第15章「拡散する熱狂と、三人だけの真実」
木曜日、朝。
教室に入った瞬間――
「見た!?昨日の配信!!」
「やばかったよな!?」
「同接3万超えってマジ!?」
一気に空気が騒がしい。
(……やっぱりな)
琉偉は静かに席へ向かう。
だが、その途中で――
「廣瀬!」
呼び止められる。
振り向く。
そこにいたのは、新しく関わることになる男子たち。
・神崎蓮――クールで圧のあるタイプ
・一ノ瀬悠斗――爽やか系イケメン
・橘颯真――ノリのいいムードメーカー
・高宮湊――落ち着いた知性派
・瀬名蒼真――無口で観察型
・桐生海斗――チャラく見えて面倒見がいい
・白城悠真――優等生タイプ
・黒瀬陸――クールで少し荒い
・朝倉晴――明るくて人懐っこい
・久遠玲央――どこかミステリアス
「昨日の巳波さんの配信見たか?」
橘颯真が前のめりで聞いてくる。
「……見た」
「だよな!?」
「神回すぎた!」
「コメント拾いも神だったし!」
一気に囲まれる。
(……すげぇな)
改めて実感する。
その時――
女子たちも集まってくる。
・月城美羽――透明感のある美少女
・白雪凛――クールで整った顔立ち
・小日向葵――明るく元気
・七瀬結衣――優しくておっとり
・桜庭ひな(さくらば ひな)――人懐っこい
・天宮紗奈――清楚系
・西園寺莉子――お嬢様系
・東條心愛――甘え上手
・姫川美桜――大人っぽい美人
・水瀬るな(みなせ るな)――小動物系で可愛い
「巳波さん可愛すぎたよね!」
「分かる!あの笑い方やばい!」
「ゲームしてる時の表情も好き!」
完全に熱狂。
教室の中心が、“巳波”になっている。
(……これ、全部知ってるんだよな俺)
現実とのズレが、さらに広がる。
⸻
その時。
「……琉偉」
横から小さな声。
九条蒼。
そして反対側に、白石彩音。
「……何」
「昨日」
蒼が少しだけ口元を歪める。
「見てたよな」
「……見てた」
「俺らも」
「……え」
彩音が続ける。
「一緒にね」
「……は?」
「琉偉の隣で見てたよ、って言いたいところだけど」
くすっと笑う。
「実際は、それぞれの部屋で」
「……」
「でもさ」
蒼が軽く肩をすくめる。
「同じ時間に同じ人見てるって、なんか変な感じだな」
「……」
「“お前の奥さん”をさ」
その一言。
一瞬で現実に引き戻される。
「……やめろ」
小さく言う。
「なんで?」
「周りに聞こえる」
「大丈夫」
蒼は軽く笑う。
「ちゃんと小声」
確かに。
周囲には聞こえていない。
でも。
(心臓に悪い)
「……なあ」
蒼が少しだけ真面目な顔になる。
「改めて思った」
「……何を」
「やばいな、お前」
「……」
否定できない。
「普通じゃない」
「……分かってる」
「でも」
彩音が小さく言う。
「ちゃんと幸せそう」
「……」
言葉に詰まる。
「顔見れば分かる」
優しい声。
「……」
否定しない。
できない。
⸻
その時。
「なあ琉偉!」
橘颯真がまた声をかけてくる。
「次の配信いつだと思う!?」
「コラボとかしてほしくね!?」
「リアルで会ってみたいよな!」
「写真集持ってるやついる?」
周囲がさらに盛り上がる。
(……無理だろそれ)
心の中で呟く。
だが。
「……そうだな」
としか言えない。
⸻
休み時間。
教室の窓際。
「……大丈夫?」
彩音が聞く。
「……何が」
「この状況」
周囲を軽く見る。
巳波の話題で埋め尽くされている。
「……慣れるしかない」
「……だね」
少しだけ笑う。
蒼も隣で言う。
「でもさ」
「……何」
「これ、バレたら終わりだな」
「……」
「教室どころじゃないぞ」
「……分かってる」
重い現実。
「だから」
蒼は小さく言う。
「俺らがいるんだろ」
「……」
彩音も頷く。
「絶対守る」
その一言。
「……頼む」
自然に出た言葉。
⸻
“画面の中の存在”は、学校の中心になった。
そして。
“現実の秘密”は、三人で守られる。
だが。
その差は――
あまりにも大きい。
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