シーズンⅣ 第四話 家族
こんにちは。作者の「野生の書生」です。
前回はクロエの実家の前にたどり着くところまでを書きました。
今回はその続きからです。
本作はいじめや暴力の描写を含みますので、苦手な方はご注意してください。
主人公が理不尽な暴力や、過去のトラウマと闘いながら成長していく物語なので、お付き合いいただければ幸いです。
この物語はフィクションです。登場人物・団体および地名等における名前や設定はAIと相談しながら決定しています。実在の人物・団体・地名等は一切関係ありませんので、ご容赦ください。
クロエは実家のドアをノックしていた。
既に村長から話は伝わっているはずだから、俺みたく叫んで卒倒なんてことはないだろうが、両親とクロエの対面がどのような展開をたどるのか、俺は一歩下がったところで見守っていた。
ドアが開く。出てきたのは小柄の女性——クロエの母親だろう。
「ただいま……。お母さん。」
クロエは少し決まりが悪そうに、でもはっきりと母親に向けて言っていた。
「おかえり。クロエ。」
母親はそういうと、クロエをそっと抱き寄せた。
クロエも母親に身を預ける。
俺はその光景を見て、ヒロを自宅に送り届けた時のことを思い出した。
あの時、クロエはヒロを愛おしそうに見ていたが、もしかしたらある種の羨望も混ざっていたのかもしれない。
俺はそんなことを、考えていた。
「お父さん!クロエが返ってきたよ!」
母親は家の中に向かって呼びかけた。
——だが返事はない。やはり怒っているのか?
「あなたが、レオン君ね。村長から話は聞いていますよ。どうぞ上がってください。」
俺たちは母親に促されて、クロエの実家にお邪魔させてもらった。
◇
——三十分後。
クロエ宅の居間でテーブルに座り、クロエは両親にこれまでの冒険譚を嬉々として話していた。
居間のテーブルは四人掛けで、クロエと両親が座ると、空席にエレナが収まった。
俺とジークフリートとマックスは居間に別に置かれた椅子に少し離れて座っていた。
それにしても——。
俺は三十分前、眼前に繰り広げられた光景を思い出していた。
◇
家に上がると、俺たちは居間に通された。
俺は持ってきた王都の土産を母親に渡すと、改めて挨拶をした。
エレナとジークフリートも後に続いて挨拶をした。
と、そこにクロエの母親の背後から俺と同じくらいの背丈の男が現れた。
——クロエの父親だ。
俺は特に理由はないのだが、自然と身構えていた。
が、クロエの父親は娘の姿を見つけると、顔を真っ赤にして——怒ったのではなく、目に涙を浮かべて、俺らがいるのもはばからずにクロエを抱き寄せていた。
◇
先刻、母親の呼びかけに応じなかったのは便所に行っていて、出るに出られなかったからだと知って、俺はますます脱力していた。
まあ、でもクロエが両親と無事に再会できたのだから、それに越したことはないか。
それにしてもクロエの父親は、豪胆でいて、好色家でもあるようだった。
俺たちが席を決めるときに、クロエの父親は空席に迷うことなくエレナを座らせて、俺たち野郎連中はテーブル外に追放されたのだ。
おかげで、今は奥さんと娘とエレナに囲まれて、ガハハと笑い声をあげている。
その傍ら、俺とジークフリートとマックスは膝を突き合わせて、テーブルの近くにいるはずなのに、別空間のような状態になっていた。
「なあ、俺らのパーティってこんなにむさくるしかったか?」
ジークフリートはぽつりと言った。
「まあ、あのお父さんも悪い人ではないから。君の仲間に手を出すようなことはしないから安心していいよ。」
マックスが俺に言った。
空席にエレナを座らせたときは、俺の世界じゃセクハラだぞ、と心の中で思ったが、あの父親は一線をわきまえているようではあった。
まあ、隣にいる奥さんが時々発するオーラを見ていれば、手を出すに出せないだろうな、とも思っていた。
そう考えたら、顔はあんまり似てないと思ったクロエ母娘が実は似ているようにも思えてきた。
「しかもあの親父さん。クロエが出て行った朝、畑仕事ほっぽり出して『今すぐ王都に行ってやる!』って騒いでいたらしいからね。奥さんと近所さん総出で止めたらしいけど。」
マックスは呆れたように言っていた。
——いや、それは君も同類だろう。俺は心の中で思った。
でも、クロエがこの村でいかに愛された存在だったのか、俺にもわかった気がした。
◇
~アソシラス村付近の森林~
「第一部隊、準備整いました。」
「輸送隊も準備できました。いつでも村人を運び出せます。」
屈強な男たちが森の中で、一人の男に進捗を報告していた。
「そうか.......。」
報告を受けた男——エリオットはニヤリと口元を歪めた。
「今夜仕掛ける。野郎ども!人材派遣の始まりだ!」
エリオットは高らかに”事業開始”を宣言した。
第四話も読んでいただきありがとうございました。
クロエの父親の人物像はいろいろと考えましたが、最終的にこうなりました。
「好色家だけど、家族を底なしに愛していてどこか憎めないオヤジ」という感じを出したかったのですが、伝わりましたでしょうか?
高評価・感想・ブックマーク等いただけたら作者も頑張れますので、よろしくお願いします。




