ありがとうございます。すぐに行きますので」
部屋に入って来たシスターは、もう一度ケリーを見ると部屋を出て行った。
「気づかれなくてよかったです。時間がないんですね?」
「あの、私はどうしたらいいでしょうか?」
次の間から出てきたベイルは、困惑していたのだった。




