表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

51/114

第50章「大学初日と、夜のホラー配信」


大学初日の空気は、想像以上に長く残るものだった。


講義、教室移動、初対面の会話、名前の確認。


それだけのはずなのに、琉偉の頭の中はずっとざわついていた。



(人、多かったな……)



廉斗、斗真、冬馬をはじめとした同級生たち。


まだ“友達”と呼ぶには早い距離感のまま、一日が終わった。



夕方。


東戸塚の一軒家へ帰ると、扉の向こうから静かな気配がした。



「おかえり」



巳波がキッチンから顔を出す。


ラフな服装だが、どこか仕事モードの空気も残っている。



「ただいま戻りました」



琉偉は靴を脱ぎながら答える。



巳波は軽く頷く。


「大学どうだった?」



少し間。



「思ったより、人が多かったです」



巳波は小さく笑う。


「そりゃそうでしょ」



そのまま二人はリビングへ。



一日が終わった部屋は、少しだけ静かすぎる。



ソファに座った巳波が、スマホを見ながら言う。



「ねえ」



琉偉が振り向く。



「今日の夜、配信する」



「ホラーゲーム」



その言葉に、琉偉は少しだけ反応する。



「ホラーですか」



巳波は軽く頷く。


「久しぶりにやるやつ」



少し間。



そして、視線を上げる。



「でね」



「今日も、隣にいてほしい」



琉偉はすぐには答えない。



巳波は一歩近づく。



そして、軽くキスをする。



「……ん」



短いのに、逃がさないような距離。



離れたあと、巳波は静かに言う。



「怖いのは苦手でしょ?」



琉偉は小さく頷く。


「……少し」



巳波は少しだけ笑う。


「じゃあちょうどいい」




夜。



配信部屋。


リングライトが点灯する。


モニターにはホラーゲームのタイトル画面。



“深夜廃病院探索ゲーム”



コメント欄はすでに動いている。



《来た!》

《ホラー待ってた》

《隣の人いる?》



巳波はマイクを調整しながら言う。



「こんばんは」



「今日はホラーゲームです」



そして一度だけ横を見る。



琉偉は静かに立っている。



「今日も少しだけ、隣にいます」



その一言でコメントが一気に加速する。



《やっぱりいるの!?》

《恒例になってて草》

《声の人きた》



ゲーム開始。



廃病院の廊下。


暗い照明。


不気味な足音。



巳波の操作は慎重だが、確実。



「ここ、絶対何かいる」



琉偉が小さく言う。


「左の扉、反応ありそうです」



巳波は即座に動く。


「開けるね」



扉が開く。



効果音。


暗転。



コメントが一気に流れる。



《うわ来るぞ》

《絶対出るやつ》



画面に“何か”が出る。



巳波が一瞬だけ固まる。



「……っ」



琉偉がすぐ言う。


「後ろ逃げて」



操作が切り替わる。


ギリギリ回避。



コメント爆発。



《連携すごい》

《声の人有能すぎ》

《普通に上手い》



中盤。


探索が安定してくる。



巳波の呼吸も少し落ち着く。



「ねえ、今の怖かった」



琉偉は淡々と答える。


「急に来ましたね」



少しだけ笑いが入る。




終盤。


ボス的存在。



画面が赤くなる。



巳波の声が少し上ずる。



「これ無理かも」



琉偉は短く言う。


「タイミング合わせればいけます」



巳波は頷く。


「分かった」



数秒後。



撃破。



“CLEAR”



コメントが一気に爆発。



《勝った!?》

《連携えぐい》

《この二人強すぎ》



巳波は息を吐く。



「……疲れた」



琉偉は少しだけ笑う。


「お疲れさまです」




配信終了。



コメントが流れ続ける中、画面が暗転する。



静寂。



巳波は椅子から立ち上がる。



琉偉の方へ振り返る。



そして――



「ありがとう」



軽くキス。



でも今日は少し違う。



離れない。



もう一度、少し深く。



「今日も隣にいてくれて、ありがとう」



琉偉は小さく頷く。


「はい」



夜の部屋に残るのは、


ホラーの余韻ではなく、


確かな“日常”だけだった。  



最後まで読んでくださり、ありがとうございます!

もしこの物語に少しでも「面白い!」と感じていただけたなら——


ブックマーク & 評価★5 をぜひお願いします!


その一つひとつが、次の章を書き進める力になります。

読者の皆さまの応援が、物語の未来を動かします。


「続きが気になる!」と思った方は、ぜひ、見逃さないようブックマークを!

皆さまの応援がある限り、次の物語はまだまだ紡がれていきます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ