シーズンⅤ 第一話 王室からの依頼
こんにちは。作者の「野生の書生」です。
前回はエレナから潜入捜査の話がもたらされるところまでを書きました。
今回はその続きからです。
本作はいじめや暴力の描写を含みますので、苦手な方はご注意してください。
主人公が理不尽な暴力や、過去のトラウマと闘いながら成長していく物語なので、お付き合いいただければ幸いです。
この物語はフィクションです。登場人物・団体および地名等における名前や設定はAIと相談しながら決定しています。実在の人物・団体・地名等は一切関係ありませんので、ご容赦ください。
エレナから相談を受けた翌日、俺たちは王宮に出向き、王室の”特捜部”と呼ばれる人たちと面会することとなった。
特捜部は王宮内から村役場に至るまで、権力に腐敗がないかを監査する強力な権限を有している。
当然、先の「黒い天秤」の摘発にも活躍したわけではあるが、表立って動いて英雄視されるに至った俺たちとは反対に、裏で地道に動いて「黒い天秤」の息の根を止めた彼らの功績は讃えられることはなかった。
そんな経緯で、俺は彼らから敵視されるのではないかと危惧していたが、そんなことはなく特捜部の人たちは敬意をもって俺たちを迎えてくれた。
俺は特捜部の代表として挨拶にきたアレクサンドルと握手をしていた。
「君がレオン君だね。君たちの活躍のおかげでこの国の腐敗を一つ除去することができた。市民の力を借りて戦う形になってしまい申し訳ないが、引き続きよろしく頼むよ。」
アレクサンドルはそう言って、俺たちを応接用の部屋に通してくれた。
◇
アレクサンドルから説明のあった依頼内容は要約するとこうだ。
国家予算の会計に不自然な点があり捜査したところ、国防費の水増し請求等で国軍内の一部勢力が不正に資金調達を謀っている可能性が浮上した。
彼らは王にも内密で国軍の重武装化を進めており、王への反旗を翻そうとしている可能性がある。
その一環として、なにやら強力な新兵器を研究開発している可能性があるので、まずはその研究機関に潜入してほしい、というものだった。
エレナはその強力な新兵器の開発に魔石の大量発注が絡んでいるのではないか、と考えて俺たちに声を掛けたというわけだ。
「それで、その研究機関というのはどこなんですか。」
俺は聞いてみた。
「王立魔導大学付属研究所だ。君たちにはそこに個別の肩書を与えるから、それぞれの役で潜入してほしい。」
アレクサンドルは言った。
——大学、つまりは学校。
その響きを聞いた瞬間身構えてしまったが、ここで引くわけにはいかない。
「それで、問題の国軍の勢力についてですが、どこまでのことが分かっているのですか?」
カイルが聞いた。
「人数や規模は不明だが、首謀者として有力なのはギルバード准将だ。この男は教導隊教官の出身で、若手将校の信頼も厚い。」
アレクサンドルは答えた。
ソルティア王国は、十五年前に演習中の手違いが原因で、隣国シラニア公国と開戦寸前にまで至ったことがあった。
もともとソルティア国王は国軍にも”臣民の盾であれ”と命じていて、戦争には断固反対な姿勢であったこともあり、政府間の粘り強い交渉でこのトラブルを解決に導いた。
だが、国軍の一部にはその結果に対し不満の声が根強く残った。
ギルバード准将は、当時その演習を率いていたらしく、その声を発する筆頭だったそうだ。
そのギルバード准将が、なにやら頻繁に研究所関係者と接触していることが内偵により判明したことから今回の依頼に至ったということだ。
「それで、俺たちはどんな肩書で研究所に入るのですか。」
俺は聞いてみた。
「うむ。これを使ってくれ。」
アレクサンドルは俺たちにそれぞれ身分証を手渡してきた。
◇
アレクサンドルが俺たちに渡した身分証の肩書は全員違っていた。
エレナは魔導研究室研究員。
アリアは研究所理事。
カイルは研究所警備員。
ジークフリートは施設管理人。
——で、俺とクロエには学生証が渡されていた。
見た目年齢から考えたのかもしれないが、施設内で自由に動ける度合いで言うと、俺とクロエは圧倒的に不利だった。
まあ、クロエはなんだか嬉しそうにしていたが。
王宮から出た俺たちは、明日からの”新生活”に向けてそれぞれ準備を進めていった。
【三連休の公開スケジュールについて】
ここまでお読みいただきました皆様、本当にありがとうございました!
明日からは、この物語のクライマックスとして以下のスケジュールで完結までのエピソードを公開します。
①朝7:10、②昼12:10、③夕17:10、④夜21:10 計四回の公開
物語もいよいよ終盤ですが、レオン達の冒険譚に最後までお付き合いいただければ幸いです。
第二話は2026年10月10日7時10分公開予定です。
まだまだ多くの方にこの物語を届けたいと思う今日この頃。クライマックスを応援していただける方は是非、ブックマークや評価でお力添えいただければと思います!




