シーズンⅢ エピローグ 道中の宿
こんにちは。作者の「野生の書生」です。
前回は公爵邸からレオン一行が旅立つ場面までを書きました。
今回はシーズンⅢのエピローグです。
本作はいじめや暴力の描写を含みますので、苦手な方はご注意してください。
主人公が理不尽な暴力や、過去のトラウマと闘いながら成長していく物語なので、お付き合いいただければ幸いです。
この物語はフィクションです。登場人物・団体および地名等における名前や設定はAIと相談しながら決定しています。実在の人物・団体・地名等は一切関係ありませんので、ご容赦ください。
王都を離れて三日目。
俺たちは山間の集落にある小さな宿に入っていた。
俺と、クロエと、エレナと、ジークフリートと........
そしてなぜかこの場にいるアリアとカイルを交えて、机を囲んで今後の行動について相談していた。
俺は出発初日の出来事を振り返った。
◇
王都の門を出て、二時間ほどたった頃。
俺たちは休憩ということで、一旦馬車を止めた。
「やっぱ遠いなあ。私の故郷。」
クロエが馬車を降りると、体を伸ばしながら言った。
予定では四日はかかる見込みだ。
道中と今回の遠征で必要な物資を積み込んだ荷馬車を振り返って、俺は改めて公爵家の支援とアリアに感謝していた。
「アリアがいなくなって、寂しいのかい?大将。」
ジークフリートが俺の側に寄ってきて、からかうように言う。
「ああ。俺たちは気付かないうちにアリアにいろいろと頼っていたんだなって......。」
俺が真面目に答えたからか、ジークフリートも表情を正した。
「確かにな.......。それに俺もカイルがいないと、弄るやつがいなくて張り合いがねぇや。」
――やっぱりジークフリートは変わらない。
「あら。レオン様達にそんなに感謝していただけるなんて、身に余る光栄ですわ。」
俺とジークフリートは顔を見合わせた。
幻聴............?
だが、背後を振り返ると、そこには間違いなく数時間前に公爵邸で別れたはずのアリアの姿があった。
「ギャアァァァァァァ!」
俺もジークフリートも、青空に突き抜けるような大声を上げていた。
◇
「お前さん。大丈夫なのか?あの親父さん、血眼になってお前のこと探してんじゃねぇの?」
アリアからおおよその経緯を聞くとジークフリートは呆れたように言った。
「だって『行くなら、カイルに命じて力づくででも止める。』なんておっしゃるんですもの。いざとなればカイルがうまく言ってくれますわ。」
——カイル、頑張れよ。
俺は心の中でそう思った。
その時だった。
「アリア様——。アリア様——!」
馬の蹄が地面を踏み鳴らす音とともに、聞き覚えのある声が迫ってきていた。
「お、白馬の王子様がお出迎えだぜ。お姫様。」
ジークフリートがアリアの方を見て言った。
アリアは<ゲッ.......。もうバレたか。>と言わんばかりに表情を歪めた。
俺は、なんだかカイルがますます気の毒に思えてきた。
◇
カイルが追いかけてきたのが、アリアを今すぐ連れ戻すためではないと分かり、アリアは胸をなでおろしていた。
——まあ、王都に戻れば大目玉だろうが。
かくして俺たちは、宿で再び全員集合しているわけだ。
カイルは地図を広げた。クロエの故郷——アソシラス村の地図だ。
「拘束した『黒い天秤』によると、彼らに利益供与をしていた商会が、失った奴隷を補充するためにこの村を狙っているということだ。恐らく数日以内に大規模な奴隷狩りが行われる可能性が高い。」
カイルは地図を指し示しながらそう言った。
俺たちは表情を引き締めて、次なる”敵”の存在に意識を集中していた。
エピローグも読んでいただき、ありがとうございました。
これにてシーズンⅢも無事完結です。
シーズンⅢは途中途中の区切りが難しく、一話の長さがまちまちになってしまいましたが、最後までお付き合いいただき本当にありがとうございました!
さて、本文中でカイルが発言した通り、シーズンⅣではクロエの故郷を舞台に物語が進行していきます。
引き続きシーズンⅣも応援のほど、よろしくお願いします!
【次シーズン】
シーズンⅣ プロローグは2026年10月1日7時10分、公開予定です。
この物語が面白いと思っていただけたら、ぜひ高評価(★★★★★)・感想・ブックマーク等をお願いできればと思います!




