シーズンⅤ 第七話 勲章
こんにちは。作者の「野生の書生」です。
前回はレオンがギルバード准将と会うところまでを書きました。
今回はその続きからです。
本作はいじめや暴力の描写を含みますので、苦手な方はご注意してください。
主人公が理不尽な暴力や、過去のトラウマと闘いながら成長していく物語なので、お付き合いいただければ幸いです。
この物語はフィクションです。登場人物・団体および地名等における名前や設定はAIと相談しながら決定しています。実在の人物・団体・地名等は一切関係ありませんので、ご容赦ください。
ギルバード准将は俺に向かって「聞きたいことがある」と言ってきた。
「なんですか.........?」
俺はどう答えていいか分からず、とりあえず先を促した。
「レオン君。君は莫大な力を己の手中に収めている。アソシラス村で見せた火球攻撃の話も聞いている。.........君は力を持つことの意味は何だと思う?」
ギルバード准将は、まるで先生が生徒に質問するかのような口調で俺に聞いてきた。
「俺にとっては........。この力は自分と大切な仲間たちの居場所を守るための手段です。」
俺はそう答えていた。ルミナに誓った通り、この力はそのためのものだ。
「そうだ。私も同じだよ。」
そう答えると、ギルバード准将は、本棚から一冊のファイルを取り出した。
「これは、一年前から我々が研究を開始した兵器の資料だ。昨年現れた革新的な研究者がこの兵器を提唱した。当初彼の意見に半信半疑だったが、彼は次々と戦場の常識を覆す新兵器を開発した。私は彼の意見に賛同して、資金とこの場所を提供したよ。そして、彼はついにその兵器が完成したと報告してきた。私はそれを合図に行動を開始したのだ。」
「その兵器とは何なのですか?」
カイルが質問した。
「究極の破壊力を持つ兵器だ。特殊な金属の中に、魔石から抽出した魔力を濃縮して移植する。異次元の魔力を帯びたその金属を、風魔法と火魔法を融合して作った推進力で遠距離から飛翔させて、敵地上空で炸裂させる。敵の都市は瞬時に蒸発するという代物だ。これぞ従来の戦闘の在り方を根底から変える超兵器だ。」
ギルバード准将は天井を見上げてそう言った。
「お前......。ふざけているのか。」
ジークフリートはギルバード准将を睨んでいった。
「むろん、このようなものを私も積極的に使用するつもりはない。ただ、我が国がこれを保有しているという事実を世に知らしめることが大切なのだ。これがあれば、どの国も我が国に攻め入ることはできない。外交上も有利な立場に立つことができるだろう。」
ギルバード准将は絶対的な自信をもって言っていた。
「レオン君。私も君と同じだよ。君が英雄として、仲間や王都を守ることができるのはその手に強大な力を収めているからだ。」
レオンはギルバード准将が親近感を持った目で俺を見ていた理由が、少しわかった。
——分かってはいけないのだろうが、認めたくはないが、俺は確かにこの男と似ているのかもしれない。
「違う!」
クロエが叫んでいた。
「レオンは、いつだって私たちを守ってくれた。私たちの側にいて戦ってくれた。あの火球で奴隷狩りの人たちを攻撃した時も、村のみんなを守ってくれていた!あなたみたいな無差別の暴力に頼る歪んだ理想と、レオンを並べて語らないで!」
クロエが必死の形相でギルバード准将に食って掛かった。
「その通りですわ。公爵家としても、民間人を巻き込むことを前提とした兵器の保有など認められません!」
アリアが続いた。
エレナも、カイルも、ジークフリートも同意していた。
「理解してもらえなくて、残念だ。だが仮に私がこの兵器を放棄したとしても、いずれは他の誰かが開発に成功するだろう。世界にこの兵器が出現することはもはや決定事項なのだよ。」
ギルバード准将は独白のように言っていた。
「それに、私はこの力を国王に、現体制のために与えるつもりはない。」
ギルバードはそう言うと、胸につけられた勲章からひと際大きなものを取り外した。
「この勲章は、国王から直々に授与されたものだ。四半世紀にわたって、この国に戦火をもたらさなかった指揮官として顕彰されたものだ。——だが、もはやこの勲章には意味も価値もない。」
ギルバードは勲章を握りしめて、その手に魔力を込めた。
勲章は粉々に砕け散った。
「なんてことを..............!」
カイルが呻いた。
「国王が退位したら、今度は私が”勲章を授与する側”の人間となる。レオン君、どうだね。記念すべき”ソルティア帝国”の叙勲第一号になる気はないかね?」
ギルバード准将はそう言って再び、俺の方を向いてきた。
「お断りします。」
もう、俺には一切の迷いはなかった。
「君の力は、私の下で活用してほしかったのだが........。——仕方ない。君たちにはここで死んでもらうしかないようだ。」
ギルバード准将は腰から銃を抜いて俺の方に向けてきた。
「この兵器も、昨年現れた研究者の提唱によるものだ。君も彼みたく、着くべき相手を選べる賢明さが備わっていてほしかったが。——一応言っておくが防御魔法程度なら貫通可能だぞ?」
ギルバード准将は言ってきた。
「俺の返事は変わりません。部下たちに作戦中止を命じて下さい。あなたもまだやり直せるはずです。」
「——本当に残念だよ。」
ギルバード准将はそう言うと、引き金に力を込めた。
乾いた銃声が、地下室全体に響き渡った。
第七話もお読みいただきありがとうございました。
次回は2026年10月11日17時10分、公開予定です。
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