↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

51/73

シーズンⅣ 第九話 信頼

 こんにちは。作者の「野生の書生」です。

 前回はエリオットの秘密兵器が登場するまでを書きました。

 今回はその続きからです。


 本作はいじめや暴力の描写を含みますので、苦手な方はご注意してください。

 主人公が理不尽な暴力や、過去のトラウマと闘いながら成長していく物語なので、お付き合いいただければ幸いです。


 この物語はフィクションです。登場人物・団体および地名等における名前や設定はAIと相談しながら決定しています。実在の人物・団体・地名等は一切関係ありませんので、ご容赦ください。

 門の外に隠していた”秘密兵器”。

 エリオットはそれを起動し、荷馬車に横づけしていた。


 氷結魔法で足止めしたつもりだろうが、馬には無理でも、こいつなら余裕で氷を破壊できる。

 車の外では、荷馬車の荷台を馬から車に付け替える作業が行われていた。

 それに並行して撤退してきた部隊が最後に運んできた”荷物”も積み込まれていった。


 用意できた車は合計十台。

 本来はセレストロスHRの人間だけが乗る予定だったが、それぞれに荷馬車の荷台を引かせれば、確保した奴隷たちは十分運べる。


 あとは奴隷たちを”一時保管場所”に移動すればいい。

 エリオットは勝利を確信していた。


   ◇


 突然の自動車の出現に俺たちは固まっていたが、クロエの両親を救出するべく動き出そうとした。


 だが、カイルは目の前の敵と戦っており、移動することができない。

 エレナも荷台と自動車に再度氷結魔法をかけようとしているが、おそらくは難しいだろう。


 そして俺も、魔力が戻らず、肉体も思うように動かない。

 ——どうして。肝心な時に。


 「ねえ、レオン。」

 クロエが俺に向かって話しかけてきた。


 「初めて会ったとき......。私のことを助けてくれて、本当にありがとう。」

 

 ——おい。どうした。


 「それからも、いろんなことがあったけれど.......レオンはいつも諦めなかった。最後まで私たちと一緒に戦ってくれた。」

 クロエはそう言うと、一歩前に歩き出した。


 ——何をするつもりだ。


 「私も絶対に諦めない。だから、必ずもう一回私のことを見つけ出して!」

 クロエは門に向けて走り出した。


 ——よせ、やめろ。

 俺は制止しようと思ったが、クロエは門に向けて走り出した。


 そして門の前で力尽きたフリをして倒れた。

 周囲にいた男たちは、格好の獲物が自分から現れてきたとばかりに、クロエを担ぐと荷馬車の方に運んでいった。


 「おい。村の娘がまだ残っていたぜ。」

 「上物だ。絶対に傷つけるな。荷台に積んでおけ。」


 クロエは奴隷狩りの最後の”収穫”として、荷台に積み込まれていった。


   ◇

 

 「クロエ殿!」カイルが叫んだ。

 「クロエ!」エレナも続けた。


 だが、荷馬車の付け替えが終わった自動車はエンジンの唸り声をあげると、氷結魔法の足かせを破砕して、その場を離れて行った。


 「おい!ちょっと待て!俺らがまだ乗ってないぞ!」

 「エリオット!貴様——!」

 取り残されたエリオットの協力者たちの恨み節が響いていたが、俺にとってはもうどうでもよかった。


 クロエ、必ず見つけ出してやる——。


 夜の気配が薄れ、東の空に朝日が昇り始めた空の下、俺は両手を握りしめてゆっくりと立ち上がった。


   ◇


 夜が明けると、俺たちは西の門に集結していた。

 エリオットへの恨み言を絶えず口にしていた残党たちは、あっさりと村の外に逃げるか投降していた。

 クロエたちをどこにやったか胸倉をつかみ上げて聞いたが、取り残された連中はただ臨時で雇われただけのようで、何一つ有力な情報は持っていなかった。


 アリアは、村役場の護衛を麻痺毒から回復した自警団に引き継ぐと即座に駆けつけてくれた。

 ジークフリートは森の中で行方が分からなくなっていた二人を捜索し続けて、救出していた。救出した哨戒班を馬車に乗せて村役場まで送り届けると、アリアに続いて合流してきた。

 

 二人とも一連の出来事を知ると、沈痛な表情を浮かべていた。


 「痛って.......!」

 ジークフリートが呻いた。

 森の中を捜索中に、エリオット側が用意した哨戒部隊と遭遇して戦闘になったそうで、ジークフリートは首から左肩にかけて大きなあざができていた。


 「少々お待ちになって。」

 アリアが小さな木箱を取り出した。

 木箱の中には、小さな瓶が一つ。中には水色を帯びた液体が収まっていた。


 どうやら回復薬の一種。それも飛び切り強力なものだ。

 アリアが村役場を離れる際、村の清流で作り出した宝として、村長から渡されたものだそうだ。


 だが、ジークフリートはその使用を拒んだ。


 「俺には必要ねぇよ。それより、さらわれた村のお姫様のことだ。なんか策はあるのかよ。」


 「カイル......。あの時の地図はあるか?」

 俺はカイルに言った。


 カイルは地図を取り出して、広げた。


 『私は絶対あきらめない。だから必ずもう一回私のことを見つけ出して。』

 ——待っていろ。必ず見つけ出してやる。


 俺はそこにクロエを連れ去ったエリオットの姿が映っているかのように、地図を睨み据えた。


 第九話もお読みいただきありがとうございました。


 いよいよこのクロエの故郷を舞台にした物語も終盤を迎えます。

 シーズンⅡが「エレナ回」、シーズンⅢが「アリア回」、シーズンⅣが「クロエ回」という形で執筆させていただいていますが、いかがでしょうか。


 読者から見た、主人公やヒロイン、各キャラクターの評価も知りたいな、と思う今日この頃です。

 もしよろしければ、感想等で教えていただければと思います。


 次回は2026年10月5日7時10分公開予定です。


 高評価・感想・ブックマーク等をいただければ、作者も頑張れますのでよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。