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裏切者

「賢者セルス、もう一度伺います。なぜ外国があると言ったのですか?」


「国民は、みな私のことを本物の王だと思っていた。見えざるものを説明できなかったわしは『他国からの攻撃』としか、言えなかったのじゃ。あの時代の攻撃は、おそらく今の比にならないくらい激しかったのじゃ」


「それで国民は納得したのですか?」


「ああ。逆に絆が生まれた。共通の敵が現れたということで、内紛は一時休戦となり、一致団結して見えざるものを倒したのじゃ。まあ、結局は強すぎて倒すことが出来ずに、封印せざるを得なかったのじゃが」


「それで外国があるということにしたのですね?」


「ああ、至る所に細工を施した。外国に繋がる海には無数の魚雷を設置して海を渡れないようにしたし、海の生物の生態系を少しいじって、海に怪物が現れるようにもした。転移陣で繋がっているようにも見せかけたし……」


「まさか、転移陣で他の場所へ繋がったのも、見せかけだったのですか?」


「ああ。あれは数百回に一回、国内の別の場所へ転移するように魔術陣の術式に組み込んだのじゃ。引き寄せ魔術を応用したものを使ってな」


「そこまでだ。賢者セルス、裏切ったな」


 洞窟の井戸のある方角から声が聞こえて振り返ると、そこには理事長がいた。


「理事長! フィリップは――まさか?!」


「安心してくれ。彼には井戸の前で眠ってもらっている」


「そんな……」


 私が狼狽えていると、賢者セルスが言った。


「あの時から、1000年の時が流れている。今は時代の流れに沿った解決が求められているのかもしれん」


「そんなことを言うな!」


 理事長の登場と怒りに驚いていたが、何となくここから早く出た方がいいような気がしていた。


「リュ・ソルテラ!」


 私は本が置かれている場所と繋がっている壁画の先に作った土壁を、風の魔術をによって壊していた。だが、崩した壁の先にはコンラッドが立っていた。


「コンラッド……」




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