潜入開始
次の日の朝早く、私達は街の教会へ向かった。城に戻っていたキヌアも私達と一緒に教会へ向かう。
「キヌアは、ラインハルト様の護衛をしなくて大丈夫なの?」
「殿下のご命令です。レイラ様をお守りせよ、とのことです。殿下は別の馬車で、フィリップ様と共に小屋へ向かわれました。クレイル女伯は、小屋から直接教会へ向かわれるそうです」
「……そう」
教会へ着く少し手前で、キヌアは「私には別の任務がございますので」と言って馬車を降り、風のように去っていった。
「すごいわね、もうどこにいるのか分からない」
「レイラ様、転移陣の発動に時間がかかるという設定で構いませんか?」
「ええ、お願い」
ベイルには、実家に帰るために転移陣を使いたいということと、前回不備があって使えなかったため、今回は発動するまでに時間がかかるという内容の書簡を持たせていた。王家の印も押されているから、使用するのは問題ないだろう。問題は時間だ。彼女が連れ去られる前に何とか救出して、ここを出なければならない。
「大丈夫でした」
門番に書簡を見せていたベイルが、いつの間にか馬車へ戻ってきていた。
「行きましょうか」
馬車が転移陣の上に着くと、私とベイルは教会の人からは見えない位置で馬車を飛び降り、教会の中へ入った。
「今日は隊服なんですね」
「目立たない服が、これしかなかったのよ」
そんな話をしながらも、私達は昨日来た部屋の前で立ち止まり、三回、二回、五回の順でドアをノックをした。
「王太子殿下は?」
「レイラ様がお好き」
中から聞こえた声にベイルが答えると、ドアが開いた。どういう合言葉なんだろうと思いながらも部屋の中へ入ると、昨日とは違うシスターがいた。奥にいるケリーは、白いワンピースのような服を着ている。




