同時進行
「それから、子供の面倒を見ている女性の話だが、教会の人間が彼女を迎えにいくのが、今日からちょうど一週間後なんだそうだ」
「一週間後?」
「王都にある教会から、あの村へ迎えが行く」
殿下は右手を挙げると、天井を見て言った。
「キヌア、いるか?」
「はい、ここに」
「今から一週間、少女がいる村を他の騎士達と一緒に見張っててくれ」
「御意」
「何かあれば報告を」
「御意」
キヌアが去ると、フィリップが口を開いた。
「殿下、それでは護衛が……」
「構わない。城には近衛騎士がいるし、私にはレイラがいる」
殿下の言葉に、自分がもともと護衛で殿下の傍にいたことを思い出した私は慌てて言った。
「はい。私は、もともと殿下の護衛として城に参りましたので、大丈夫です」
「え?」
「そうだったんですか?」
フィリップの意外そうな顔に、そう言えば病気を治すためだったかなと思った私は、言い直した。
「間違えました。護衛兼治癒師だったと思います」
「……」
「……」
「レイラ、レイラは私の何?」
「何って……」
(え? 待って。こういう時、何て言うのが正解なの?)
殿下の笑顔に、答えを間違えてはいけないと思った私だったが、気がつけば正直に答えていた。
「婚約者です」
「そうだね」
殿下が私を見つめながら微笑んでいるところへ、リトッシュは咳ばらいをして言った。
「それで? 私は何をすれば……」
「リトッシュは、オリバ先生のサポートをお願いしたい。オリバ先生は、ご自身が理事長の影響を受けていたことを自覚している数少ない味方だ。もし、彼女の周りで不審な動きがあれば、すぐに報告して欲しい」
「承知しました」
「他に、何かあるかな? なければ解散して、夏休みが始まる前にもう一度、ここへ集まろう――それでは、それぞれの健闘を祈る」
私達は解散すると、それぞれの役割を果たすために、目的の場所へ向かったのだった。




