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ケイオス火山

 途中にある街をいくつも通り過ぎ、宿泊しながらケイオス火山の麓の近くまで来た私達は、石を見せてくれるという村へ馬車で向かっていた。


「そう言えば、教会の人って結局は身元が分からなかったんですよね?」


「ああ。若い人だったが、我が国の国民ではなかったよ」


「それじゃあ、やっぱり――国の外に人が?」


「違うと思う。たぶん、隠れて生きている人達じゃないかな?」


「隠れて生きている人?」


 前世では、鎌倉時代に隠れ里という隠された土地に住んでいる人がいたと聞いたことがある。それと、同じような人ということだろうか……。


「着きましたよ」


 村へ着くと、村人に案内されて私達は村長の家へ向かった。リビングに用意されていた石を見せてもらったが、それは私達の探している石ではなかった。


「カルメザイトではないな……」


 殿下の呟きに村長である男性は、怪訝な顔をしていた。


「カルメザイトでございますか?」


「ああ、その石を探している」


「聞いたことがありませんね」


「この石は、どこで採れたんだ?」


「この先の火山の河口付近ですが」


「私達をそこへ案内してくれないか?」


「申し訳ありませんが、今の時期は危険で殿下達をご案内できません。この村の者も、今の時期は危険で近寄らないんですよ」


「そうですか……」


 諦めて帰ることにした私達だったが、馬車に乗って窓の外を眺めていると、村に向かう道とは別の道を見たような気がして、私は御者の人に声を掛けた。


「停めて。停めてください!」


「は、はい!」


 大声で叫ぶと、馬車は停まった。馬車を降りて少し戻ると、やはりそこには道があった。木と木の間に隠されて分かりづらくなっているが、道を進むと辺り一面が紫色の花畑だった。


「こんにちは」


「こんにちは」


 小さな女の子が道の先からやって来て挨拶をしていた。


「お姉さんたち、私を迎えに来たの?」


「違うわ。花が綺麗だから眺めていただけよ」


「よかった」


「よかったの?」


「だって、私は生贄だから、あと少ししか生きられないの」


「生贄?」


「お姉さん、生贄を知らないの?」


「知ってるけど――本当に、生贄?」


「うん」


 小さな女の子は、生贄の意味が分からないのか笑っていた。私は一緒について来ていた殿下と顔を見合わせると後ろを振り返った。側にいたベイルとフィリップも怪訝な顔をしている。


「私達もついて行っていい?」


「いいわよ」


 女の子へ聞くと、彼女は嬉しそうに笑い、私達を村へ案内してくれたのだった。




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