表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
学園恋愛監査官〜恋愛指数最底辺の俺は、学園一の美少女の“偽装恋愛”を暴いてしまった〜  作者: 神代零


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

48/51

第四十八話 「最後の恋愛監査」

 神奈川県立統合学園。


 その日。


 校内全モニターが静かに点灯した。



《特別恋愛監査実施》


 ざわめき。


 だが。


 今回は少し空気が違った。



「……最後か」


 俺が小さく呟く。


 一ノ瀬雪乃が隣で静かに頷いた。


「うん」



 恋愛監査。


 この学校を縛ってきた制度。


 誰が本気で、

 誰が演技で、

 誰が“正しい恋愛”をしているか。


 数字と評価で管理してきた制度。



 でも今。


 その制度自体が揺らいでいる。



 旧校舎。


 Eクラス食堂。


 今日は珍しく静かだった。



「最後の監査って、何やるんだ?」


 柴崎が聞く。


 黒崎玲奈が静かに資料を置いた。



《全国恋愛制度最終検証》


 嫌な正式名称。



「内容はシンプルよ」


 黒崎が言う。


「“偽装恋人”を見抜けるか」


 静かな空気。



「つまり」


 朝霧が小さく言う。


「九条くんの能力テスト?」


「多分そうだな」



 最初。


 俺は。


 “嘘の恋愛感情”だけを見抜いていた。


 でも今は違う。


 本物の感情も、

 少し分かるようになっていた。



 その時。


 講堂集合通知。



 数十分後。


 第一講堂。


 全校生徒集合。


 A組。

 D組。

 Eクラス。


 全員いる。



 壇上には。


 白鷺優斗。


 静かな空気。



「本日」


 白鷺が言う。


「最後の恋愛監査を行います」


 モニター点灯。



《恋愛感情最終判定》



「従来制度では」


 白鷺は続ける。


「恋愛を“評価”してきました」


 Lスコア。

 適性。

 人気。



「ですがEクラスは」


 映像切り替え。


 畑。

 笑顔。

 共同生活。


「その理論を変えた」


 講堂が静かになる。



「そこで本日は」


 白鷺が俺を見る。


「九条蓮くん」


 嫌な予感。



「あなたに、最後の監査をお願いします」


 沈黙。



「この中から」


 モニター表示。


《偽装恋人》


「一組だけ存在します」


 全校ざわつく。



「マジかよ……」

「まだいたのか……」



 俺は静かに壇上へ上がる。


 講堂を見る。



 緊張してるやつ。


 照れてるやつ。


 本気で好きなやつ。


 色々見える。



 でも。


 一組だけ。


 違和感があった。



「……あの二人だな」


 俺が指差す。


 一般クラスカップル。


 空気が止まる。



「理由は?」


 白鷺が聞く。



「距離感が不自然」


 静かな声。


「嫌われない会話ばっかりしてる」

「失敗を怖がってる」


 そして。


「“相手”じゃなく、“正しい恋愛”を見てる」


 講堂が静まり返る。



 数秒後。


 そのカップル男子が苦笑した。


「……すごいな」


 静かな声。


「その通りです」


 ざわめき。



「俺たち、Lスコア下げたくなくて付き合ってました」


 女子も小さく頷く。



 昔なら。


 それが“正しい恋愛”だった。


 でも今は違う。



 その時。


 一ノ瀬が静かに前へ出る。



「恋愛って」


 講堂を見る。


「失敗してもいいと思う」


 静かな声。



「怖くてもいいし」

「不器用でもいいし」

「ちゃんと好きになれなくてもいい」


 優しい声。



「でも」


 少し笑う。


「“本音”だけは隠さなくていいと思う」


 講堂が静まる。



 その瞬間。


《感情共鳴指数》

《全校同期状態》


 監視モニターが光る。


 だが。


 今日は誰もツッコまなかった。



 白鷺優斗は静かに笑う。


「……これにて」


 小さな声。


「最後の恋愛監査を終了します」


 その言葉は。


 ひとつの時代の終わりだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ