表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

24/27

第23章「決定と、日常の温度差」


月曜日、昼。


学食はいつもより少し騒がしかった。


「なあ見たか?巳波さんの新しいやつ!」


「マジ!?また写真集出すの!?」


「今度は水着らしいぞ」


「やば……絶対売れるだろ」


ざわつきが一気に広がる。


(……またか)


琉偉は定食を食べながら、静かに耳を傾けていた。


当然ながら、誰も知らない。


その“新しい写真集”の決定が――今まさに起きていることを。



その頃。


事務所。


東雲巳波は、マネージャー筒香雷斗と向かい合っていた。


「次の水着写真集、正式にオファー来てます」


「……うん」


資料がテーブルに置かれる。


「かなり反響見込めます」


「……そう」


雷斗は少しだけ様子を見る。


「出しますか?」


その問いに、巳波は一瞬だけ沈黙する。



「……私だけでは決められない」


小さな声。


雷斗が目を細める。


「例の?」


「うん」


すぐに察する。



巳波はスマホを取り出す。


少しだけ迷ってから――


通話を押す。



数コール。


『もしもし』


琉偉の声。


(今は昼か)


「今、大丈夫?」


『食堂です』


少しだけ周りの音。


「……ごめん」


『いや、大丈夫です』



巳波は一呼吸置く。


「新しい写真集の話、来た」


その瞬間。


琉偉の動きが止まる。



『……写真集?』


「うん」


『水着の?』


「うん」


短く返事。



『……出るんですか?』


「まだ決めてない」


少しだけ間。


「どうするか迷ってる」



琉偉は一瞬だけ黙る。


そして。


『……出た方がいいと思います』


即答だった。



「……いいの?」


『はい』


少しも迷いがない。


『買いますし』


「……」


巳波が少しだけ笑う。



『いや、本気で』


『ちゃんと見ます』


「それは見なくていいの」


軽く突っ込む。



『でも』


少しだけ声が落ちる。


『巳波さんの仕事なら、応援したいです』



その一言で、空気が変わる。


巳波はスマホを握る手を少しだけ強くする。


「……分かった」


短く答える。


「出す」



通話終了。



食堂。


琉偉がスマホを置く。


その隣。


「なあ」


蒼がすぐに身を乗り出す。


「今の何?」


「……電話」


「誰と?」


彩音もじっと見ている。



琉偉は一瞬だけ間を置く。


そして――


「……妻」


「は?」


同時に固まる二人。



「いやいやいや」


蒼が笑う。


「今の会話でそれ?」


「普通に出たな」


彩音も目を丸くする。



「水着の写真集が決まったって」


淡々と続ける。


「で、出していいか聞かれた」



沈黙。



「……マジで?」


蒼が頭を抱える。


「情報量が日常すぎるだろ」


「それが怖いんだけど」


彩音も呆れたように笑う。



「で、お前」


蒼が聞く。


「どう答えたんだよ」



「買いますって言った」


一拍。



「バカか」


即ツッコミ。


「いや真面目に」


彩音が笑いながら言う。


「それ、もう夫の返答だよね」



琉偉は少しだけ目を逸らす。


「……そうかもな」



外はいつも通りの学校。


中ではいつも通りの秘密。


そしてその中心で、また一つ“現実”が動き始めていた。



その夜。


また新しい仕事の連絡が、静かに届くことになる。  



最後まで読んでくださり、ありがとうございます!

もしこの物語に少しでも「面白い!」と感じていただけたなら——


ブックマーク & 評価★5 をぜひお願いします!


その一つひとつが、次の章を書き進める力になります。

読者の皆さまの応援が、物語の未来を動かします。


「続きが気になる!」と思った方は、ぜひ、見逃さないようブックマークを!

皆さまの応援がある限り、次の物語はまだまだ紡がれていきます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ