第61章「ラーメン大食い生配信⑴ 開幕の湯気と“声だけの共演者”」
夜20時00分。
カウントダウンが0になった瞬間、配信画面が一気に切り替わる。
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《LIVE:東雲巳波 大食いラーメンチャレンジ》
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「こんばんはー!」
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明るい声と同時に、巳波の顔が画面に映る。
その瞬間、チャット欄が一気に加速する。
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すでにセットは完成していた。
整えられた食卓。
山のように積まれたラーメン。
塩、味噌、醤油、豚骨と、種類ごとに整然と並べられた“挑戦の山”。
そして複数のカメラが角度を変えて配置され、俯瞰、正面、手元と、すべてが抜けなく映る構成になっている。
ライトが反射し、スープの湯気がゆらゆらと漂う。
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「今日はラーメン大食い配信です!」
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巳波の声に、コメント欄は一瞬で流れ始める。
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【うおおおおおおおお】
【待ってた!】
【ラーメン回きた!】
【今日ガチじゃん】
【セッティング本気すぎる】
【機材えぐいw】
【飯テロ確定】
【夜中に見るやつじゃない】
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巳波は軽く笑いながら続ける。
その表情には余裕と、少しの楽しさが混じっている。
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「今日はゲストがいます」
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一瞬、空気が変わる。
コメント欄の流れがさらに速くなる。
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【きたゲスト】
【また声だけ枠?】
【前回の人たち?】
【誰来るんだ】
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「声だけ参加の3人です」
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「まずは――」
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巳波は横の席を軽く示す。
カメラには映らないが、そこには確かに人がいる。
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「AQUOSくん」
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蒼の声。
落ち着いた低めの声がマイクに乗る。
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「どうも、AQUOSです」
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一瞬の静寂のあと、コメントが爆発する。
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【声いいな】
【誰だこのイケボ】
【初登場?】
【絶対慣れてる声】
【落ち着きすぎて逆に怖い】
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次に巳波が言う。
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「そして、あやねん」
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彩音の声。
少し柔らかく、明るいトーン。
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「こんばんは、あやねんです」
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【可愛い声】
【推せる】
【空気明るくなる】
【癒し枠】
【この組み合わせ良すぎ】
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最後に巳波は少しだけ笑う。
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「そしてルーキーズ」
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琉偉の声。
一拍置いて、淡々と。
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「ルーキーズです」
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その瞬間、コメント欄が一気にざわつく。
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【この声前回の人じゃね?】
【絶対あの隣の人】
【やっぱいるじゃんw】
【声でバレてるw】
【落ち着きすぎて逆に怖い】
【なんか一番普通っぽいのに違和感】
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巳波はその反応を見ながら、自然に進行する。
何も隠すことなく、しかし核心には触れない。
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「今日はこの3人と一緒にやっていきます」
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「でも顔出しは私だけです」
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その言葉にコメントが流れる。
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【謎チームw】
【裏方最強】
【声だけで成立してるのすごい】
【この構成初めて見た】
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そして最初のラーメン。
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巳波は鍋に火を入れる。
ぐつぐつとお湯が沸く音。
映像越しにも伝わる“熱”。
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琉偉が声で言う。
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「お湯、もう少しです」
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蒼が続く。
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「麺ほぐします」
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彩音が笑う。
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「これ地味に忙しいね」
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コメント欄。
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【裏方の仕事量w】
【普通にスタッフ番組】
【この3人有能すぎ】
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最初の一杯。
塩ラーメン。
スープの透明感がカメラに映る。
湯気が立ち、香りが画面越しに想像できるほど。
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巳波が一口食べる。
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「いただきます」
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【はやい】
【もう食べた】
【うまそう】
【スピードえぐい】
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すぐに2杯目の準備。
流れるような動作。
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「次いきます」
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⑴チャレンジ開始
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巳波はテンポよく食べ進める。
スープを飲み、麺をすすり、間を置かず次へ。
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蒼はお湯担当。
沸騰の管理、タイミング調整。
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彩音はトッピング準備。
ネギ、卵、チャーシューを素早く配置。
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琉偉は麺の管理とタイミング調整。
固さ、崩し、茹で時間の調整。
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まるで一つのチームのように動いている。
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【チームワーク草】
【これ配信じゃなくて現場】
【裏方優秀すぎる】
【役割完璧すぎて笑う】
【プロ集団かよ】
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3杯目。
味噌ラーメン。
濃いスープの香りが画面越しでも伝わる。
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巳波が少し息を吐く。
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「これ結構くるね」
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【まだ3杯w】
【早いのにもうきてる】
【胃袋どうなってる】
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蒼がすぐフォロー。
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「お湯いきます」
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彩音が笑う。
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「あ、麺固い」
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琉偉が冷静に言う。
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「ほぐします」
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コメント欄はさらに加速する。
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【ルーキーズ有能】
【AQUOS落ち着いてる】
【あやねん可愛い】
【このチームバランス良すぎ】
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4杯目準備へ。
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巳波はカメラに向かって少し笑う。
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「まだまだいきますよ」
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その一言で、コメントがさらに跳ねる。
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【まだ序盤!?】
【怖い怖いw】
【本気回すぎる】
【胃袋バケモン回】
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そして一瞬だけ、横を見る。
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声だけの3人。
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でもその距離は、もう完全に“チーム”だった。
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夜はまだ始まったばかり。
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ラーメンの山は、まだ半分も減っていない。
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