↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

104/129

第103章「幼馴染との休日――それぞれの土曜日」


土曜日の昼。


久しぶりに予定が合ったこともあり、琉偉は幼馴染の蒼と彩音の三人で出掛けることになった。


朝食を終えた後、琉偉はリビングでくつろいでいた巳波に声を掛ける。


「少し出掛けてきます」


巳波はソファに座ったまま顔を上げる。


「蒼くんと彩音ちゃん?」


「はい」


「久しぶりだね」


「夕方には戻ります」


巳波は小さく頷く。


「行ってらっしゃい」


琉偉は玄関へ向かう。


すると巳波も立ち上がり、そのまま玄関まで見送りに来た。


「楽しんできてね」


「はい」


そして自然な流れで二人は軽く唇を重ねる。


「行ってきます」


「うん。行ってらっしゃい」


玄関の扉が閉まった。



戸塚駅前。


待ち合わせ場所にはすでに蒼と彩音が来ていた。


「おっ、来た来た」


蒼が手を振る。


「久しぶりだね」


彩音も笑顔を見せる。


「二人とも待たせました」


「いや、俺たちも今来たところ」


三人はそのまま駅近くの商業施設へ向かった。


最初に向かったのはカフェだった。


店内に入ると、秋限定メニューのポスターが大きく掲示されている。


蒼は期間限定のパンプキンスパイスラテ。


彩音は季節限定のシャインマスカットのフラペチーノ。


琉偉はキャラメルマキアートを注文した。


窓際の席へ座る。


「こうやって三人で出掛けるのも久しぶりだな」


蒼が言う。


「高校の時以来かも」


彩音が笑う。


「確かに」


琉偉も頷いた。


飲み物を片手に、近況報告が始まる。


大学のこと。


アルバイトのこと。


最近見た映画。


何気ない会話なのに、不思議と時間はあっという間に過ぎていった。



カフェを出た三人は、少し離れた大型ショッピングモールへ移動した。


休日ということもあり、多くの買い物客で賑わっている。


まず向かったのはブランドショップ。


蒼は新しい財布を探していた。


「長財布にしようかな」


「これ似合うんじゃない?」


彩音が黒いレザー財布を手に取る。


「確かにいいな」


その後も男性用バッグ売り場へ。


琉偉は機能性重視のシンプルなショルダーバッグを見ていた。


「大学用?」


蒼が聞く。


「はい。今使っているのが少し古くなってきたので」


「琉偉らしいな」


彩音は笑った。


さらにスポーツ用品店へも足を運ぶ。


動きやすいジャージやスポーツウェアを見て回る。


「たまには運動しないとね」


彩音が言う。


「確かに」


蒼も頷いた。



その頃――。


戸塚の家では巳波が一人で過ごしていた。


午前中は平気だった。


しかし昼を過ぎた頃から、何となく体調に違和感を覚えていた。


「……なんだろう」


軽い気持ち悪さ。


強いものではない。


それでも、普段とは少し違う感覚だった。


「疲れてるのかな……」


握手会。


配信。


撮影。


ここ最近は忙しい日が続いていた。


だが、心当たりが全くないわけでもない。


巳波は少し考えた後、念のためドラッグストアで購入していた妊娠検査薬を確認することにした。


しばらく待つ。


結果は陰性だった。


「……そっか」


安堵と少しの複雑な感情。


どちらとも言えない気持ちだった。


「帰ってきたら、琉偉には話そう」


そう決める。


巳波はリビングへ戻ると、そのまま自室で少し横になることにした。



一方その頃。


ショッピングを終えた三人はボウリング場へ来ていた。


久しぶりのボウリング。


一ゲーム目から蒼が大きな声を上げる。


「よし! ストライク!」


「うるさい」


彩音が笑う。


「蒼って昔から変わらないよね」


「褒め言葉として受け取っておく」


琉偉も思わず笑った。


三人は次々とゲームを重ねる。


二ゲーム。


三ゲーム。


四ゲーム。


そして気付けば六ゲーム目に入っていた。


かなりの運動量だった。


休憩中。


蒼がスポーツドリンクを飲みながら言う。


「なあ」


「はい?」


「今度さ、巳波さんも連れて四人でボウリングしない?」


琉偉は少し驚いた。


「巳波さんですか?」


「うん」


蒼は頷く。


「せっかくなら一回くらいみんなで遊んでみたいし」


彩音も笑顔で続ける。


「それいいね」


「ただ……」


少し表情を引き締める。


「巳波さん、有名なグラビアアイドルだから、周りには気を付けないといけないけど」


「そうですね」


琉偉は頷いた。


「一度相談してみます」


「お願い」


蒼は笑う。


「断られたら諦める」


「たぶん大丈夫だと思うけど」


彩音も微笑んだ。


六ゲームを終えた頃には、すっかり夕方になっていた。


「そろそろ帰るか」


蒼が言う。


「そうだね」


琉偉はスマートフォンを見る。


巳波からメッセージは来ていない。


だが、帰ったら今日のことを話そうと思った。


そして、ボウリングの誘いのことも。


三人は夕暮れの街を歩きながら、それぞれの家へ向かっていった。   



最後まで読んでくださり、ありがとうございます!

もしこの物語に少しでも「面白い!」と感じていただけたなら——


ブックマーク & 評価★5 をぜひお願いします!


その一つひとつが、次の章を書き進める力になります。

読者の皆さまの応援が、物語の未来を動かします。


「続きが気になる!」と思った方は、ぜひ、見逃さないようブックマークを!

皆さまの応援がある限り、次の物語はまだまだ紡がれていきます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。