第二十七話 「国家公認カップル」
「国家公認カップルってなんだよ!!」
朝から俺の叫びが旧校舎へ響いていた。
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Eクラス食堂。
空気は最悪である。
主に俺に対して。
「おめでとうございます国家代表」
「やめろ」
「全国恋愛教育モデルだってよ!」
「笑うな」
柴崎が机を叩いて爆笑していた。
朝霧まで笑ってる。
裏切りだ。
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一方。
一ノ瀬雪乃は完全にフリーズしていた。
「……無理」
「何が」
「全国配信」
端末画面を見せてくる。
《恋愛省公式チャンネル》
《“自然恋愛成功事例”特集》
サムネ。
俺と一ノ瀬。
終わった。
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さらに。
黒崎玲奈が追い討ちをかける。
「今日から定期観測入るから」
「嫌です」
「拒否権ないわ」
最悪だった。
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その時。
校内モニター点灯。
《特別授業開始通知》
嫌な予感しかしない。
《Eクラス協力》
《自然恋愛実演講義》
沈黙。
「……は?」
全員止まる。
そして。
「自然恋愛実演ってなんだぁぁぁ!!」
Eクラス大混乱。
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数十分後。
第一講堂。
全校生徒集合。
A組。
一般クラス。
教師。
全員いる。
そして壇上。
俺と一ノ瀬。
「帰りたい」
「同感」
白鷺優斗が微笑む。
「皆さん、本日は特別授業です」
絶対ろくでもない。
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「従来型恋愛教育では、“好かれる技術”を教えていました」
モニターに映る旧教材。
《好感度会話》
《恋愛印象管理》
《高評価行動テンプレート》
A組っぽい内容だった。
「ですがEクラスは違った」
映像切り替え。
畑。
焼きとうもろこし。
笑い合うEクラス。
「彼らは、“自然な関係性”から感情を形成した」
講堂が静まる。
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「そこで本日は」
嫌な笑顔。
《自然恋愛観測授業》
「九条くんと一ノ瀬さんに、“自然な会話”を実演してもらいます」
「公開処刑だろこれ!!」
講堂爆笑。
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一ノ瀬が小声で言う。
「……どうする?」
「普通に話せばいいんじゃないか」
「普通って何?」
「知らん」
「そこから?」
Eクラスが吹き出していた。
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数秒後。
一ノ瀬は少し考えてから言う。
「……九条くん」
「なんだ」
「今日、お昼一緒に食べる?」
「いつも食ってるだろ」
「そうだった」
講堂静止。
「……え?」
「自然すぎない?」
ざわめき。
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すると。
白鷺が静かにモニターを見る。
《感情共鳴指数上昇》
「ほら」
白鷺が微笑む。
「これです」
嫌な研究発表みたいだった。
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一ノ瀬は少し恥ずかしそうに笑う。
「なんか変だね」
「何が」
「前まで、“恋愛っぽくしなきゃ”って考えてたのに」
静かな声。
「今は普通に話してるだけなのに、楽しい」
空気が静まる。
それは。
完全に本音だった。
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その時。
A組側から声が上がる。
「……そんなの恋愛じゃない」
相沢だった。
全員見る。
「恋愛は努力して手に入れるものだ」
静かな声。
「人気も、評価も、立場も必要だ」
空気が少し張る。
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だが。
柴崎が立ち上がった。
「でも俺、魚取ってる時に朝霧好きになったぞ」
講堂停止。
「焼きとうもろこし焼いてるうちに付き合ったやつもいるし」
松永が頷く。
「炭火は重要」
「お前は黙ってろ」
講堂が笑い始める。
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その瞬間。
《感情共鳴指数》
《全校平均上昇》
モニター数値が跳ね上がった。
ざわめき。
白鷺が静かに呟く。
「……やはり」
そして。
「恋愛は、“評価されるもの”ではなく、“生まれるもの”なのかもしれませんね」
恋愛省の監察官が。
初めて制度を疑う言葉を口にした。




