表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

33/40

第32章「それぞれの場所、同じ現実」


家族面談が終わった夜は、妙に静かだった。


さっきまでの緊張が嘘のように、リビングには柔らかい空気だけが残っている。


巳波はソファに軽く座り直し、少しだけ息を吐いた。



「……みなさんの仕事、少し聞いてもいいですか?」


その一言に、全員が反応する。



まず父・優斗が頷く。


「俺は㍿龍雷神の人事部だ」


続けて兄・優介も軽く手を挙げる。


「同じ会社。海外事業部」



巳波は少し目を細める。


「龍雷神……かなり大きい会社ですね」



母・聖樹が微笑む。


「私はルクシア株式会社よ」


姉・美紗都も続ける。


「同じくルクシア。経理部の経理課」



巳波は軽く頷く。


「皆さん、大手企業ですね」


淡々とした口調だが、しっかりとした理解がある。



琉偉は横で静かに聞いていた。


(ちゃんとした家庭なんだよな、うち)


改めて実感する。



そして巳波は続ける。


「ちなみに」


「私のマネージャーの筒香雷斗も」


少しだけ間を置く。



「㍿龍雷神の芸能音楽部、アイドル部門と俳優女優マネジメント課に所属しています」



父・優斗が少しだけ眉を上げる。


「……うちの会社か」


兄・優介も軽く笑う。


「繋がってるな」



巳波は軽く頭を下げる。


「今日は突然お邪魔してすみませんでした」



母・聖樹が優しく笑う。


「もういいのよ。話はちゃんと聞けたし」



姉・美紗都も少し落ち着いた表情になる。


「いやほんと、現実感まだないけどね」



空気は少しずつ“日常”に戻っていく。



やがて時間が経ち、巳波は立ち上がる。


「そろそろ失礼します」



父・優斗が短く言う。


「気をつけて」


母も軽く頭を下げる。



玄関。


靴を履く巳波。



その横で琉偉は一歩近づく。


何も言わずに――


唇を重ねる。



「……ん」


短く、でも確かなキス。



離れたあと、巳波は少しだけ目を細める。


「帰るだけなのに大げさ」


「……いつものです」


琉偉は淡々と答える。



「じゃあ、また」


「はい」



扉が閉まる。



その夜。


巳波は実家へ戻り、自室でスマホを手に取る。



通話。


「もしもし」


『もしもし』


琉偉の声。



少しだけ沈黙。



「今日はありがとう」


『いえ』



「大丈夫だった?」


『……たぶん』


少しだけ迷う声。



巳波は小さく笑う。


「“たぶん”ね」



『でも、ちゃんと話せました』


「うん」



短い沈黙。


でも、安心した空気。



「おやすみ」


『おやすみなさい』



通話終了。



それぞれの部屋。


それぞれの距離。


それでも――


確かに同じ“現実”の中にいた。  



最後まで読んでくださり、ありがとうございます!

もしこの物語に少しでも「面白い!」と感じていただけたなら——


ブックマーク & 評価★5 をぜひお願いします!


その一つひとつが、次の章を書き進める力になります。

読者の皆さまの応援が、物語の未来を動かします。


「続きが気になる!」と思った方は、ぜひ、見逃さないようブックマークを!

皆さまの応援がある限り、次の物語はまだまだ紡がれていきます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ