救出作戦
「明日は、よろしく頼む」
家の中のテーブルにつくと、殿下は開口一番にそう言った。
「明日の役割について、話しましょう」
「ええ」
リトッシュの言葉に私が相槌を打つと、殿下は話始めた。
「今日は、私の不注意で教会の人間に目をつけられてしまった。明日の潜入時には、レイラとベイルに行ってもらおうと思う」
「殿下、それは無謀ではありませんか? レイラ様にそのようなことを……」
フィリップの言葉に殿下は顔をしかめると言った。
「そうだね。私もレイラに、そんなことをさせたくない。でも、少女の命がかかってるんだ。見殺しにはできない――レイラ、頼めるか?」
「はい、大丈夫です」
「できれば、リトッシュにもレイラのバックアップをしてほしい」
「バックアップ?」
「殿下、私はベイルと二人でも大丈夫ですわ。何なら一人でもいいくらいです」
「え?」
一人でも大丈夫だと言うと、リトッシュだけでなくベイルも驚いていた。
「レ、レイラ様。私は同行します」
「そう――分かったわ。それで殿下、私は何をすればよろしいでしょうか?」
「レイラには、少女の救出に向かってもらう。彼女の顔を知っている人は少ない。その上で、安心して任せられるのは君だけなんだ」
「承知しました」
「教会では、大広間に行く途中に『忘れ草』の匂いがした」
「あれか……」
リトッシュとフィリップが渋い顔をしていた。二人とも忘れ草には、いい思い出がないようだ。
「おそらく彼女は、忘れ草で記憶を忘れさせた後に『生贄』になるんだと思う」
「殿下。以前、学園にあった忘れ草を少し調べたのですが、忘れ草の効用は単なる『記憶喪失』と少し違うものだと思われます」
「どういうことだ?」
「忘れるというより、記憶が混濁するような作用があります。それに、教会には魔術が使える者がおりますので、禁術である『忘却の魔術』を使った方が、より早く正確に実行できます。術式自体は難しくないですし、魔術具を使用すれば誰にでも出来る術かと思われますので……」
「では、何のために忘れ草を使うのだろう?」




