シーズンⅣ 第七話 決意
こんにちは。作者の「野生の書生」です。
前回はレオンが村を救う気持ちを新たに西に向かうところまでを書きました。
今回はその続きからです。
本作はいじめや暴力の描写を含みますので、苦手な方はご注意してください。
主人公が理不尽な暴力や、過去のトラウマと闘いながら成長していく物語なので、お付き合いいただければ幸いです。
この物語はフィクションです。登場人物・団体および地名等における名前や設定はAIと相談しながら決定しています。実在の人物・団体・地名等は一切関係ありませんので、ご容赦ください。
西の門付近にたどり着いたとき、すでに奴隷狩りは始まっていた。
人質になりうる子供や高齢者を村の中心に移しておいたから、彼らがすぐに犠牲になることはないだろう。
だが、裏を返せば労働力となりうる若年層の村人がそこかしこに無抵抗のまま横たわっているということだ。
「運べ!運べ!今ならさらい放題だ!」
屈強な男たちが、次々に倒れている村人たちを運び出す。
中にはドアや窓を破壊して、家財を持ち出している輩もいた。
その足元には、麻痺した体で必死に家族を守ろうと抵抗したのだろう、無惨に痛めつけられて息絶えたものの姿も少なからず見受けられた。
あいつら——。
俺も、クロエも、エレナも、カイルも奴隷狩りに勤しむ連中を睨みつけていた。
幸い、彼らは西の門一か所からしか侵入してこなかった。
もしも全方位から侵入してこられていたら、もっと被害が大きくなっていたかもしれない。
門の付近には荷馬車が数十両。
さすがに村人全員を運び出すことはできないから、効率よく一か所を狙ったということか。
門の警備にあたっていたはずの自警団の姿はなくなっていた。
おそらくすでにあのいずれかの荷馬車の中だろう。
クロエはその光景を見て、震えていた。
クロエは一度、盗賊の手に落ちたことがあった。
目の前の光景に、かつて自分が見た地獄を重ねているのかもしれない。
クロエ、お前の地獄の記憶は俺が上書きしてやる——。
「レオン殿。もはや一刻の猶予もありません。」
カイルが耳打ちしてくる。
「ああ。全員ここで仕留める。カイルは離れた場所に散っている敵を始末してくれ。クロエとエレナはあの荷馬車を狙ってくれ。この状況で最悪なのは、すでに捕らえられた村人が俺たちの手の届かない場所へ連れ去られることだ。」
「「了解!」」
クロエとエレナが言った。
「レオン殿はどうするのですか。」
カイルが聞いてきた。
「俺は.........。奴らに地獄を見せてやる。地獄を知るべきはクロエじゃなくてお前らの方だ。」
俺は自分の右手に魔力を集中させた。
思えばこれまで火魔法は威力を抑えて使うか、照明弾として使うしかしなかった。
だが、今なら使い道がある。なにより俺自身が火魔法を全力で使いたい気分だった。
背中にカイルが息を呑む気配が伝わる。
クロエとエレナも同様だ。
奴らは門周辺の集落は狩りつくしている。
つまりは、荷馬車さえ巻き込まなければ多少門は壊れるかもしれないが、火魔法をぶつけても村人を巻き込む心配はない。
覚悟しろ。ここがお前らの地獄の門だ——。
俺は右手を高々と掲げた。
上空に火球が出現する。
だが、今度は防御魔法で包んでいない、むき出しの火球だ。
「おい、なんだありゃ。」
「なんかのモンスターか......?」
奴隷狩りをしていた男たちも、作業の手を止めて上空を見上げる。
——いいぞ。そこを動くな。
防御魔法に包まれていない火球は、周辺の酸素を貪り食い、まがまがしい渦を形成していた。
俺は掲げていた右手を振り下ろした。
火球は門の前に広がる地面に激突し、そこにいた輩たちを瞬時に蒸発させていた。
だが、俺の狙いはそこではない。
俺は地面に火球が激突する寸前、火魔法に振り向けていた魔力を防御魔法に切り替えて、火球の周囲に張り巡らせた。
防御魔法の盾は周辺の民家を守るのと同時に、火球の激突で発生した強烈な衝撃波を反射して、火球の直撃を免れた悪党たちを引き裂いていった。
かくして三百六十度に拡散した衝撃波は、ふたたび門の前に集結すると、炎とともに逃げ場を求めて空高く、火柱を噴き上げていた。
静寂な山間部の夜の村に、突如として噴火が巻き起こったかのような光景が現出していた。
第七話もお読みいただきありがとうございました。
ついに........。ついにレオンが攻撃目的で火魔法を解放するシーンが書けました。
さて、次回は2026年10月4日12時10分公開予定です。
高評価・感想・ブックマーク等をいただければ作者も嬉しいので、なにとぞよろしくお願いします。




