シーズンⅢ 第六話 鏡写し
こんにちは。作者の「野生の書生」です。
前回はアリアの怪鳥に対する奮闘を書かせていただきました。
今回はその続きからです。
本作はいじめや暴力の描写を含みますので、苦手な方はご注意してください。
主人公が理不尽な暴力や、過去のトラウマと闘いながら成長していく物語なので、お付き合いいただければ幸いです。
この物語はフィクションです。登場人物・団体および地名等における名前や設定はAIと相談しながら決定しています。実在の人物・団体・地名等は一切関係ありませんので、ご容赦ください。
アリアが指を鳴らした瞬間、爆音が響き渡った。
——火の見櫓の上から。
「ぐあぁぁぁぁぁ!」
フードの男の絶叫が聞こえた。
その横では、先ほどまでフードの男の肩にとまっていた怪鳥が燃えていた。
俺は気付いた。
俺の防御魔法で怪鳥を閉じ込めていた間、アリアは何かしらの魔道具を怪鳥の体に仕込んでいたのだ。
おそらく爆発する腕輪か何かだろうが。
前に鉱山の監視役の男たちに仕掛けたのはハッタリだったけど、今度は本物だったというわけか。
「..........前に鉱山で話したとき、便利そうだと思ったので、本当に一つだけ作ってみました。」
アリアは、てへっといった感じで俺に言ってきた。
「アリア様..............。」
カイルもさすがに驚きを隠せないと言った様子だったが、すぐにアリアの傷を確かめ始めた。
幸い傷は深くなく、腕の機能も問題なさそうだった。
「それじゃあ、焼き鳥もできたことだし、俺らは火の見櫓の奴を捕まえてくるか。」
ジークフリートが言った。
「アリアとカイルはここで残っていてくれ。鉱山の所有者を狙う別の輩が来るかもしれないから警護を頼む。」
俺はそういうとジークフリート達に続いて火の見櫓に向かおうとした。
その瞬間、鉱山の所有者の家に向けて、何かが飛び込んできた。
——奴だ。
火の見櫓の上で何とか爆発に耐えると、そこから飛び降りて、屋根伝いに走り、鉱山の所有者の庭に乗り込んだのだ。
「まずい!奴はまだ動けるようだ!」
俺は叫んだ。
このまま鉱山の所有者が殺されて、奴も逃げるか死ぬかしたら、俺たちは情報収集の糸口を完全に失う。
「しぶといことで。」
ジークフリートも鉱山の所有者宅に向かう。俺たちもその後に続いた。
◇
庭に行くとそいつは地面の上でうずくまって、震えていた。
体の至近距離でアリア特性の魔道具が炸裂したのだ。
動けるとはいえ、軽傷ではすむまい。
「おい。鉱山の所有者は俺たちが保護した。お前も重症だ。投降しろ。」
俺はそう言って、そいつの背中を見つめた。
そして驚いた。
爆発を間近で受けたはずのそいつの傷口は、いまやほとんどふさがり、そいつの体も徐々に魔力を回復しつつあったからだ。
——こいつに投降する気はない。
そう判断した俺たちは、再び各自武器を構えた。
「素敵な仲間たちがいて幸せだなぁ。レベル99の戦士君?」
フードの男は唐突にそういうと、うずくまったまま、首だけを巡らせてこちらに振り向いた。
その顔は笑っていた。
だが、どこか狂気を感じさせる笑顔だった。
その笑顔に気圧されて一歩下がった瞬間、フードの男は何かを地面にたたきつけた。
——爆弾。
俺はとっさに防御魔法を張って、みんなを爆風から守るようにした。
だが爆発は起きず、代わりに高濃度の煙幕が俺たちを瞬時に包み込んだ。
逃げる気だろうか?
煙幕で視界が塞がれる中、不意に後ろから服をつかまれて、俺は庭の地面に転がった。
「レオン殿!?」
側にいて異変に気付いたカイルが叫ぶ。
「レオン殿!どこに行かれましたか?」
カイルの声が続く。
「大丈夫だ......。ここにいる。」
俺は庭に倒れたまま、カイルに答えた。
「問題ない.......。大丈夫だ。」
——俺の声。だが、今のは俺ではない。
煙幕が徐々に風に流されると、みんなの視界も戻っていった。
だが煙幕が消えて、目の前に現れた光景に、クロエも、アリアも、エレナも、カイルも、ジークフリートも一様に驚いていた。
——そして、俺も。
「レオン殿が..........二人?」
カイルが言った。
煙幕が散ったその庭には俺と同じ姿形をした、「俺」がもう一人佇んでいた。
第六話も読んでいただき、ありがとうございました。
鉱山の時にアリアがハッタリで言った魔道具の設定が、作者的にも面白かったので登場させてみました。
あと、ジークフリートの”焼き鳥”発言は執筆していて、ジークフリートが言いそうなこととして、自然と思いついたので台詞に取り入れました。
次回は2026年9月27日21時10分公開予定です。
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