表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

38/43

第37章「最後の平日」


卒業式まで、あと数日。


それなのに、学校の空気はもう“授業”をしていなかった。


どこか浮ついていて、どこか静かだった。



昼休み。


食堂の一角。



蒼がトレーを置きながら言う。


「なあ琉偉、ほんとにさ」


「卒業したらすぐ同居なんだろ?」



琉偉は少し間を置く。


「予定では、そう」



彩音がフォークを止める。


「予定ではってことは、まだ変わる可能性あるの?」



琉偉は首を振る。


「ほぼ決まってる」



蒼が笑う。


「もう普通の高校生の話じゃねぇな」


「人生の進行速度バグってるだろ」



琉偉は少しだけ視線を落とす。


「でも、普通のことだと思ってる」



彩音が小さく首をかしげる。


「普通って何基準?」



琉偉はすぐに答えない。


少し考えてから言う。


「ちゃんと選んでるかどうか」



蒼が一瞬黙る。


そして、笑う。


「……かっけぇこと言うじゃん」



その頃。



巳波の撮影現場。


休憩室。



スタッフが慌ただしく動く中、巳波は静かに椅子に座っていた。



マネージャーの雷斗が声をかける。


「卒業式、もうすぐですね」



巳波はスマホを見たまま言う。


「はい」



雷斗が少し笑う。


「緊張してます?」



巳波は一瞬だけ止まる。


そして答える。


「私じゃなくて、彼の方が緊張してると思います」



雷斗が吹き出す。


「まあ、確かに」



巳波は続ける。


「でも、ちゃんと行きます」



雷斗は資料を閉じる。


「それが一番ですね」



夜。



琉偉の部屋。



机の上には卒業関連のプリント。


でも目はそこにない。



スマホが鳴る。


巳波。



「もしもし」


『もしもし』



少しの沈黙。



巳波が先に言う。


「卒業式、緊張してる?」



琉偉は正直に答える。


「少し」



巳波が小さく笑う。


「“少し”なんだ」



「はい」



また沈黙。



巳波が続ける。


「私はね」


「ちょっとだけ楽しみ」



琉偉は少しだけ驚く。


「楽しみなんですか」



「うん」


巳波ははっきり言う。


「あなたの“終わり”と“始まり”を同時に見れる日だから」



その言葉に、琉偉は言葉を失う。



少ししてから言う。


「重いですね」



巳波は笑う。


「重くしたの、あなたでしょ」



琉偉は小さく息を吐く。


「……そうかもしれないです」



巳波が優しく言う。


「だから、ちゃんと見に行く」



「はい」



通話が終わる。



夜。


静かな部屋。



琉偉は天井を見ている。


(卒業)


ただの通過点のはずなのに。



でもその向こうに、確かに“新しい生活”がある。



そして同時に思う。


(全部、ここから変わる)



窓の外は静かだった。


でもその静けさは、もう“終わりの前触れ”だった。



最後まで読んでくださり、ありがとうございます!

もしこの物語に少しでも「面白い!」と感じていただけたなら——


ブックマーク & 評価★5 をぜひお願いします!


その一つひとつが、次の章を書き進める力になります。

読者の皆さまの応援が、物語の未来を動かします。


「続きが気になる!」と思った方は、ぜひ、見逃さないようブックマークを!

皆さまの応援がある限り、次の物語はまだまだ紡がれていきます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ