シーズンⅤ 第四話 探索結果
こんにちは。作者の「野生の書生」です。
前回はレオンとクロエの二回目の地下道潜入を書きました。
今回はその続きからです。
本作はいじめや暴力の描写を含みますので、苦手な方はご注意してください。
主人公が理不尽な暴力や、過去のトラウマと闘いながら成長していく物語なので、お付き合いいただければ幸いです。
この物語はフィクションです。登場人物・団体および地名等における名前や設定はAIと相談しながら決定しています。実在の人物・団体・地名等は一切関係ありませんので、ご容赦ください。
日付が変わるころに、俺たちは地下道から戻ってきた。
俺もクロエも、ドブのにおいが服からも体からも漂っていた。
さすがにそのまま学生寮に戻るわけにもいかないので、俺たちはカイルたちの手引きで宿直用の部屋に行き、身体を洗ってドブのにおいを落とした。
俺とクロエは学生寮に戻ろうとしたが、同時に出て行って途中で誰かに見られたら、また何を言われるか分からない——、ということで時間差を設けて宿直室を出ることとした。
先にクロエが出て、女子寮の方に行く。
俺は時間をずらしている間に、カイルにさっき見た光景のことを話していた。
「おそらく、魔石を運び込んだ痕跡だろう。だが、そこを塞いでいるということは奴らはもう外部との連絡を必要としない状態なのかもしれん。」
カイルはしばらく考えて言った。
俺もそう思った。
奴らが兵器開発を目的に魔石を運び込んでいるとして、そのルートを塞いでいるということはもう魔石の供給は必要ないということだ。
すでに十分量が運び込まれたか、あるいは。
「新兵器が完成している。」
俺はつぶやいた。
「その可能性が高いな。」
カイルも同意していた。
「——そろそろいいだろう。この件は明日特捜部に改めて報告するとしよう。」
カイルはそう言うと俺を宿直室から送り出した。
◇
男子寮にたどり着くと、俺は巡回していた警備員とたまたま鉢合わせになってしまった。
「おい、そこの君。いったい何時だと思っているんだ!」
警備員の怒鳴り声が、夜の学生寮に響く。
「すいません。ちょっと私用で......。」
俺はしどろもどろで言った。
「言い訳無用だ。学生証を出せ!」
警備員は俺を睨みつけた。
——カイルに来てもらうか?俺がそう思ったその時。
「あー。すみません。こいつ干してた洗濯物が風でとんでっちゃったみたいで。」
警備員の声を聞いて目が覚めたのか、寝間着姿のルークが寮から出てきて言った。
「そうそう、見てくださいよ。こいつの落とした洗濯物。落ちた場所が悪くて泥だらけでしょ。」
同じく寮から出てきたヴァンが言う。
ヴァンは俺が抱えてきたドブのにおいが染みついた服を警備員の鼻先に掲げた。
「あーもう!分かったから。分かったから。さっさと帰って寝なさい!」
警備員は巡回に戻っていった。
「ありがとう......。ルーク、ヴァン。」
俺は感謝を込めて言った。
「いいって、いいって。なにか事情があったんだろ?それじゃあお休み、レオン。」
ルークはそう言って自分の部屋に戻っていった。
「俺はよくねぇよ。明日大事な講義だってのに.........。クロエちゃん誘って昼食一回な。」
ヴァンはそう言うと自分の部屋に戻っていった。
正しいことはしていないのかもしれない。
でも俺の居場所を守ろうとしてくれた”友人”二人の行動に、俺は心の底から感謝の気持ちを抱いていた。
第四話もお読みいただき、ありがとうございました。
前世では得ることができなかった平穏な学生生活を、異世界で手にする描写が欲しかったので今回のエピソードを執筆しました。
前回の後書きでも書きましたが、この辺の話を番外編として書くかもしれません。
その時は、再びお付き合いいただければと思います。
次回は2026年10月10日21時10分に公開予定です。
この物語が少しでも面白いと思っていただけた場合は、評価や感想、ブックマーク等をお願いできればと思います。




