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仲直り

 殿下から言われた私の今回の役割は、フィリップ達が石を探している間の殿下の護衛だった。そのため、私は殿下の後ろを歩いていた。


「レイラ、何で後ろを歩いているの?」


「護衛ですから」


 また、その少し後ろをベイルが歩いていた。ベイルは侍従だが、私の護衛も兼ねている。そのため、基本的に傍から離れることはない。


「ベイル、私達おかしいと思われてるかもしれないわ」


「今更です」


「殿下、こちらはお部屋とは別の方向ではありませんか?」


「今日は時間があるんだ。少しくらいいいだろう?」


「何を仰っているのです?」


 殿下の後をついて行くと、庭園の作業場の手前に出た。建物の先に影が見えて近づくと、そこにはフィリップとアイラ、それから庭師と思われる男性がいた。


「いやぁ、ここにはそんなものはないですね」


「そうですか……」


 どうやら、フィリップが庭師に珍しい石がないか聞いているところのようだった。


「それにしても、この庭を一人で整備しているのですか?」


「はい。本当は息子が手伝ってくれる予定だったのですが、別のお屋敷で働くことになりまして……」


「まあ、スカウトされたのですね?」


「ええ、そんなものです」


 アイラの質問に、庭師は曖昧な表情を浮かべた。


「そうだ、私の息子なら珍しい石を持っているかもしれません。あいつは、そういうのが好きだったので」


「そうですか。あの、息子さんの働いているお屋敷とお名前をお伺いしても?」


「はい。フレイア伯爵家で、名前をキースと言います」


「え?」


「どうかしましたか?」


「いえ……。私の学友の実家だったので、驚いてしまっただけですわ」


「学友?」


 アイラの言葉に、庭師は怪訝な表情を浮かべていた。


「フレイア伯爵家のレイラ様と学友なんですの」


「……そうでございましたか」


「フィリップ様、フレイア伯爵家へ行ってみませんか?」


「私は構わないが、レイラ様の実家だろう? 勝手に行ったら、怒られるんじゃないか?」


「石を見つけるためですもの――構いませんわ。殿下は夏休みにレイラ様と一緒にいられる口実をやっと見つけたんですもの。本当のことを言って一緒に行くことになれば、私達はお邪魔虫でしてよ」


「それもそうか」


 フィリップは遠い目をしていた。きっと、アイラと一緒に私の実家へ行くことに対して気が引けているのだろう。


「あの、私が……」


 私が二人の前へ出て「一緒に行こう」と言おうとすると、殿下が私の腕を掴んでいた。


「もう少し様子を見てみよう」


「でも……」


 私が戸惑っていると、フィリップが言った。


「どの道、フレイア伯爵家へは誰かが行かなくてはならないだろう――私達が行っても、たいして変わりないか」


「ええ……」


 二人が立ち去った後、殿下は私に言った。


「レイラ、二人が仲直りする機会を奪ってはいけないよ」


「仲直り……」


(できるだろうか? アイラは、フィリップのことが今は嫌いなように見える……。表面上、取り繕っているだけってのが見え見えなんだけど、いいのかな?)


 私は殿下の言葉に戸惑いながら笑みを浮かべると、「仲直りできるといいですね」と言ったのだった。




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