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だんだん  作者: 武上渓
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だんだん12話




ー12話



北海道の森林公園で、ハルトモ日本ツアー最終公演が開幕した。7日間連続公演の7日目の朝。小林智昭トリビュートシンガーを務めていた星岡幸広はテントの中で目覚めた。嫁の理香子は山ガールファッションを7種類用意して付近の山を制覇した。今日は星岡のステージを見てくれるはずだ。

YouTubeで星岡を呼んでくれたのは小林智昭自身だった。幕末が専門の歴史学者で徳川美術館の学芸員も務めている理香子を説得して、春菜をやらせてハルトモのカバー動画を上げていた。理香子のギターはダミーで星岡がオーバーダビングしていた。

YouTubeのコメント欄で頼まれた為、本人には会っていない。

春菜さんは、凄かった。池上商店街のセットを埋める10万人を前にシレッとアドリブをぶっ込む。メインでなくても圧を感じる中で普通じゃない。

テントの外から声がする。

「星岡さ~ん。起きてます!」

春菜さんの声がする。

テントから顔だけ出して言う。

「おはようございます。嫁は寝てます」

隣に動画で見た顔が手を差し延べた。

「星岡さん。小林智昭です。おはようございます」

焦って前のめりに倒れた。その後ろから寝ぼけまなこの理香子が出て来て、小林夫妻に気づいて星岡の上にコケた。

小林は驚いて助けようとして、理香子の上に倒れた。それを微笑みながらスマホで連写している春菜さんが普通じゃなかった。

倒れたまま笑いこけて、小林さんと握手した。

「何で居るんですか?」

「アメリカに出禁になってね。妻のライブにバイトに来ました」

星岡は笑うしかなかった。

「星岡さん。今日はダブル小林でハルトモやりましょう」

「待って下さい。それお二人とトリプルセンターってことですか?」

「センターです。変わらないでしょ?5m移動するだけですよ」

「春菜さん。意味が違うんです」

「もう半年見てます。充分力有ります。もう10万人経験10回越えたでしょ?経験値もオッケー。ねぇ小林くん、フリーダムからデビューしてもらいましょうよ?」

「稲沢さんから打診されてる。星岡幸広行けますよって」

星岡と理香子は目を白黒させて居る。

理香子が突然、草の上に土下座した。

「妻の理香子です!星岡幸広よろしくお願いします!」

今度は春菜が慌てた。

「理香子さん、泥が付きます」

土下座を止めさせようとして、今度は春菜がコケた。

そして、微笑みながら小林がスマホ連写を始めた。



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