↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

65/73

シーズンⅤ 第五話 火蓋

 こんにちは。作者の「野生の書生」です。

 前回はレオンがクロエとの地下道探索結果をカイルに話すところまでを書きました。

 今回はその続きからです。


 本作はいじめや暴力の描写を含みますので、苦手な方はご注意してください。

 主人公が理不尽な暴力や、過去のトラウマと闘いながら成長していく物語なので、お付き合いいただければ幸いです。


 この物語はフィクションです。登場人物・団体および地名等における名前や設定はAIと相談しながら決定しています。実在の人物・団体・地名等は一切関係ありませんので、ご容赦ください。

 翌日、俺たちはまた特捜部の部屋で集合していた。


 研究所の中で集まれればいいのだが、潜入中という事情を考慮すると、それもできない。

 俺はアレクサンドルに、クロエと行った地下道の探索結果を報告していた。


 アレクサンドルの結論も、俺やカイルが出した結論と同じだった。

 

 「新兵器がすでに完成しているか..........。」

 アレクサンドルは重い口調で言った。


 それと併せて、俺の中ではもう一つ懸念していることがあった。


 「エレナ。この前言っていたよな。研究所で論文の一部が公表を取り下げられているって。」


 「ええ。内容は魔石からの魔力の抽出と、濃縮に関わる話みたいだけど。」

 エレナは答えた。


 似ている。

 俺は前世の歴史の中でこれと似た状況を知っている。

 国家予算を投入して行われる大型プロジェクト。

 関連する研究成果について、他国への流出を恐れて独占を目的に公表を差し止める。

 ——マンハッタン計画、原子爆弾の開発だ。


 俺の世界では国と軍が一致団結して”超兵器”の開発を成功させた。

 だが、この世界では国がその開発を認めなかったため、裏側で密かにそれに類するものが誕生しようとしている。


 「アレクサンドルさん。もしかしたら.......新兵器は重武装化どころの話じゃないかもしれません。」

 俺は震える声で、アレクサンドルにそう伝えていた。


    ◇


 「一都市を瞬時に消滅させる超兵器...........?」

 アレクサンドルは信じられないといった調子で、だがかすかに震えを伴う声で言っていた。


 「確証はありませんが..........。可能性はあるかと。」

 俺も震える声で言っていた。


 カイルたちも青ざめた顔で俺の話を聞いていた。

 もちろん前世の話はできないから、具体的な根拠は示せなかったが。

 そもそも、この世界の魔力で原爆に類するものが作れるのかどうかも、俺には分からない。


 だが、ギルバード准将が十五年前の交渉による隣国との政治的決着に納得していないのであれば、絶対的な抑止力を欲しがる理由には十分説明がつく。

 ギルバード准将の思想と、前後の状況を考えれば、絶対的な破壊力を持つ兵器の開発に着手しているという仮定はあながち妄想とは言い切れなかった。



 室内に立ち込めた重い空気を打ち破るように、アレクサンドルは立ち上がった。


 「いずれにしても一刻の猶予もない。万一そんなものが完成しているのだったら、王都全域がすでに人質に取られたも同然だ。ただちに研究所に強制捜査を——」


 「その必要はありません。」

 アレクサンドルの言葉は、聞き覚えのない声によって途中でさえぎられた。


 厳重に警備されているはずの特捜部の部屋に、気が付くと複数の男が踏み込んできていた。

 ——その手には拳銃のようなものが握られていた。


 「貴様ら!何者だ!?これはいったい何の真似だ!」

 アレクサンドルは腰の剣を抜こうとした。


 だが、直後に銃声が響き、アレクサンドルの肩は銃弾によって撃ち抜かれていた。


 「ぐあぁぁ!」

 アレクサンドルの悲痛な叫び声が上がる。


 カイルもジークフリートも、何が起きたのか分からないといった様子だった。

 クロエたちは突如発した轟音に耳を塞ぎ、うずくまっていた。


 俺は発砲の瞬間に、弾倉と銃口から魔力が放出されるのを感じとった。

 あれは銃のようだが、俺たちの世界の銃とは違う。

 火薬ではなく、魔力を利用した武器だ。

 一体なぜ——。


 「君がレオン君だね。ギルバード准将が君に会いたいと言っている。ご同行願おうか。」

 侵入してきた男のうちの一人が俺に拳銃を突きつけながら言っていた。


 「お仲間もご一緒にどうぞ。ですが、無駄な抵抗はしないことですね。」

 男たちは余裕綽々といった様子で、カイルたちにも銃を突き付けて、半ば連行するような形で俺たちを部屋から引きずり出していった。


 国軍の反政府勢力による、反乱の火蓋が切って落とされた瞬間だった。


 第五話もお読みいただきありがとうございました。


 ついに国軍によるクーデターが決行されました。

 剣と魔法が象徴の異世界で、自動車に続き拳銃が登場する展開には賛否が分かれるかもしれませんが、終盤の盛り上がり箇所だと思うので、引き続き精いっぱい書かせていただきます。


 次回は2026年10月11日7時10分に更新予定です。


 この物語が面白いと思っていただけた方は、是非、評価や感想、ブックマーク等でクライマックスを盛り上げていただけたらと思います。


 残り二日となりましたが、引き続きよろしくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。