シーズンⅢ 第五話 怪鳥
こんにちは。作者の「野生の書生」です。
前回は怪鳥を伴って現れた不敵な暗殺者が登場するまでを書きました。
今回はその続きからです。
本作はいじめや暴力の描写を含みますので、苦手な方はご注意してください。
主人公が理不尽な暴力や、過去のトラウマと闘いながら成長していく物語なので、お付き合いいただければ幸いです。
この物語はフィクションです。登場人物・団体および地名等における名前や設定はAIと相談しながら決定しています。実在の人物・団体・地名等は一切関係ありませんので、ご容赦ください。
フードの男——暗殺者は再び火の見櫓の上から、カラスのような怪鳥をこちらに向けて放ってきた。
無駄だ。
——鳥かごに閉じ込めてやる。
俺は防御魔法に火魔法を閉じ込めた要領で、怪鳥を防御魔法で作った鳥かごに封印しようとした。
怪鳥は光の檻の中に飛び込み、俺はそこに蓋をする。
怪鳥は身動きが取れなくなった。羽をまき散らしながら防御魔法の内側で暴れている。
——よし、いける。
ところが、不意に怪鳥は鳥かごの中から姿を消した。
「何............!」
俺は周囲を見回す。
「はっはっは。やっぱ君はすごいよ。まずはそこの弱ってるお嬢様から狙ったんだけど。防がれちゃったか。」
——怪鳥は何事もなかったかのように、フードの男の肩の上に戻っていた。
リスポーンみたいなものか?..........それとも転移魔法のようなものか?
俺は鳥かごを消滅させると男を睨み据えた。
この男、やはり何か知っている。
鉱山の所有者を口封じ「しようとした」ということは、おそらくまだ”仕事”は果たされていないはず。
こいつを確保するか、最悪でも追っ払って鉱山所有者を保護しないと——。
再び怪鳥が放たれた。
怪鳥は、今度は防御魔法の盾を交わしつつ、器用にこちらに迫ってくる。
怪鳥は口を大きく開けて、そのくちばしの中に火球を現出させつつあった。
——エレナが氷結魔法をかけた。怪鳥はたちまち凍り付き、落下していった。
だが予想通り、怪鳥は再びフードの男の肩の上に、何食わぬ顔で戻っていた。
こうなったら、あのフードの男の方をどうにかするしかない。
フードの男は火の見櫓の上に陣取り、余裕な表情でこちらを見下ろしている。
奴の持っている情報は惜しいが、このまま怪鳥の相手を繰り返していたら、いずれこちらが魔力切れになる。
そう考えていた時だった。
「レオン様.......。あの怪鳥。もう一度捕らえることはできますか?」
アリアが言ってきた。
先ほど”弱っている”と評されたアリアだが、その目には作戦会議で見せた時と変わらない”光”が宿っていた。
「ああ。できると思うが......。何をするつもりだ?」
俺はアリアに聞いてみた。
アリアは人差し指を立てて、口元に当てた。
——坑道で見せた時と同じ仕草。
だが笑っているその顔は、やはりどこか寂しさを感じさせるものだった。
「なるべく私の近くであの怪鳥を捕えてください!」
アリアはそういうと最前線に駆け出していった。
「アリア様!」
カイルが慌ててその後を追う。
フードの男の口元が歪んだ。再び怪鳥がその手から放たれた。
飛び立った怪鳥は突っ込んでくるアリアに目標を定めて、急降下を開始した。
なるべく近くで——。
アリアの希望通り、俺は怪鳥とアリアの距離がギリギリまで接近した時を狙って、防御魔法の鳥かごを作った。
再び防御魔法の鳥かごに怪鳥が閉じ込められた。
だが、今度は少し違った。
防御魔法が張られる直前、アリアが跳躍し、怪鳥の首と胴体をその両手でつかんでいたのだ。
その結果、俺の防御魔法はアリアの両腕ごと怪鳥を包み込んでいた。
アリアの両腕には、締め付けるような激痛が走っているはずだ。
俺はあわてて防御魔法を解除しようとしたが、
「続けてください!」
アリアの絶叫が響いた。
防御魔法の鳥かごに手を突っ込み、アリアは鳥かごの中で暴れる怪鳥の体を握り続けていた。
「フン......。無駄なことだ。」
フードの男が指を鳴らすと、アリアの手中から怪鳥は消え失せて、再び男の肩の上に戻っていた。
「アリア!」
俺は防御魔法の鳥かごを消すと、アリアの元に駆け寄った。
アリアはうつ伏せに倒れており、その両腕からは血がにじんでいた。
だが、アリアは顔を上げて、火の見櫓の上にいるフードの男を視界に納めるとニヤリと笑って見せた。
アリアが右手の指を鳴らす。
その瞬間、爆音が周辺一帯に響き渡っていた。
第五話も読んでいただき、ありがとうございました。
怪鳥との戦闘の描写をもっとたくさん入れようかとも思いましたが、戦闘が長引きすぎると中だるみになりそうだったので短めにしました。
次回は、2026年9月27日12時10分公開予定です。
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