第四十一話 「数週間後」
新学期開始から数週間。
そして。
学園祭革命からも、かなり時間が経っていた。
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神奈川県立統合学園。
空気は、以前と明らかに変わっていた。
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朝。
校門前。
「おはよー!」
「今日、畑当番だっけ?」
普通の会話。
でも。
以前みたいな《Lスコア順位》の話は減っていた。
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代わりに増えたのは。
「今日一緒に昼食べる?」
「放課後、D組も交流会来る?」
そんな、普通の約束。
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Eクラス農地。
今日も騒がしい。
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「柴崎ぃぃぃ!!」
「なんだ!?」
「朝霧さんに弁当作ってもらってる!!」
「最近毎日だろ!!」
もはや誰も驚かない。
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一方。
松永と瀬名。
「そろそろ冬野菜準備するか」
「鍋用増やそっか」
会話が完全に生活。
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藤堂と獅子原は。
共同で燻製小屋改良中。
「ここ断熱入れたい」
「じゃあ木材取ってくる」
DIY夫婦だった。
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D組も。
少しずつEクラスへ馴染み始めていた。
最初は緊張していた生徒たちも。
今では普通に畑へいる。
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「……変わったよな」
俺が呟く。
一ノ瀬雪乃が静かに頷いた。
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数週間前。
この学校は。
恋愛を“評価”する場所だった。
でも今は違う。
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畑で笑ってるやつがいる。
魚捕って笑ってるやつがいる。
好きなやつと一緒に飯食ってるやつがいる。
全部。
数値じゃなくなっていた。
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一ノ瀬は、少し遠くを見る。
「私、最初は怖かった」
小さな声。
「恋愛って、間違えたら終わるものだと思ってたから」
静かな空気。
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「でもEクラスって」
笑う。
「失敗しても、笑ってくれるんだよね」
その言葉に。
俺も少しだけ笑った。
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確かに。
Eクラスは不器用だ。
恋愛初心者ばかり。
でも。
誰かを笑うより、
一緒に騒ぐやつらだった。
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その時。
旧校舎前がまた騒がしくなる。
「来たぞ!!」
「マジ!?」
見ると。
D組男子が真っ赤な顔で立っていた。
隣にはD組女子。
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「……俺」
完全に緊張している。
「お前といると楽しい」
Eクラス全員。
即座に察する。
「始まったぁぁぁ!!」
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D組女子も少し照れながら笑った。
「……私も」
数秒後。
「また感染したぁぁぁ!!」
旧校舎大騒ぎ。
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一ノ瀬が笑う。
「恋愛感染、止まらないね」
「もうパンデミックだろ」
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その頃。
中央恋愛省。
《Eクラス方式》
《全国拡大》
《自然恋愛形成率上昇》
研究員たちがざわついていた。
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「……信じられません」
「恋愛ストレス指数が大幅減少しています」
白鷺優斗は静かに資料を閉じた。
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「恋愛を管理しすぎた結果、人々は恋愛できなくなった」
窓の外を見る。
「ですが彼らは違った」
Eクラス。
感情共鳴実験クラス。
落ちこぼれ隔離教室。
でも今は。
日本の恋愛教育を変えたクラス。
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一方。
夕方の農地。
風が吹く。
とうもろこし畑は、もう収穫後だった。
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「……平和だな」
俺が呟く。
一ノ瀬が隣で笑う。
「うん」
静かな夕暮れ。
そして。
彼女は自然に俺の手を握った。
もう。
演技じゃない。
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その瞬間。
《感情共鳴指数》
《安定同期状態確認》
監視ドローンが反応。
「だから空気読めぇぇぇ!!」
旧校舎に、いつものツッコミが響いた。




